第11話 俺の強さはチート級。だけど弱さもチート級!

 さて、これでチートは確実だぞ。

 レベルが10000もあるなんて、しかも人のレベルを超えているって……


「ふ……きっと全てのステータスは、きっと9999に違いない」


 俺も訳の分からない自信が湧いてきた。

 異世界から来たんだ。俺は最強なんだ。

 こういうのは自己暗示が必要。

 スライムに勝てなかったのは、俺の内なる力を開放できなかったからに違いない。


「いや……

 ステータスの半分は10未満じゃ」


「へ?」


 軍鶏爺の言葉に俺は耳を疑った。


「ステータスの半分は10未満じゃ」


 いや、2回言わなくてもわかる。

 10未満?俺は、もうひとつの可能性が頭に残っていなかったことに気づく。

 それは、主人公最弱説だ。

 主人公は、やたら弱くて周りの人間が強い。

 そんなストーリー。

 そんな物語。


「え?本当に10未満なの?」


 万桜が、驚きのあまり目を丸くさせる。


「そうじゃ、防御と素早さと精神力以外は10未満じゃ」


「えー

 でも、魔力はあるんじゃないんですか?

 亜金君を見ても平然としているし……」


 万桜さんが、不安げに軍鶏爺の方を見る。


「それは、昴の能力じゃな。

 異世界から来たものは皆不思議な能力を持っておる。

 昴の場合、『自分に降り注ぐ攻撃魔法や呪いのたぐいのものを無効化させることができる』と言った防御面ではチート級の能力を持っておる。

 数値表すとHPが8でMPは7。

 力が9で器用さは8、防御は7500で魔力は9。

 素早さ8500で精神力は7770で運は10000じゃ」


「えー、魔力が9だなんてスライム以下じゃない…‥」


 万桜さんが、がっかりした表情で俺の方を見ている。


「あ、でも防御と精神力が7000を超えているのって凄いよ」


 亜金君が、そう言ってフォローしくれるが俺の心は傷ついている。


「力も9……

 スライム以下……」


 万桜さんの視線が痛い。

 俺、悪くないぞ……

 万桜さんが勝手に勘違いしたんじゃないか……


「運も10000ってのも凄いよ!

 成人男性の運の平均数値は100だもん!」


 運を数値化って意味がわからない……


「あ、ちなみに命中率は、9%じゃ」


 軍鶏爺がそう言うと亜金君はガクッと肩を落とす。


「あ、ダメだね……」


「命中率に関しては、訓練であげることができるからのう。

 そこは、頑張って訓練することじゃ……

 日々精進、日々訓練じゃ!」


 軍鶏爺がそう言って笑った。


「えっとちなみに聞くけど精神力と運の数値の意味ってなに?」


 俺が、そう尋ねると亜金君が答えてくれる。


「精神力は、魔法に対する防御力かな。

 そして、運はクリティカル率と言って相手に大ダメージを与えれる可能性かな……」


「昴君の場合だと攻撃が当たればクリティカルだね」


 万桜さんが付け足して答えてくれる。


「そして、待望の得意武器は……」

 軍鶏爺が、そう言うと亜金君と万桜さんが真剣な顔で俺の方を見ている。


「なんと!

 ゴミじゃ!」


「え?」


 亜金君と万桜さんが絶句し俺は絶望する。

 なんか、昔……

 ゴミを武器に変える能力を持った少年が主人公だったアニメがあったような……


「ゴミってなに?」


 とりあえず俺は聞いてみた。


「ゴミはゴミじゃ。

 石ころや布切れや藁とかそんなんじゃ……」


 軍鶏爺が、そう言うけれど俺には理解できなかった。

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