第9話 それでも俺はハーレムを作りたい!

 俺は、軽く亜金君に手を振ってみた。


「あ、本当だ。

 大丈夫っぽい?」


 亜金君は、そう言って恐る恐る俺に近づいてくる。

 俺は、獣なのかな?


「ね?異世界から来ているから昴君は魔力が高いんだよ」


 万桜さんが、根拠の無いことを得意気に言う。

 ホント、こういう女の人の自信は何処からくるんだろう……?


「でも、そんなに魔力を感じないのはどうしてだろう?」


 そうだよ。亜金君。俺は普通の人間だ……

 それでも万桜さんは、また根拠の無いことを言い出す。


「だって異世界から来たんだもん。

 レベル9999とかじゃないのかな?」


 レベル9999ってなんだよ。

 レベル99が最高じゃないのか?


「異世界から来た人って凄いんだね」


 亜金君は、そう言って驚く。

 亜金君、信じちゃダメだ!

 俺は、スライムにでさえ勝てない雑魚だよ……


「で、ぶっちゃけ昴君ってレベルいくつなの?

 亜金君を見て、何も感じないところを見ると相当レベルが高いと思うんだけど……」


「さぁ?」


 そんなの俺の世界にはない……

 あるかも知れないが、俺のレベルは低いぞ……


「調べたことない?」


 万桜さんが、俺の顔を覗き込む。

 くそ……可愛いぞ。


「ないよ……」


「だったら、仕事が終わったら調べに行かない?」


 万桜さんが、そんなことを提案してきた。


「調べるってどうやって?」


 素朴な俺の疑問だった。


「レベルアップ仙人よ」


 万桜さんが当たり前のように言う。

 レベルアップ仙人?なんだそれ……?


「誰?」


「昴君は異世界から来たからわかんなくて当然だよ。

 レベルアップ仙人は、見ただけでその人のレベルや才能がわかる人なんだ」


「へ、へぇ……」


 すごい人もいるんだな……

 でも、俺は諦めないぞ!

 きっと異世界から来た俺には凄い才能があって今にハーレムを作ってみせるぞー

 俺は静かに心に刻み込んだ。

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