第5話 奴隷市場

 そして俺は、奴隷商人に売られた。

 手を縛られ足には重い鉄球を着けられ牢に入れられた。


「兄ちゃんも売られたのか?」


 無精髭の兄ちゃんに声をかけられる。


「そうみたいです……」


 俺は、ため息混じりに答える。


「はははは……

 幾らで売られた?」


「500ゴールドらしいです……」


「安いなぁ。

 俺は550ゴールドだ」


「そうですか……」


 あんま変わらない。

 俺は、心の中でそう思った。


「まぁ、こんな生活も暫くすれば慣れるぞ」


「そうなんですか?」


「ああ……

 飯も1日2回でるし寝床もある」


「でも、奴隷って重労働とかするんじゃ……」


「それは、売られた先によるな。

 綺麗な姉ちゃんの性奴隷にされることもある」


「え?本当に?」


 まだ、ハーレムの希望はあるのか……


「ああ。

 だが、お前はイケメンじゃないからそれは無理だな」


 一瞬で希望を絶たれた。


「ところでお前名前は?」


「小野寺 昴(おのでら すばる)です」


「小野寺 昴……和の国のモノか?」


「和の国……

 まぁ、そう言われればそんな国だった気がする」


「曖昧だな……

 俺の名前は、バルド・バレット。

 しがない奴隷さ……」


 バルドさんは、そう言って笑う。


「奴隷ってどんな扱いを受けるの?」


「あんまいい扱いは受けないわな……」


「ですよね……」


 俺は、やっぱり絶望することにした。

 やっぱりハーレムは無理だよね。


「にしても、和の国の住人なのに言葉が通じるんだな」


「うーん。

 和の国と言うか、異世界かもなのですが……」


 俺はとりあえず事情をバルドさんに話してみた。

 まぁ、話したからといってどうにかなるとは思えないけど……


「……そうか、勇者ビシャスに捕まったのか」


「知っているんですか?」


「うーん。

 俺らの世界では有名だからな。

 勇者王の娘ビシャス。

 そのパーティーも勇者王とその仲間たちの子孫だ。

 魔王を倒す旅をしていて、腕もそこそこある。

 だが、あまりいい噂は聞かない。

 奴隷商人と繋がりがあるしな……

 男だけじゃなく女も結構奴隷商人に売られているみたいだしな」


「そうなんですか?」


「ああ……

 女は、ほぼ性奴隷で飼い主が飽きれば殺される。

 そんな人間を嫌というほど見てきた」


「……キツイですね」


 ハーレムがどうのこうの思っている場合じゃないな。

 俺は、そう思うとため息をついた。


「おいおい。

 そんな暗い顔をするな。

 俺らは、もうじき自由になれるぞ?」


 バルドさんが、そう言うと外が騒がしくなった。

 そして、荒々しくドアが牢のドアが開かれる。


「兵長!」


 そう言って綺麗な女の人が入ってくる。


「ミズキ。

 遅いぞ?」


 バルドさんは、そう言って笑った。

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