第6話 奴隷解放

「全く……

 いなくなったと思ったら、こんなところにいるなんて……」


 女の人は、そう言ってバルドさんの手を縛っていたロープをナイフで切った。


「ちと現状視察ってヤツだ……

 ここの状況は悲惨だな」


 バルドさんは、そう言って足の鉄球を外した。


「侵入者だぞー」


 そう言って奴隷商人たちが集まってくる。


「さて、ひと暴れするか……」


 バルドさんは、そう言って鉄球を奴隷商人たちに向けて投げた。


「援護します」


 女の人は、銃を構え奴隷商人たちを撃っていく。

 そしてバルドさんは、鉄球を振り回し奴隷商人たちを薙ぎ払っていく……

 なんて言うんだろう、これはアニメやゲームの世界だ!

 俺は、目の前で起きている現状に興奮していた。

 すると奴隷商人の1人の方に剣を向けた。


「あれ?俺も標的になってる?」


「奴隷の反逆は死罪だ!」


 その奴隷商人は俺に剣を振りかざした。

 俺は、その剣を避けた。

 俺は、続いてくる攻撃を何度も何度も剣を避けた。

 なんで避けれるかわからないけれど俺は、その攻撃を避けれた。


「へぇ……

 なかなかやるじゃないか昴」


 バルドさんが、そう言って俺を襲っている奴隷商人を鉄球で吹き飛ばした。

 どうやら、俺を襲った奴隷商人で敵は最後らしい。


「誰ですか?

 その人は……」


 女の人が、そう言ってナイフを僕の方に向けた。


「小野寺 昴だ。

 異世界の住人だそうだ」


「異世界?」


「まぁ、不思議なやつだが敵じゃない」


「なら、安心です」


 女の人は、そう言うと俺の手を縛っているロープを切った。


「あ、ありがとうございます。

 えっと……」


 そういえば、俺はこの人の名前を知らない。


「ミズキ・アズハです」


「ミズキさん……?」


「はい、ミズキです」


 この女の人も綺麗だな。

 俺が、見惚れているとバルドさんが俺に尋ねる。


「さて、昴。

 お前はどうする?」


「え?」


「このままここに留まるか……?

 それとも俺たちと一緒に来るか?」


「兵長!

 もしかして、この人をギルドに入れるおつもりですか?」


 ミズキさんが、眉をひそめた。


「ああ。

 なんとなくだが、気に入った。

 異世界から来たというのなら亜金のいい友だちに慣れるかもしれない」


「そういえば、亜金くんも異世界からの住人でしたね」


「ああ……」


「え?異世界から来た人って、俺が以外にもいるのですか?」

 もしかして、俺と同じ世界から来た人なのかな?


「いや……

 亜金は、少し違う。

 亜金は、【時の名を刻むモノ】だ。

 パラレルワールドの記憶を共有しているんだ」


 バルドさんが、そう説明してくれた。


「そうですか……」


 俺は、少しがっかりした。


「だが、異世界から来た住人は、この世界には結構いるぞ?

 そいつらは、共通して不思議な力を持っているんだ」


「え?そうなんですか?

 じゃ、俺にも不思議な力が……?」


「それは、なんとも言えないな。

 能力がわからず、村人として過ごしている奴もいるし能力に気づき冒険者として活躍している奴もいる。

 その辺は、千差万別だな」


 するとミズキさんが、部下らしき人と会話をしてバルドさんの方を見る。


「兵長。他の奴隷たちは全て解放できたとのことです」


「わかった。

 昴、お前はどうする?」


 俺に選択肢はなかった。


「俺を連れていってください」


「了解だ」


 バルドさんは、そう言ってうなずいた。

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