第4話 そして奴隷商人へ

「健康で丈夫そうな体ね」


 ビリーブが、そう言って笑う。


「私たちといいことしない?」


 シズカが、色っぽく唇に指を当てる。


「いいコト?」


 わかっているけど、ここはあえて聞いてみた。


「うん。

 いいコトだよ。

 さぁ、目を閉じて!」


 モチコが、俺の目を黒い布で隠す。


 目隠しプレイ?なかなかマニアックな……


「ふふふ‥…

 おバカさん」


 ピトスのその声とともに俺は、急激に眠くなった。

 なんだこれ……?

 俺は、そのまま意識を失った。









「この男か?」


 男の声が、俺の耳に入る。

 体が動かない。

 口に何かを詰められているので声が出せない。

 もしかして、これが俗にいうSMプレイ?

 俺は、そんなことを考えていた。


「健康で丈夫な男よ。

 もうちょっと高くならない?」


 ビリーブの声が聞こえる。


「そうは、言われてもなぁー

 このガキ、弱そうじゃないか?

 レベルも低そうだし……」


「でもー

 弾避けくらいにはなると思うよー

 あとは人体実験とかー」


 ピトスの言葉で俺はなにかを理解した。

 俺、もしかして売られようとしている?

 そう思った時、俺はうめき声をあげ抵抗しようとした。


「あ、気づいたっぽい」


 モチコの声が聞こえる。


「あれー?

 意外と早かったねー」


 ピトスの声が聞こえる。

 俺の情報源は耳からしかない。

 全て声だけなのだ。

 見えない恐怖、動けない恐怖。

 それは、初めての恐怖だった。


「状況がわかってないようね。

 説明が欲しい?」


 シズカが、俺に尋ねる。

 俺は、静かに頷いた。


「貴方は今、売られようとしているの。

 奴隷商人に……」


 ピトスが、そう言うとモチコが笑う。


「あは、おめでとう!

 君は、明日から奴隷だよ!」


「んー。

 じゃ、この値段でどうだ?」


 奴隷商人らしき男の声が聞こえる。

 奴隷?明日から?ハーレムは?異世界は?

 俺の中の希望……

 その全てが、音を立てて消えていく気がした……

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