四章 もう一人
第79話 ヘルの森に居た少女
よぉ。
アリムとかいう嬢ちゃんと、メフィラド城での食会が終わって3日後…か。
今、国から受けた依頼で、子分…もとい、[フィストアイアン]のメンバーの、ゴッグとマーゴ、そしてオレ、ラハンドで[ヘルの森]っつー森に、調査に来ている。
ま、オレが始めてAランカーになって受けた依頼だわな。
内容は、王都から港町[パルキーニ]へと向かう近道であるこの森を正式な道として整備するために、1週間かけて、この森に出没する魔物を調べて欲しいのだとか。
オレの心の友、ガバイナによれば、この間、仕事中にミルメコレオが三匹同時にでたっつーから、怖え話だわ。
ま、そんなこと起こっても、オレはこの二人をなんとしても逃してやるがな。
ちなみにそのミルメコレオどもはアリムの嬢ちゃんが処理したらしい。そん時はアリム……Dランクだったらしいな。スゲェよな。本当。
ちなみに、オレの子分二人はDランクだぜ?
ゴッグも、マーゴも16歳。アリムのようにはいかねぇよなぁ…。
そもそも、俺と此奴らが出会った時は、既に13歳だったな。
ゴッグは魔法使いの男だ。俺と出会った時は特になにも魔法は覚えてなかったがな。ゴッグは杖じゃなく、笛で魔法を発動させる。ま、なにもそれは珍しいことじゃねぇがよ。
マーゴは弓使い。ゴッグの双子の妹だ。俺と出会った時は、泣いてばかりいたな。今じゃ、いっぱし成長しやがって、その上、オレと結婚したいだなんて言いやがる。
ま、そのつもりはねぇよ。ゴッグもマーゴも、オレの子供みたいなもんだ。子供と結婚する親なんていねぇだろ? それに、オレは独り身が丁度いいんだ。
そう、ずっと言ってんだがよ……。此奴ら、それを照れ隠しだと思ってやがるんだぜ? まいちゃうよな、全く。
ちなみに、大会とランクに興味がねぇオレが、武闘大会に何故、参加したか。
そりゃ、まぁ、優勝賞金とスキルカードで二人の誕生日に、ゴッグにはスキルカードを、マーゴには新しい武器を買ってやるためだ。
あんのじょう、Aランクっつー、面倒くさいランクになっちまった。
さらに、食会の後、ファウストの奴は死んじまい、アリムとオレは英雄視されるようになるとか、色々あったな。
特にオレなんて、今まであんまり話しかけられなかったのに、王様から表彰された途端、よく話しかけられるようになった。
つまり、あれだ。悪いことばっかりじゃねぇな。
マーゴは寂がっていたけどな。そこで、気を沈めるために、賞金で買った新しい弓をプレゼントした途端、泣いて喜ぶんだから、女ってのはわからん。
ゴッグも新しいスキルを喜んで、すぐにSKPふって、練習しまくって、MP切れになってたな。
ただ、いくら嬉しいからって、マーゴ。
全裸でオレの部屋に突入するのだけは二度とすんなよな。心臓が止まるかと思ったぜ。
そんなこと思い出しながら、淡々と依頼をこなしていたら、もう夜だ。
今日1日の成果は、Dランク5体、Cランク2体だった。
そのうち、Dランク3体とCランク1体は倒した。マーゴが解体できる。
この依頼は別に魔物を倒さなくてもいいんだ。
ただの調査だしよ。
ゴッグのレベルが上がっていた。彼奴、SKPを全部、オレのよこしたスキル、『爆発』に振ったようだな。
本当、パーティメンバーには経験値が同じ数割り振られるってのはいいもんだ。
オレはバックから取り出した、マジックルームの簡易仮宅で、飯を食い、眠る。
マーゴには部屋に突入しないよう、よーく言い聞かせてからな。
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「起きてよ、ラハンドさん」
オレはその声で目覚める。ゴッグが起こしに来てくれたんだぜ? いい子だろ?
マーゴは朝食を用意していたぜ。
「おぅぅ! マーゴ、おめぇ、いつでも嫁にいけるよなぁっ!」
「じゃあ…ラハンドさん…私を……」
「だから、なんでそうなるぅ? 褒めただけだろうがよっ!」
「ぷぅ~…ケチィ」
こりゃ、もう下手に褒めれんな。
ゴッグも楽しそうな面してんじゃねぇ。オレは割と迷惑こうむってるんだぜ?
確かに、マーゴは整った顔立ち、性格もいい、家事もできるかもしんねぇげど、何回も言うぜ? 娘みたいなもんだっての。
オレらは簡易仮宅をしまい、また調査に移る。そうそう、仕事は真面目にな。
言いつけを守るのは偉いぜ?
オレらは昼までキチンと仕事してな、とある少し開けた場所で、昼飯にしようとおもったんだぜ?
だけどよ……その場所によ……人が一人倒れてたんだよ。
ゴッグが気付いたんだけどよ。
淡い薄黄緑色の長い髪をした、アリムと同い年くらいの娘だ。
「おい、おい、嬢ちゃん、でぇじょうぶかぁっ?」
そんな普通、人が居るはずがない、森の中で倒れていた嬢ちゃんを抱き抱えて起こすとよ、そいつの腹がなったんだわ。
……体格的に、しばらくなんも食ってねぇ感じだったな。
一体なにがあったんだ? この娘はなんなんだ?
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