第69話 武闘大会-5

「本気で行くぞ、アリムよ。『火の槍豪気』『鉄の槍豪気』……そしてっ、『槍の豪・五の月雨』っ!」



 ガバイナさんは恐らく全力なのだろう。素早い槍の猛攻が俺を襲う。

 だが、俺はそれを全て、剣でさばく。俺の方が武器スキルは上だ。



「なっ……これほどとはっ…」

「ガバイナさん…次、ボクの番ですよね?」

「あぁ、こいっ!」



 俺も真面目にガバイナさんの全力に応えてやろう。

 俺は気痛剣を構え、俺最大の剣技を放つ。



「剣極奥義・五の滅っ!」



 この技は本当に強力だ。もし、仮に、俺の吸魔剣に、MPを8000吸わせてからこの剣技を放ったら、小さめの山を切断できる。


 俺の放った強力な斬撃は地面と一緒にガバイナさんを裂いた。

 本当だったら、この地面に巨大な傷痕がのこり、ガバイナさんは頭から縦に真っ二つだったことだろう。だが、俺の剣は優秀だ。そんなことは起こらない。


 ______そしてガバイナさんは気絶し、倒れた。


 しばらくの沈黙。審判の判定。司会者は弱冠震えた声で、宣言した。



〔が……ガバイナ選手…気絶っ…! よって勝者、アリム・ナリウェイ……アリム・ナリウェイだぁぁぁぁっ!! 決勝戦進出うぅぅっ!!〕


 わっ! と湧き上がる大歓声

 俺は沢山のアリムコールに揉まれながら退場した。



〔あの…ギルマーズさん、これは一体なにが? あの、≪鬼槍士≫と言われるほどの、槍の名手、ガバイナ選手の槍の攻撃に対応した後…あの娘は何を?〕

〔彼女はどうやら、凄い剣技を持っているようだぜ。さらにあの剣、物を傷つけたら、その傷が治るエンチャントがかけてある…。つまりは、アリム選手は高速で切りつけて相手を倒してるのさ。一瞬でな〕

〔物の創作だけでなく、剣の技術まで……アリム選手は本当にすご_____〕



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 控え室に戻った俺は、スタッフに、明日の12時、大会の決勝をするので11時30分にはコロシアムに集合するように言われた。

 念のため、次からの試合を見ていかないか聞かれだが見ないと答えておいた。

 まぁ、確かに相手を確認するのは大切かもしれないが、今まで戦っていてわかっている。

 恐らく、5人同時に相手をしても、問題はないだろうということが。

 まぁ、ただ、少し本気だすけどね。


 

 俺は部屋に戻ってきた。今日ももう、1日することがない。

 どうせだからグレートポーションでも作るなか? いや、もっと良いの作れないかな。俺の魔力と器用さが反映されるポーション製造機と、石英からガラスを作り、さらに瓶にする機械を作ってみようか。



 2つの機械ができた。そして試しに、今作れる一番良いポーションと2番目に良いポーションを作ってみたのだが……



【「マスター・ポーション(HP)」


・状態→ 最良

・出来→ 最高

・価値→ 国宝

・材料→ 体力薬草

・種類→ ポーション

・説明

:飲んだ者のありとあらゆる傷を治す。

:微量だが、状態異常も治す。

:紛失した部位がこのポーションを飲むことにより、また生えてくる

:その他の効果も、これ以下のポーションと比べて、高い物となっている】



【「レジェンド・ポーション(HP)」


・状態→ 最良

・出来→ 最高

・価値→ 伝説

・材料→ 体力薬草

・種類→ ポーション

・説明

:飲んだ者のありとあらゆる傷を治す。

:状態異常も治す。

:紛失した部位がこのポーションを飲むことにより、また生えてくる

:1時間以内に、傷や血の不足、部位欠損や病などの身体的要因によって死亡した者が飲めば、その者は生き返る

:その他の効果も、これ以下のポーションと比べて、高い物となっている】



 ついに人を生き返られるようになったかポーションよ。

 俺もう、回復魔法いらないじゃん。

 はぁ……作り疲れた。明日決勝だってのになにしてんだか。


 おやすみなさい。



__________

______

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 おはよう。

 相変わらず、王都…とくにコロシアム付近は凄い人の量だ。

 これ、行くのに一苦労するんだよね。朝ごはんを食べて出発!


 11時20分、コロシアムの控えに着き、11時30分から、俺たち5人に説明がなされた。

 なんと、今はBランクの決勝戦中らしい。いやそんなことよりも、驚いたのが、今回優勝したら、王様と食事を共にしなきゃいけないことだ。Bランク優勝者とSランク優勝者と共に。メンドクセー。


 っと、こんなこと考えてる間に、Bランクの優勝者が決まったようだ。

 優勝者を聞いてなかった。まぁ、いいか。



 11時50分になった。全員、一番広い入場口で待たされる。




 ……審判に俺の名前が呼ばれた。

 さぁ、行こうか。

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