第70話 武闘大会-5

 ここに居るのは、俺を含め5人の冒険者。この大会を勝ち抜いてきた猛者達だ。

 

 筋肉隆々なおじさん、片手剣を持っている青年、杖を持っているお婆さん、高身長のモヒカン、そして赤髪の美少女の俺。

 皆んな、互いに睨み合っている。俺はニコっと笑って観客石に手を振ってるけどな。

 

 試合を開始するための司会が始まる。



〔さぁ…とうとうやってまいりました、第452回武闘大会Aランクの部決勝戦。司会兼実況は私、カイム・スピーチャーが務めさせて頂いております。そしてゲスト兼解説は、我が国が誇るSSSランカーの御三方です! さぁ、鈴の音がなったら試合開始だ! さぁ…なるか…________〕



 会場に、寺の鐘を鳴らした時の音が響きわたる。



〔さぁっ___試合! 開始! だぁぁぁぁ!〕



 選手全員が、補助なり、攻撃なり、魔法発動の準備をしている。


 俺は素早さの桁が違う。まぁ、それはグローブと靴のお陰だけれども…。

 つまり、この中の誰よりも早く魔法を発動させることができるのだ。


 俺は、俺含む全選手の両脇から、ワザと当てないように、サンダーマーチレスを発動。

 そのサンダーマーチレスが全て、真ん中一点に集結するように操作しながら、俺はフィールドの真ん中に素早く移動する。


 観客から驚きの歓声が上がっている。いいぞ、いいぞ。選手達はこの突然の出来事に、唖然としていた。

 

 中央に移動した俺は、気痛剣にMPを4000注ぎこみ、強化。

 ワザと光らせながら強化したから、高ランクの実力者以外は、剣技の1つに見えるだろう。

 

 俺はその剣を強化し、己に膨大な雷を纏っているように見せている状態で、剣撃により、嵐を起こす技……「剣曲奥義・四の絶」を発動する。


 嵐は、俺以外の全選手を巻き込み…そして、雷の無双と共に消えた。

 残っているのは、倒れている冒険者達…。無論無傷だ。


 実況者は、暫くの沈黙の後、言葉を発する。



〔あの……ギルマーズさん……今のは……?〕

〔あぁ、ありゃあ、あの娘の剣技だな〕

〔へ……でもあんなに激しい攻撃だったのに、どこにも傷が…〕

〔そりゃ、あの剣の効果だな。アリム選手が持っているあの剣、凄いぜ? 斬りつけた者に傷を残さない効果があるようだ〕

〔じゃあ…あの雷撃は?……パラスナさん?〕

〔あれはサンダーマーチレス……量も、見る限り最大までスキルが進んでるわ。 あれを牽制に使ったのよ、あの娘は〕

〔じゃ…今のは全て、幻術などではなく…〕

〔ソウダ、全テハ、アノ少女ノ力ナリ〕



 おいおい、早くしてくれよ…勝利宣言。

皆んな起きちゃうかもしんないじゃん? まぁ、あと1時間以上は気絶したままだと思うけどね。



〔………ということは、優勝は………アリム……アリム・ナリウェイ選手だぁぁぁぁぁっ! 最速最年少初出場初優勝……ここに今、1つの伝説が誕生したぁぁぁぁぁぁっ!!!〕



 勝利宣言の後…暫くの沈黙。そして……

 大 歓 声! 


 俺は何時ものように、お辞儀したり、微笑んで見せたりして、パフォーマンスを続ける。

 


〔優勝したアリム・ナリウェイ選手には以下の物が贈られます! [勝利の証の旗]と……賞金、30万ベルっ、スキルカード、さらに国王様との食会権利っ……!そして、今回、SSSランカー3人…そう、御三方全員の推薦により、アリム・ナリウェイ選手は今日より、Sランクとなります! そして、今、[勝利の証の旗]が、ギルマーズ・ヘラクレイアさんにより、贈られ______〕

〔その、贈呈、ワシにやらせてくれんか?〕



 カイムさんの司会に割り込んできた人物がいる。

その人物に、会場が騒然となった。勿論、俺も心臓が飛び出るかと思った。

なぜなら_____



〔こ………国王様!? 国王様がですか!?〕



 そう、このメフィラド王国の国王だったのだ。



〔うむ、是非な…〕

〔は、はぁ……承知致しましたっ! ……それでは、[勝利の証の旗]が、国王様により贈られますぅぅぅ!!〕



 はぁ、本当に国王様が、従者と共に降りてきやがった。

 なんだ、なんだ、なんだってんだ?

 

 そして、彼は俺の側まで来て、旗を手渡してきた……。

 ヤベェ、今更ながら手が震える。

しかし、彼は小声でこう言った。恐らく、俺と従者さん達にしか聞こえない程度の声だろう。



「赤い髪の美しい少女、話で聞いた通りだ。……君がアリムだな?」

「は…い…そうでございますぅ……」

「ふむ、そんなに緊張する必要はないぞ?」

「で……でも突然のことでして、なにがなんやら……」

「はは、そうか。まぁ、うむ、私が降りてきた理由はな、2つあるんだが…まぁ、1つは歴史に残る伝説を作り上げたからだな」

「あの…もう1つは?」

「それは食会の時に話そうぞ、とりあえず、おめでとう。小さき冒険者よ」

「ありがたき…幸せです…」



 彼らはそう言うと、王族専用席に帰っていった。それにしても、国王、誰かに似てるんだよなー。金髪とか、どう見ても40代後半なのに、それでもわかる、整った顔立ちとか……だれだっけなぁ……?

 国王が席に着いたのを確認したカイムさんは司会を再開する。



〔……まさか国王様が…。と、とにかく! 優勝者、アリム・ナリウェイっ……! 俺は今後、この娘を[天の魔剣少女]と呼ぼう! 今後の活躍に期待するぜぇぇぇっ!〕


【称号[Aランク武闘大会優勝者]を入手しました。これによりSKP、STPを200ずつ獲得。

また、二つ名、[天の魔剣少女]が追加されました。また、称号[魅惑の美姫]が、[魅力の女神]に昇格しました】



 二つ名って、ステータスに表示されるのか…。

そして、さらにSKPとSTPが増えたな。魅力も上がった。

 この大会にでてよかったと…言えるだろう。

 それにしても、ずっと俺に対する歓声が鳴り止まない。

 しょうがないなー。その場で一回転しながら手を振ったり、ウインクしたりする。



〔それじゃ、アリム選手は退場してくれ、みんな、拍手で送ってくれよな! 次のSランク決勝戦は1時30分から、1時30分からだぜ___〕



 俺は言葉通り退場した。控え室にはガバイナさんが待っていた。



「優勝おめでとう、アリム」

「ありがとうございます!」

「次の試合は見ないのか? 優勝した者が明後日、お前と一緒に国王様と食会をするんだぞ?」

「いえ…別にいいです」

「ふむ…確かに、今回に関してはあまり見ても面白くないかもな」



 ん? あまりよろしくない顔をしているぞ?

 どうしたんだ?



「なんでですか?」

「いやな、出場選手の一人のファウストという男はな…反則はしまくるわ、女性出場者に攻撃と称し、性的行為をするわで、あまり世間から好かれていない者なのだ。俺も嫌いだ。5年位、出場停止となっていたのだが、それが解けたんだ。実力はあるのだがな……。それに、今回そいつが優勝する可能性が高いのだ……。もし、そいつが国王様に無礼を被ったり、アリムにいかがわしい行為をするのではないかと思うと、な……」



 あぁ、つまりはセクハラや反則行為をする嫌われ者が居るし、そいつが優勝する可能性があるから面白くないと、そういうことね。

 じゃ、なおさら帰ろうっと。あ、会食を共にする、Bランクの人だけ聞こうかな?



「そうですか、じゃ、やっぱり帰りますね? ところで、ボク、Bランクの優勝者を聞いてなかったんですが……どなたですか?」

「あ、あぁ、それはだな…!」

 


 あれ? 顔が明るくなったぞ? 仲が良い人なのかな?



「[#鉄の拳__フィストアイアン__#]というパーティのチームリーダー、ラハンド・アッシュという奴なのだがな、見た目は怖いが、良い奴でな…俺の旧友…いや、悪友と言うべきか。昔馴染みの仲なのだ。よく、二人で悪ふざけをしてな………父に怒られたものだ。ふふっ…」



 予想通りだね。当たっちゃった。彼はまだそのラハンドという人について話す。



「本当は俺と同じ位の実力があったのだが…『面倒はごめん』だなんて言ってな、Bランクでとどまっていたんだ。そして、『暇つぶしにやってみる』とか言って、大会に出場し、今日、見事優秀な成績をおさめ、Aランクとなったんだ! ……あいつはめんどくさがっていたがな……」

「へぇ、どんな人なんですか?」


 

 彼は得意そうに話を続ける。



「そうだな、奴は面倒見がいいな。口は悪いがな。いざというときに動ける男だ。まぁ、見た目は本当に悪そうにみえるからな。怖がる奴も多い。だから、今、アリムには先に言っておく。それに彼には、俺が酒を飲みながら話している時にアリムのことを話しているからな……話しかけてくるやもしれぬぞ食会で」

「そうですか…見かけたらお話してみますね?」

「あぁ、そうしてみるといい」




 俺はガバイナさんとの会話を終え、家に帰った。 

 今日は少しお祝いだ。

 チャイルドラゴンのステーキを沢山食べよう。


 

 今日の残りの時間を少し贅沢に過ごした俺は、ゆっくりと眠りについた。

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