第34話 投石

「リロっ! ミュリっ!」

「やめろぉぉぉぉぉぉっ!」



 ルインさん、オルゴさんは叫ぶ。このウインドエミッションが当たってしまえば、ミュリさんも戦闘不能となり、さらにリロさんは………

 ""死んでしまう""



 ………そうはさせるかっての。


 俺は魔法陣が出たと同時に行動を起こしていた。

 物陰からでて、近くの手頃な石を掴み、全力で灰騎犬に投げつける。

 その石は弾丸のように超スピードで飛んでいき______



 奴の腹にその石と同じサイズの風穴を開けた。 魔法陣をうまくキャンセルできたようだ。


 なぜ、魔法ではないのか。魔法だと間に合わない恐れがあったから。

 ちなみに、投郷の威力とコントロールはCとAに依存する。



「今です!ルインさん!オルゴさん!」

「「!?」」



 二人は俺が石を投げたことに一瞬呆然としていたが、すぐに攻撃態勢を整え、魔法を唱える。



「よくやったアリムっ! ソード・ランドオーラァァァァァァッ!」

「またしてもリロをっ……! ソード・ライトオーラァッ!」



 二人 は剣にオーラを纏わせた。


 オルゴさんの剣は橙色のオーラに包まれている

彼は自分の間合いに移動し、剣を上段に構え、大地を割らんばかりの勢いで灰騎犬めがけて剣を叩きつける。先程とは違う、かなりの火力だ。


 ルインさんの剣は白いオーラに包まれている。

 そして、今までの速さでは考えられないスピードで間合いを詰め、オルゴさんの攻撃を受け、ヨロヨロと立ち上がろうとしている灰騎犬に連撃をあびせた。


 今までの二人とは全然違う。おそらく、MPも沢山かかってはいるだろうけど、やはり動きと威力が良くなっていた。

 オルゴさんの攻撃は重く、ルインさんは速く。そんな二人の斬撃が灰騎犬を襲う。


 そして、トドメに、二人は攻撃の手を止め、オルゴさんはランドボール、ルインさんはライトエミッションを唱えた。



 灰騎犬は倒れた。



 俺は、灰騎犬が倒れたのをみて、すぐさまミュリさんとリロさんの元に駆け寄った。



「ミュリさん! リロさんはっ!?」

「大丈夫……です……。ヒール……沢山っ…かけました…からっ……。」



 どうやらMPが0になったみたいで、反動がきつそうだ。リロさんは未だ気絶している。

かの、剣士二人は



「やった……のか?」

「ああ」

「「よォッシャァァァァ!!」」



 強敵を倒した喜びを感じていた。

 そんな4人に村中の人達がワッと押し寄せてくる。



「ありがとう…ありがとう…」

「今すぐっ!医務小屋へ運ぶぞっ!」

「あの…バケモンを倒したっ…!」

「お前さんたちはこの村の英雄だべさ!」



 様々な村人からの感謝感嘆の声。ジーゼフさんとガーベラさんも感謝と身体の気遣いの声をかけている。


 そんな中、ルインさん、オルゴさんがこちらに向かってきた。



「その……なんというか………。あれには本当に驚いたけど……今はとりあえず。リロとミュリを助けてくれてありがとう! 本当に…ありがとう…」

「アリム…おめぇ……。いや、なにも言うまい。

助かった。俺たちは大切な仲間を失わずに済んだんだ。ありがとな。」



 あちゃー。全力を出しすぎたね。

 でもこうでもしないとリロさんは危なかったし、仕方ないよね? 無理に隠さなくてもいいかなもう。色々と。


 村人達は担架でリロさんを、ルインさん、オルゴさん、ミュリさんは、この村の医務小屋へと入っていった。

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