第35話 調薬
ゴリゴリゴリゴリゴリ___________
俺は今、村の医務小屋の一室でガーベラさんと薬草をすり潰してポーションを作っている。
ガーベラさんに、手伝わせて欲しいとお願いしたんだ。もちろん、快く了解してくれたよ。
薬草はすり潰し、お湯でこしてポーションするのが一般的。
薬草はこの世界に基本どこでも生えていて、造り方や技術次第では強力なものまでこの薬草から作れるのだとか。つまり、上薬草とかは無くて、作り方で効果がかわるってこと。
………っと、「調薬★」というスキルを得たみたいだ。今はこのスキルが必要な状況。すぐに調薬を50SKPでMAXにした。
……調薬は進化して「真・調薬★★★」となった。こんなところで「真」2つ目が手に入るとはね。
とりあえず、MAXまで150SKPであげた。まだSKPは3840もあるんだ。このくらい気にしない。
俺は先程とは段違いのスピードでポーションを作り上げてゆく。いやー、意外と楽しい。
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ………ハッ!?
ふと、ガーベラさんの作業する音が聞こえなかったから見てみると、ものすごい物を見るような目で俺を見ていた。
……なんで?しかもなんか呟いてる。
「グ……グレート……ポーション………」
ん? グレートポーションってなんだろ。そういえば今、俺が作り終えた3本くらい、虹色に輝いてるぞ。
これ、グレートポーションっていうのかな?鑑定してみよう。
【「グレートポーション」
・状態→ 最良
・出来→ 最高
・価値→ 宝
・材料→ 薬草
・種類→ HPポーション
・説明
HPを全回復する。また、失った身体の一部を再生させることはできないが、傷や怪我ならばどんなに大きなものでもすぐにふさがり、完治する】
うわぁ…これはヤバイ。ガーベラさんが唖然とするのも無理は無いね。調子に乗り過ぎちゃった。
まぁ、見られちゃったものは仕方ないよね!
これを作り続けよう。作ったグレートポーション4本をガーベラさんに渡してお願いする。
「ボクはまだポーションを作るので、ガーベラさんはルインさん達にコレを渡してください!」
「………………………………………………………」
うーん、見事に上の空。もう一度声をかけてみよう。
「ガーベラさん? ガーベラさん!? これ! ルインさん達の! ところに! 持って行って! くれませんかっ!」
「え………? ………は、はいっっ! わかりましたっ!」
なんで敬語になったの?
まぁいいか。とにかく作り続けよう。それしかあるまい。
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「あの……これ……。お使い下さい」
私は村の英雄達に、アリムちゃん、否、謎の少女に渡されたグレートポーションを差し出す。
「えっ、これグレートポーションじゃないですかっ!? こんな高価で貴重な薬、受け取れませんよ。そもそも、どうしてグレートポーションが4本もあるんですかっ!?」
「そうだぜ、それ一杯で大金貨4枚するって言うじゃねぇか………」
「……そうです…よ。私達の……為に……村の大切なお薬を…。使ってもらうわけには……」
それはそうよ。これが本当に村の物だったら、私だってリロさんの分しか渡さないわ。なんせ、死にかけの人間も完全回復するのだから。
でも……
「その……実はこれ、アリムちゃんが作ったんです……」
暫くの沈黙の後、その場にいた村人達も英雄達も私の夫もみーんなこう発する。
「「「えぇぇぇぇええええぇっっっ!?」」」
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