第1087話 レベルメーカー
【それで、レベルメーカーはどんなスキルなんだ?】
【……マスター系とはまた違う。その名前の通り、レベルを作り出し、司る。この世界においてレベルは全てだ。ステータスもスキルもレベルがないと育たない。レベルメーカーとは、自他の『レベル』という概念を弄りまわせる能力だ。……要するに二代目アナザレベルは、自力で神としての運営能力を作り出してしまったのだ】
つまりあれか、『レベル』で動かせるもの全部をどうこうできるってことか。また他にも、シヴァによれば、新しいレベルアップの方法や存在を生み出すこともできるそうだ。
二代目アナザレベルは有夢にこんなとんでもねーもんを作らせようとしていたってわけかよ。
【話を戻すぞ】
シヴァは、その二代目アナザレベルとなる元学生が『レベルメーカー』を作り出してしまった頃から話を続けた。
レベルメーカーの能力により『アナズムにいる存在としての』レベルを一気に1まで下げられてしまったアナザレベルは、ステータスマスターの能力によりステータスとスキルを吸収され、さらに神の力の一部も奪われる。残りのアナザレベルは三分割され、魔神として封印されてしまったのだという。
ちなみに、アナザレベルが奪われた神としての力は十分の一だけであり、のこり九は魔神達が未だ持っているのだという。有夢の神具級のアイテムでも禁止できなかった、魔神同士の会話や好きな場所を覗く能力はその一端だという。……実はまだまだ力を隠し持っているようだ。
かくしてアナズムの民が知らないうちにアナザレベルは二代目となった。二代目アナザレベルは、アナザレベルが復活しないよう、彼らを魔神と見立て、自分の妻とその子孫達に神としての力の一部を与えて管理するように命じた。
そして、メフィラド王国は近隣の国民から『勇者』が出るように、エグドラシル神樹国は地球から一方通行で、一方的に誰かを召喚し『賢者』とできるように、ブフーラ王国は好きな人物を『導者』にできるようにしたのだという。
こうしてアナズムの今の歴史が作られた。
……が、また何千年して二代目アナザレベルは神をするのに飽きてしまい、誰かを据え置いて自分は神から降りようと思いはじめた。しかし普通の人間は神の力を扱いきれず、また、『レベルメーカー』がないと運営も難しいため、その神の器となれる人物を求めて奮闘し続けた____________
それが、ざっくりとした二代目アナザレベルの経歴らしい。要するに、だ、俺たちは単にアナザレベルと二代目アナザレベルのいざこざに巻き込まれただけってことになる。
ちなみに二代目アナザレベルは神を降りたかったが、報復を恐れアナザレベルを蘇らせることは考えず、むしろ幻転丸に地球へシヴァを送らせることで何百年も遠ざけた。すでに自分の方が格上となったというプライドもあるらしい。なるほどな、そりゃ自分勝手と言われても仕方ないわな。
【以上だ! 何か質問はあるか?】
「……じゃあなんで魔神は人を襲ってたの? 神様の記憶があるんでしょ?」
【元に戻るためだゼ! とりあえずオレ様達の邪魔をする人間を減らして、さっさと他の魔神を蘇らせて合体しちまおうっていう意識があるんだよな。全員共通でな】
【たった一柱だけ、別世界に送られた先で美少年に惚れてきて心をまっさらにされたようだがな】
【あゆちゃんは最高の癒しだ。だから、なんとしてでも、二代目から取り戻さなければならない】
【言っておくが、私達の性別は男だぞ】
ま、まあ、男が有夢に惚れることはよくあるから別にいいんだがよ。つまりあれだろ、今、魔神達を一気に解放しちまえば合体して元のアナザレベルになって、二代目アナザレベルをどうにかできる可能性があるってことだろ?
そしてスルトルの力も持ってるアナザレベルは、別世界から有夢を連れてくることができるはずだ。
「じゃああれじゃん、シヴァ達を解放したら終わりってことじゃないの? アナザレベルに戻ってもらって、神様なんだから兄ちゃんをこっちに連れてくることもできるでしょ?」
【まあ、ただの封印だったらこの場にいる皆でできたかもしれんがな、あゆちゃんってばガッチガチに封印してるから、同じアイテムマスターのスキルを持った人間じゃないと解放できないのだ】
「そんな……っ」
当然だが、俺が思いつくようなことはこの場にいる大体の人が思いつく。すぐに叶くんが訊いたが、どうやらダメなようだ。
【おい、皆。メッセージを黙らせていた二代目アナザレベルがそろそろまた喋り始めるぞ】
【そうか、サマイエイル。ならもう解放してやれ】
【ああ】
【……やっと繋がった! 魔神どもめ、勝手なこと言いやがって……!】
【だが、真実だ】
そうか、シヴァが長く話してたから忘れかけていたが、今まで二代目アナザレベルからのメッセージをサマイエイルとスルトルで抑えていた状態だったか。力を奪われたとはいえそこまでできるのは、流石に神様だからなんだろうな。
【……もういい、俺の過去が知られたからには今からそっちに行く。そっちに行って全員レベル1にして全員皆殺しにしてやるさ!】
そうメッセージが送られてきた次の瞬間、この部屋のドアが破られ、そこに有夢と美花を別世界に送った日本人が立っていた。
「……さあ、覚悟はいいですね?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます