閑話 ハロウィン!!

Levelmakerは今回で四回目のハロウィンを迎えました。

ハロウィンは毎回ラストに皆をイチャつかせてますので、今年もラストにイチャつかせたいと思います。

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 毎年、ハロウィンの仮装はそれぞれ個々人で楽しんでいたけれど、今年は六人みんなでパーティすることになった。なんでもアイテムを自由に作れるスキルを持っている俺たちだからこそできる仮装。みんな、どんな仮装するか楽しみだね!

 ちなみにパーティだから机の上にはたくさんのお菓子があるよ。ケーキとかパンプキンパイとか、キャンディとかチョコレートとか。サクラちゃんがさっきからはしゃいで食べまくってるからもう結構減ってるけどね。



「トップバッターはみんな俺でいい?」

「カナタが? いいよ!」

「じゃあ着替えてくる」



 ちなみにアイテムを使った着替えだからどんな複雑なものでもものの数分で変装が終わるよ。というわけでカナタが戻ってきた。肌の色が青白くなり、口から牙が生えてる。



「おー、吸血鬼だね?」

「……吸血鬼? 否、我は高貴かつ強大な存在、ドラキュラ伯爵也」

「確かに着てる服が貴族っぽいもんね」

「我こそは闇より出でし漆黒の存在。故に今宵のような日には思わず力がこもってしまうというもの……」

「わふぇ? どういう意味?」

「自分は中二病だから、ハロウィンは思わず張り切っちゃうんだーって言ってるのよ、かにゃたは」

「わふー、そういう意味かー」



 ネタの説明をされてカナタが少し恥ずかしそうにしてる。久しぶりにカナタのそういう表情を見た。次に仮装に名乗りを上げたのはショーだった。ショーが仮装してきたのは、上半身に白いタンクトップ、下半身に作業着のようなブカブカなズボンを履いて無表情の仮面を被り、手に斧を持ってるホラー映画のキャラクターだった。



「フガー!」

「おー、本物より本物っぽい。こんなのが夜、この屋敷を歩いてたら普通にこわいね」

「翔って仮装といえば毎年フランケンシュタインだったじゃない。他のもできたのね」

「ちっーと勉強したんだよ」

「わふー、ショーは昨日、ホラー映画三本も見て頑張ってたんだよ!」



 ちなみにリルちゃんはショーがホラー映画見ている最中、怖がっているふりをしてずっと抱きついていたらしい。本当はそこまで怖くはないそうだ。まあ、アナズムの魔物の方が物理的にこわいし。

 ここで男が2連ちゃんで続いたので、この流れで次は俺が行くことにした。ふふふ、とっておきのを見せてあげようじゃないか。



「じゃじゃーん!」

「え?」

「有夢っぽいな」

「またそれなの……?」

「え、ダメだった? パンプキンだよ、パンプキンそのもの! この皮の材質とか限りなく本物なんだよ!」



 なんでだろう、超巨大カボチャをくりぬいてその中に入り込んだのがそんなにみんな気に食わなかったのかな。



「あゆにぃの頭がカボチャから出てる……」

「わふー、可愛い顔だけがカボチャに入り込んでて、これこそシュールって感じだね」

「というわけで、有夢、お着替えしよーね」

「わあっ」

「はい、ゴロゴロゴロ」

「やーん!」



 ミカに蹴飛ばされて転がされて、無理やり着替えさせられた。流石にみんなの前だからか露出の多い格好ではない。二人きりなら絶対ミカのエッチな趣味が入ったものになるからね。

 チェック柄のシャツに大きめのくつ、オーバーオールにちょっと跳ねさせられた頭。そして口元に描かれた二本の線。ホラー映画の動くお人形さんだ。



「わふー、やっぱりミカちゃんはセンスがいいね!」

「でしょ?」

「じゃあ次は私がやってくるよ」



 そう言ってリルちゃんは着替えに向かった。どうやら今年は狼女として登場するだけじゃないらしい。地球で仮装するときはいつもそれなの。そしてあらわれたのは赤ずきんちゃんだった。獣耳も牙も尻尾も引っ込めて、髪の毛を金髪にしたリルちゃん。狼が赤ずきんちゃんを演じるとはこれいかに。



「わふぅ、どう?」

「狼が赤ずきんちゃんやるっていうギャップがいいね」

「でしょう? 実はこれショーの趣味なんだ! 私に出会った時に一番最初にプレゼントとして買ってくれたのがこの赤い頭巾でね」

「ま、まあ、まさか地球に来るとは思ってなかったからよ。狼が赤ずきんなら面白いなーって」



 なるほど、ショーの趣味ね。あの筋肉がそんなメルヘンなことしてたんだ。意外だなぁ。 

 次に仮装するのはサクラちゃん。お菓子を頬張りながら着替えに向かって、数分後に戻ってきた。サクラちゃんにしては珍しく縛っている髪をミカのようにストレートに伸ばし、修道女さんの格好をしていた。



「なるほど、この伯爵に対して修道女であるか。血を吸い尽くしてほしいようだな……!」

「そ、そういうのは後でね!」



 俺がドラキュラの仮装したとかはミカの首筋に噛みつかせてもらったからね、そういうことするんだろうなぁ。



「わふー、似合ってるね! でも私、お風呂とか以外でサクラちゃんが髪縛ってないとこ初めて見たかも。噂通り、ミカちゃんにそっくりだね」

「えへへ、ありがと」

「よし、じゃあ最後は私ね!」



 いつもは大体、魔女かメデューサなんだけど、今年はどんなのにするんだろ。髪型を大幅に変えてくる可能性があるな。ミカの髪の毛ってサラサラで真っ黒でとっても綺麗なんだけど、長さはお尻くらいまであるから結構、和風以外の仮装が地球ではしにくいんだよね。サクラちゃんもそれは同じみたい。

 ……あ、ミカが出てきたっ……て、え。



「オーホッホッホッホッ!」

「すごい迫力……髪の毛が巻き髪ロールね。なるほど、劇団とかでみるような中世のお嬢様に仮装したんだねお姉ちゃん」

「わふー、役に入りきってるね」

「厚化粧だね、ミカ姉」

「やっぱ薄化粧の方が似合うな、ミカは」

「なにぃ! 男性陣からは不評なのねこれ!」



 まあ、ミカっぽくないというかなんというか。ミカって実際は俺とあんなことやこんなことしてるから全然清楚じゃないんだけど、見た目は清楚オブ清楚だから、こういう格好してくると驚いちゃう。



「本当は今年、有夢と二人っきりならエッチなボンテージ着てサキュバスとかやろうと思ったのよ」

「わふー、いいねそれ。ショー、部屋に戻ったらやってあげるね?」

「お、おう!」

「……かにゃたもしてほしい?」

「ちょっと俺には刺激が強すぎるかな」

「そっかぁ」

「まあでも、みんなの前だから思い切ってこういうのにしてみたってわけ! ……んー、来年はもっと別のにしようかなー」



 そのあとは俺たち六人はそのままの格好でお菓子をたくさん食べた。なんか食べ始めた頃にはもう半分に減っていて、サクラちゃんのお腹が見てわかるほどポッコリしていたのは……まあ知らなかったことにしよう。どうせ太ることなんてないし。

 そしてパーティがお開きになってから、ミカは本当にサキュバスの仮装をしてきたので、俺たちはイチャイチャした。

 ちなみにあとで聞いた話だと、リルちゃん達もやっぱり同じことやったらしい。やーん、不健全!



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Levelmakerもあと数ヶ月で連載開始四年が経ち、五年目に突入します。ただ、もう少しで本編が終わるので、本編に潜り込んでくるタイプのハロウィンの閑話はこれで最後でしょう。

いやー、同じイベントで閑話を四つも書くとはね……。

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