第982話 たぶん関係者

「大丈夫!? なにがあったの?」



 ローズとガバイナさんにに急いで駆け寄った。特に外傷はないみたいだけど、ローズの様子が心配だ。



「ふぅ……来てくれて助かったぞアリム……」

「家から結構離れているだろ? なぜここで事件が起きてるとわかった?」

「アイテムマスターのスキル持ってるので、実はどこでなにが起きてもいいように監視装置をいろんなところに置いてるんです」

「なるほどな」


 

 しかし酷い有様だ。なんて言えばいいんだろう、辺り一面ひび割れていてぐちゃぐちゃに枯れ腐った植物が散乱してる。それになんだか生き物じゃないはずの地面の石ですらひどくくたびれて劣化してしまったみたいだ。数百年放置されたような感じ。

 並大抵の事ではこんなことにならないよね。



「どしたの、これ……」

「我が説明する。アリム、お前狙われてるぞ」

「なんとなく知ってるよ」

「そうだったのか? 実はな……」



 ローズが事細かに説明してくれた。といってもガバイナさんに聞かれたくない内容が混じっていたらしく、メッセージで、だけど。

 要約すると黒いフードの男がローズのことを何かに勧誘できないかもしれないと思って近づいたけど、そうはならなさそうだったから攻撃してきたため一戦交えることにしたと。

 んで、その黒いフードの男はすごく昔に暴れまわったカオスブラックドラゴンという魔物のローズと同じ人間態だったってわけだ。その男の人の口から俺の名前も出てきて敵対視してたって言うし、ほぼ確実にアナザレベルって神様関連なんだろうなぁ。

 俺たち地球組だけじゃなくて、ローズやガバイナさんみたいな友達にも手を出し始めてきたか。話を聞く限りじゃ偶然みたいだけど、転生したって聞いた途端ガバイナさんも標的にし始めたみたいだし。



「むむむむ、まためんどくさいのが増えたな……」

「アリムは何か知ってるのか?」

「うん、まあ……一つ言えるのはその人が最近魔物が増えてる現象に関わってるってことかな」

「もしかして組織的なものなんじゃないか。あの男、誰かに何かを頼むような様子を見せてから一瞬で姿が消えてしまったんだ」

「多分そうだと思います。ボクたちも詳しくはわからないんですけどね」



 ただ同じ昔存在したSSSランクの魔物でもそいつは特別扱いってことか。相当強かったのかも。うん、すでに転生してるローズとガバイナさんが取り逃がしたくらいなんだからきっとそうだよね。めんどくさいのが増えたなぁ。



「とりあえずここ元に戻さないと……いや、その前に兵士さんたちにここの状況把握してもらってから、そのカオスブラックドラゴンっていうのの似顔絵を描いて指名手配してもらおう」

「そうだな、それがいい」



 というわけでしばらくしてからやってきたお城の兵士さんたちに四人で簡単な事情説明して、そのあと国王様にはもうちょっと詳しく教えて、自称カオスブラックドラゴン男を指名手配することにした。

 どこかに現れたらすぐわかるようにしておかなきゃね。SSSランクの人間も探知できるようにしておいてよかった。

 あと街の地面の修正はサクラちゃんに頼んだよ。新しく手に入れたスキルの練習も兼ねて、被害を被っていた範囲の時間を巻き戻して綺麗にしてもらった。修復に関してはアイテムマスターより上だね、すごいよ。

 ともかく色々終わる頃にはもう夕飯時も少し過ぎてる頃で、俺たちはヘトヘトになって屋敷に戻ったんだ。被害者であるローズとガバイナさんはもっとヘトヘトだろうね。



「……ねぇ有夢」

「なぁにミカ」

「今度からなにか急がなきゃいけないことがあったら、一旦私が時間を止めてから駆けつけよっか」

「そだね、それがいいよ!」



 サクラちゃんのといい、やっぱりスキルは新しく作っておいて正解だったね。いろんなことができる。これで今回みたいに駆けつけた頃には自体が終わってたなんてことが少なくなるわけだ。



「それにしても、転生した人まで敵だと判別してるって、カルアちゃんや国王様も危ないんじゃない……?」

「んー、ガバイナさんの話だと実力を見せるまで気が付かれなかったらしいし、今まで通りみんなが実力を発揮させる機会を作らなきゃ大丈夫なんじゃない?」

「じゃあローズとガバイナさんには注意を強めなきゃ……」

「そうね」



 ウルトさんとパラスナさんに因縁があるやつが脱獄してからあの二人への注意を強めたけど、それと同じくらいにした方がいいかもしれない。

 自分の目の前で人は死なせないし、知り合いの人を傷つけさせないよ。それがどんなに難しいことであっても俺はやり通すよちょっと敵が手ごわすぎるかもしれないけどね。



「とりあえず頑張るしかないかぁ」

「有夢……毎回思ってるけど、頑張りすぎて倒れないでね?」

「頑張りすぎて倒れたことある?」

「ないわね、連日徹夜しても平気な顔してたし、毎日私と体力勝負してるのにけろりとしてるもんね」

「これが俺の特徴でもあるから、頑張っていこうと思うよ」



 まあ俺にこの体力の高さがなかったら今頃過労死してるもんね。とりあえず今の調子ならまだ大丈夫。



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2巻の情報をもう少しで公開できますよ!

2巻はもちろん美花(ミカ)が出てきます!!

ヒロイン(正妻)の出現です(。・ω・。)

 

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