閑話 クリスマス 〜The third〜


<この話はLevelmaker本編に一切関係ありません、クリスマス特別編です。三度目ですね!>




「ボクはアリムサンタ! 今年もクリスマスだからいい子達にプレゼントを届けるよ!」



 真っ赤な服を着た真っ赤な髪の自称サンタクロースがテンションを高めにしてどこかに向かって挨拶をしている。その隣には機嫌が悪そうなガタイのいいトナカイもいた。



「なんかよくわかんないけど三回目って感じがするね、長いことありがとうだよ! そしてこいつがマッチョトナカイのショウ君!」

「なー、なんで俺がトナカイなんだ?」

「じゃあソリ役がよかった?」

「いや、そういうわけじゃねーけどよ……」

「実はこんなお便りが来てるんだ」

「お便り?」



 アリムサンタは服のポケットから一枚の手紙を取り出した。それを開いて内容を読み始める。



「アナズム在住のFさん、16歳からのお便り! 『わーふ、毎年毎年プレゼントの配達ご苦労さまだよアリムサンタさん! 今年はできることならマッチョでイケメンな人を相方に添えて欲しいな!』……って。サンタさんの相方といえばトナカイでしょ?」

「おい、この便り送ったのリルじゃねーのか? あいつ何やってんだ」

「送り主と個人情報は教えられないよ。ところでボクの今日の服装どうかな? ガーターベルトは攻めすぎたかな?」



 アリムサンタはトナカイの前で自分の服装を見せつけた。脚の柔らかさを強調するかのようなニーハイをガーターベルトで固定し、かなり短いホットパンツを履いている。さらに上部は臍とお腹周りを露出し、脇を見せつけるようにノースリーブである。



「お前、仮にも女の子を自称してるんだからよ、そういう風紀を乱しそうな格好はどうかと思うぞ」

「いいんだよ、ボクの彼女兼彼氏のリクエストだからね! それにボク、男化した彼女と色々あっていろんな意味で子供じゃなくなったからもうこういうのもありだと思うんだ。今夜も仕事が終わったらイチャつくつもりだよ

「何やってんだ二人して」

「いいでしょ、どうせショーも帰ったら風紀を乱す格好をした狼が目をハートにしながら待ってるんだから」

「ま、まあな」



 アリムサンタに言われたことを全く否定できずショートナカイは言い返すことができなかった。

 二人は時間がないのでさっそくプレゼントを配ることにした。まずはある科学者の家と王手カフェチェーンのオーナーの家の間で空中停止する。



「やっぱり一番いい子っていったらラブラブだけど中学生らしい行いはしてるカナタとサクラちゃんだよね!」

「ああ、こいつらは良心だな。あぶねーことはしてねー」

「ん、まって。去年と違う……ちょっと今年はどうだったか分析してみるよ」



 アリムサンタはどこからともなくアイテムを取り出し、それぞれカナタとサクラのいる部屋を照らした。そしてでてきた結果を見る。



「うわ、中学生らしからぬ行為をしてるよ! 特にサクラちゃんの方から迫ってることが多いみたい!」

「まあ美花の妹だしな、見かけによらず大胆なんだろう」

「まさか自分の身体をペタペタ触らせるなんてね。んー、これは去年よりプレゼントの質をグレードダウンかなぁ」

「別にいいだろそんくらい」

「む、そうかな? じゃあとりあえず今年は例年通りにするよ」



 アリムサンタは窓からプレゼントを放り投げた。今度はカフェチェーンオーナーの家の別の部屋に注目する。



「ミカだよ、ミカが俺を待ちながらウトウトしてるよ! 相変わらずかわいいね」

「否定はしないぜ」

「可愛いからプレゼントをあげようね」

「おい、あいつは風紀を……」

「いいんだよ、なにせかわいいからね。ミカには特別に、プレゼントに加えてどこかでみた記憶のあるライトノベル一巻をあげよう!」

「この表紙の子、お前に似てないか?」

「それどころじゃないよ、ボクそのものだよ?」



 トナカイは頭にはてなマークを浮かべたが、アリムサンタはそれを放っておいてソリとトナカイごと次の場所まで引きずっていった。ついたのはとある警部の家。



「おっ。俺の家だな」

「ここにはさっきお便りくれた子がいるよ!」

「リルだな。個人情報がなんとか言ってなかったか?」

「昔のことは忘れたよ。さて、この子は今年いい子だったかな?」



 アリムサンタはしばらく家をのぞいていたが、急に何かを呆れたように一つため息をついた。



「ダメじゃないか、去年より性の乱れが起きてるよ。俺とミカに迫る勢いじゃないか」

「そうかもな」

「そうかもな、じゃないよ! 相手は全部お前だろ!」

「ふふ、まあな。でもミカと同じようにウトウトしながら俺のこと待ってくれてるぜ? 最高に可愛いだろ」

「もうっ……でも御両親が生き返ったのはよかったね。特別にプレゼントをあげよう」

「あいつは肉か筋トレグッズが喜ぶぞ。な、ところでそろそろ帰っていいか? はやくあいつと二人で過ごしたいんだが」

「ボクだってそうだよ。でも次やることで最後だから少し待っててね」

「わかった」


 

 アリムサンタとショートナカイは上空までソリで登っていった。そして魔法を唱え、暗闇に複数の黒い玉が出現する。



「ダークマタークリエイトをばらまく! これで終わりだよ!」

「結局身内にプレゼント配っただけだったな」

「ちゃんとショーとボクの分もあるからあとで渡すよ」

「サンキュ」



 やることを終えた二人はそれぞれプレゼントを持って自分の恋人が待つ場所へと帰っていった。

 これはアリムサンタは知る由もないが、最初から最後まで全ての様子を見ていたアナザレベルは神としての自分の仕事がとられて少ししょげていたという。



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Levelmaker三度目のクリスマスですね!

感慨深いです……!

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