第971話 スキルカードの確認

「というわけで、トズマホのマジックバックの中身を確認する機能に、さらスキルカードの効果を解析して種類ごとにリストアップしてくれる効果をつけたよ!」

「結構時間かかってたね」



 だいたい五時間くらいの作業だったかな。とりあえず完成した。スキルカードは有り余っているのに一切確認してなかったからね、当時はレベル上げに夢中だったから。

 よく考えたらダンジョンで手に入れたスキルの中には、鑑定王だとか便利なスキルがあるはずなんだ。メフィストファレス……光夫さんが使っていた身体を煙化できるスキルや、格上でも強制的に契約することで代償を払う代わりに思い通りのことをさせるスキルが見つかるかも。



「これに今度同じ機能をつけた別の袋を用意して、この屋敷にいる人全員のを管理しようと思うよ」

「それがいいわね。じゃあ早速見てみていい?」

「いいよ」


 

 ミカにデータを送った。画面を素早くスワイプしててきとうに眺めているみたいだ。しばらくしてミカは指の動きを止めた。



「面白そうなのあった!」

「なぁに?」

「透視だって。あ、そういえば桜とリルちゃんがそんなスキル入れてるって言ってたことあったっけ」

「透視ねぇ……」

「これ有夢が覚えてよ」

「なんで?」

「こう、お願いしづらい状況でも私の体見れるでしょ?」



 すーぐそういう発想をする。そんな使い方するものじゃないだろうに。……でも桜ちゃんとリルちゃんも見つけてるってことは、割とダンジョンから出てくるってことだよね? 女風呂とかのぞいてるこのスキルを覚えた男の人とかいそうだな。



「別にそんな状況で見ようと思わないよ」

「やっぱりそうだよね」

「うん」

「じゃあ他のも見るね……あ、これとかも面白そう」

「なになに、縮小化?」



 どうやら身体を小さく変化させるスキルみたいだ。ランクは星四つ。使用方法によっては強力なスキルかもしれない。例えば小さくなってタンスの裏に落ちたものを拾うとか。



「これの使い道を思いついたよ」

「なぁに?」

「私でも有夢でもいいから小さくなって、相手の谷間やお尻に……」

「真面目に考えようね」

「やってみたくない?」

「……まあ、ちょっとは」



 今日はミカのテンションがおかしい。五時間も作業しててその間に休憩挟まず一言もミカと喋らなかったから欲求不満なのかもしれない。ミカはまたスキルを選び出した。



「今までのはSK2だったけど、今度はSK1に気になるのがあったよ」

「どんなの?」

「超強力な魔法なんだけど目から出るんだって」

「目からビーム……」

「そう、目からビーム……あ、口からビームもあったよ! どっちもSランクのスキルだって」



 なんでそんなのがSランクのスキルなのさ。超強力な分、おかしいってことかな。うーん、目からビームで敵を倒す……俺のイメージには合わないな。



「でも本当に色々あるね。テキトーに組み合わせたらできそうなものから、名前だけならやけに強そうなものまで……」

「何か合成のいいアイデア思いついた?」

「ううん……そもそもそういうのって、有夢や叶君の方が数段得意じゃない」



 たしかにそうだ。桜ちゃんのスキルも転送されてきたボーナスでもらったもの以外はほとんど叶が考えたっていうし、俺もミカのスキルをまだレベルが低い頃一緒に考えた。

 そして俺と叶とお父さんがスキルだけでも強力だってもの……マスターって名前のつくスキルに匹敵するものを持ってるんだ。お父さんの場合はどちらかというとスキルの組み合わせが強いんだけど、とにかく俺たちはそういうのが上手くゆくのかもしれない。



「たしかにそうかも」

「でしょ? だから今回もスキル一緒に考えて! お願い!」

「そんな可愛くお願いされたらやるしかないよ!」

「えへへ」



 とりあえずマスタースキルを手に入れるのが一番手っ取り早いでしょ。仮に、すでに所持者がいてその劣化版であるマイスターとなったとしても十分強力だし。

 となるとまず考えるべきなのは共通点があるスキルを探すこと。俺がアイテムマスターを手に入れた時は採取王、鑑定王、創作王の三つに加えて物作りに関連するスキル複数を求められた。

 んで、俺が知ってるマスタースキルはギルマーズさんのバトルマスター、ウルトさんのクリーチャーマスター、パラスナさんのマジックマスターだから……。どんな組み合わせでみんな作ったんだろ。



「あ、これ面白い! 好きな異性を魅了するスキルだって!」

「えー、ミカそんなのいらないじゃない」

「有夢が鈍感だったら使ってたかもね」



 本当にスキルは色々ありすぎる。そんなものまであるんだ。男女変換があるんだから当然といえば当然かな。……そろそろ本気でいい感じのを探して考えなくちゃ。



「ミカはどんなスキルが欲しいとかあるの?」

「とにかく強いのがいいかな! 有夢のアイテムマスターは戦闘でも日常的にも使えるじゃない? 叶君のもね。そんな風なのがいいなぁ」



 となると、さっきの透視とか使えそうじゃないかな。あれをベースに合成したらもっと別のものを見るスキルができたりして。弱点が一瞬でわかったりすれば面白いよね。

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