第793話 大人数レベル上げ 2
「母さん、これはなんてスキル?」
「SSランクの、段階が最高のもので……」
「え、SSランクで段階も最高なの?」
「そうそう、名前は水神の支配だよ」
お母さんが作り上げた魔法陣から水が大量に出現した。それらは合計5つに分裂し、まるで生き物が動いているかのようにそれぞれの扉へとすっ飛んでいく。
「どういう技なの?」
「んーと、本当の意味で水という存在を自由自在に操る技……だっけ? 途中からパパがスキル合成を楽しみ始めていろいろ試してくれたんだけどね、水属性のSランク以上の魔法を何回も作っては合成して……」
なんでも、お父さんはお母さんのスキルを実験でもするように組んでいったらしい。
Sランクの水魔法を代表に合成し、SSランクのものを。
そしてそれをとりあえず10個用意して『水の女神』っていうSK2が作れたんだって。
ショーの持つ『炎神』やミカの『氷の女神』と同じような感じだね。
そしてそのSK2を基本としてさらに水魔法を作って行き(その間の素材は全て念術か重力術にしたらしい)、この魔法がつく上がったのだとか。
「私がね、これがすごい強い気がするって言ったら、パパ、じゃここでやめておこうって。何個もSSランクのスキル作ってるのに、これしかないのよ」
「いや……よくわかんないけど、多分それ凄く強いからそれでいいと思うよ」
「そうなのかな? たしかにとんでもない予感はするんだけどね」
うーん、お父さんは本当に実験が好きだからな。スキルに関わり始めたらそれにのめり込む可能性も考えたほうがよかったね。
「あ、ほら、戻ってきた」
「え? あ……ほんとだ」
綺麗に解体された魔物と魔核を、水の触手のようなものが丁寧に持ってきていた。いつのまにかおかあさんのマジックバックの口を開けられており、水で出来たそれらは魔核や解体された魔物を放り込んだ。
「本当だったらこの2~3倍は早いんだけどね」
「それって今の一連の行動を10秒くらいでできるってこと?」
「そうそう。ほんとは杖なんかいらないし。有夢が見てるからかっこつちゃったっ」
これだけじゃふつうのSSランクスキルだけど、どうにも格がちがうようなきがしてならない。なんだか強さで言えばダークマター・クリエイトとも近いものを感じる。
何回も繰り返したって言ってたけど、どのくらいなんだろ。
「あ、ちなみにパパはもっとすごいんだよ」
「そなの?」
「うん。なんだっけ……効果しか覚えてないんだけど、吸い込む対象を指定してそれだけを吸い込んでくれるブラックホールとか、それと同じようなブラックホールを打ち出して敵にぶつけて消滅させるとか」
「なにそれこわい」
さ、さすが世界的研究組織の幹部(かなり偉い方とは聞いてる)。あの短期間でその頂にまで辿り着いてたんだ。
お父さんならきっと、俺より先にこの世界に一人で来ていたとしたら……たぶん、俺の状況と同じような感じになっていたに違いない。
「それでね! ここには隠し部屋があるのよ!」
「ここの真下?」
「ぷくぅ、なんでわかるのよ」
「かなり長くこの世界にいるからね」
「だからここを壊します」
そういうなりかあさんはウォーターキャノンあたりの魔法を地面にぶつけ、穴を開け、そこに入り込んだ。
その下には空の(最初は中身あったらしい)宝箱があり、宝箱を押すとスイッチが作動してミッションが始まる。
それを一瞬で倒すと……神具級だ。
あれ以来初めて神具級を見たかもしれない。
「ど?」
「いや……どうって言われても」
「これで大体一周よ。ちなみに魔物を倒すのとミッションこなすのは同時にやるから、やっぱりこの数倍は早いかな」
「ふむふむ」
俺と母さんは外に出た。
鍵箱の中身はSSSランクの魔核だった。なんでも、ずっとこればっかりで、あとはたまーにアムリタかスキルカード、伝説級のアイテム数個の時もあった程度らしい。
それはそうと。
「俺以外で初めて神具級出してるの見た」
「そうなの? パパが最初に出したのよ」
「さすがお父さん!」
こうやってSSSランクの魔核ばっかり出してたから強力なスキルをバンバン作れたんだね。
そういや、魔神以外でSSSランクの魔核を出してる魔物って見たことないや。それほどレアなんだろうね。
「さ、私の周回の仕方はわかった?」
「うん! これならかなり転生できそうだね! アムリタ数本置いていくよ」
「別に宝箱から出てくるからいいのに」
「アムリタほど大量にあって困らないものはないよ」
「そうかもね」
俺はお母さんをダンジョンにおいてマジックルームへと戻ってきた。もしお母さんが疲れたら次は俺がやろう、他の人に任せるよりその方が早い。
……っと、もうだいぶ経験値が貯まり始めた。
お母さんったら張り切ってるなぁ……昔お父さんに聞いた話じゃ、一度何かに熱中しだすとそれを飽きてもやり続けるっていう有夢みたいな精神力があるって言ってたっけ。
俺がミカにその特性で寂しい思いさせたように、お母さんもお父さんに寂しい思いさせたりしたことあるのかな?
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