第794話 どんな感じ?
「母さんすごい頑張ってる……」
トズマホの経験値を蓄積するアプリ(全員に配布済)を見た。とんでもないスピードで経験値が増えて行く。
さっき素早さを生かした状態の、俺の技の一つでもある『ゾーン』のやり方を教えてからさらに早くなった。
今のところ1分に一回一周してるみたいだ。このままステータスが高くなっていったらもっと縮むと思う。
「このレベル上げが終わったらどうするの?」
「うーんとね、まずは両親を紹介しなくちゃ、国王様に。特に俺とミカは国王様にお世話になってるし、お世話してるしで関係深いしね」
「そうね」
それから地球に帰って地球の冬休みの続きを味わえばいい。……宿題とかこっちに持ってきてるから全部終わってるし、きっとのんびりできるはず。
「ん? 誰かこの部屋のドアノックしてない?」
「あ、ほんとだ」
おしゃべりに夢中で気がつかなかった。
俺とミカはドアを開ける。そこにはリルちゃんがいた。
「やあ、どうしたの?」
「わふ、イチャイチャしているところ邪魔してごめんね」
「まだ本格的にいちゃついてないから大丈夫よ。…で?」
「わーふん、パパとママが自分のレベルが何もしなくても上がってるのに腰を抜かしつつ罪悪感みたいなの感じてるんだ。なんて励ませばいいかな?」
ふむ、やっぱり自分らでやらせた方が頑張ってる実感があってよかったかな?
俺がなんてアドバイスしようか考えていた時、ミカが先にリルちゃんにアドバイスをしていたの。
「私なんて最初はほとんど有夢にご飯作って待ってるだけだったから……そうね、もし励ますなら『最先端の方法だから後ろめたく感じなくてもいい』って言ってあげればいいんじゃないかしら? 時間とともに技術は移り変わる…みたいなこと言って」
「わふん、なるほどねー。言ってみるよ、ありがと!」
小走りでリルちゃんは去って行く。この世界はねー、レベルに関して疎いくせに自分であげるのが美徳だと思ってる節もあるからね。困ったもの。
楽できるなら苦労しなきゃ、なんて考えなくていいのにね。まあ、俺は側から見たらダンジョンを何周もして大変そうらしいけど……一応楽しんでたし。
「それはそうと、そろそろお昼ご飯の時間だね!」
「なんで服を脱ぐの…….あ、エプロン着た」
「ふふふ……サービスだよサービス」
「じゃあ毎日サービスしてるわけだ」
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「ただいまー」
お母さんが戻ってきた。
あれ、なんだかとっても疲れてる様子。お母さんが疲れてるとこなんてそうそう見ないし、アムリタもあるのに…。
「おかえり、母さん」
「おかえりなさい、おば……お義母さん!」
「あら、お義母さんだなんてっ。それはそうと、ねぇ…有夢。明日は交代して……」
「いいけど、珍しい。疲れたの?」
「違うの……パパ、パパ成分が足りないの!」
「あー、わかる」
「ミカ、わかるんだ」
お父さんとイチャイチャできないのが寂しいらしく、次の日は俺が周回することになった。
今日一日、ミッション報酬の鍵箱をお父さんと一緒に延々と開け続けるらしい。
このダンジョン、ミッションのおかげで出る魔物が非常に多くなっており、さらに経験値倍々の効果がたくさんついているため、今日お母さんが頑張った分だけで110回転生ができるみたい。
もう十分じゃないの?
なんて言ったりはしない。集中して割り振ったら4つくらいのステータスがカンストしてるだろうけど、それでも全ステータスカンストには程遠いからね。
てなわけで翌日。
「ミカ成分が足りなくなったらいつでも戻ってきてね」
「……一回始めたら1日が終わるまでやり続けるつもりだよ」
「そっかー」
寂しそうにするミカにキスをし、マジックルームを出てダンジョンの前に立った。
……さて、タイムアタックをしようじゃないか。
お母さんがあんな簡単にこの哀しみのダンジョンを高速クリアしていたからね……ミッションによる拘束時間も含めて20秒でクリアしたい。
そうしたら理論上、お母さんの3倍は稼げるはず。
俺は早速ダンジョンの中に入りり、その空中でサンダーマーチレスを発射。全部屋の敵を全滅させ、アイテムと認識したものを勝手に引き寄せてくれる装置を放り投げ、穴の空いた床に一瞬で侵入しつつ宝箱を押す。
……ミッションの説明鬱陶しい。
こういうのをイライラタイムっていうんだね。魔物が出てきた瞬間にお母さんに教えられた通りの順番で魔物を倒し、出てきた宝箱をさっさと開け、装置を回収し、外に出た。
……タイムは19秒。
初っ端から早いけど、どうしてもミッションのせいでこれ以上縮めるのは無理みたいだ。
じゃあ、このタイムを参考に周回していこうかな。
ミッションとアイテムを無視したら2、3秒……いや、下手したら1秒で一周できるんだけどなー。まあもったいないからそんなことしないよ。
とくに、一気に人が増えたからSSSランクの魔核とか大量に欲しいしね。お父さんがなにかとんでもなく強力なスキル作ったみたいだから、俺もそろそろ一つくらいこだわったやつ増やしてもいいかと思うし。
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