第791話 ステータスカンスト量産計画
「二人とも、昨日渡した本は読めましたか?」
「だいたいね。しかし……奴隷制度がアナズム中で見直されていることと、全ての魔神が君の手によってより強力に封印し直されたことには驚いよ」
「あと、賢者を呼び出す元の世界とこちらを行き来できるようにしてること、私たち3人以外みんなその世界からきていること、ね。わふ……口外は厳禁なのよね?」
「はい、くれぐれも」
そのほかにもいくつか質問をしてけど、どうやらほぼほぼきちんと読み終えてくれていたみたいな回答をしてくれた。じゃあ、これから行うことに参加してもらっても構わないよね。
「なら、今日集まってもらった本題を話しまーす!」
「いえーい、ぱふぱふ!」
「……ここにいる全員を、全ステータス999999にします!」
「……わふぇ!?」
案の定、フエンさんが食いついてきた。
あの本には俺たちがステータスの限界を迎えた存在であることも書いておいたんだよ。
「そ、そんなことできるの!?」
「できますよ! 手っ取り早く説明するために、この映像を見てください!」
「映像……チキューとかいう世界の技術? リル、どんなのなの?」
「写真が動くんだよママ。見てればわかるよ」
というわけで俺は頑張って考えたレベルの仕組みについての映像を全員に見てもらった。
うちのお父さんとお母さんはすでに理解してたみたいだけど、それ以外の、リルちゃんの両親を含む6人はさっぱりだったから、この映像で得た情報で初めてのことが多かったみたい。
「……とまあ、こんな感じ!」
「何もしなくても最強の力が手に入る? そんな方法が……わふぇ、なんで全く気がつかなかったんだろう。家族を守れるならダンジョンなんて何万回もまわったのに!」
「フエンさん、仕方ありませんよ。どうやらこの世界の人間は気がつかないように何かしらの制限がかけられているみたいなので」
「ナリウェイさん……そうですか。もしかしたら賢者が必ず強いのはそういうわけだったのかもしれません。まさか思考に制限がかかっているなんて」
リルちゃんのお父さんの話だと、過去にダンジョンを自作の計算式と発見した法則性により自力で見つけ出したことがあったみたいだ。何回も。でも発見したはいいけど、村の強い人たちに譲ってたんだって。そりゃ悔しがるよね。
ていうか何その発見方法、すごく知りたい。
そんなことができるくらい頭が良かったんだ……まあ、リルちゃんの親だし、あり得るけどもさ。
そもそもキコリじゃなかったの?
いや、本業はキコリで、副業でダンジョンを見つけて情報を流すってことしてたのかも。
「あとでその方法教えてください」
「わふん。ダンジョンの重要性が嫌という程わかったので、効果を実感してから教えますよ」
「ありがとうございます! ……っと、本題に戻るとして、本当は俺が周回してもいい…いや、したほうがいいんだけど……お母さんがやるんだよね?」
「うん!」
「まあ、これはある程度の強さと忍耐力があれば誰でもできるから。わかった、お母さんに頼むよ」
作戦も全て映像で伝え終わっている。
あとは数日間ゆっくりするだけ。なにせリルちゃんの両親は復活したばっかりだし、それ以外もみんな帰ってきたばかりだからね。休まないといけないね、うんうん。
そういうわけで今日のところは解散した。
俺とミカは部屋に戻る。
「さ、イチャイチャしよーっ!」
「このあと、バッカスさんのお酒の新作ポスターのための写実会だからそんなに長時間できないよ」
「そうだった。そういえば今日は仕事が入ってるんだったわね」
みんな俺たちの存在になれてきて、多少わがままでお休みをもらえることが多くなってたからね。
ほとんど趣味だけどさ、こればっかりは。
「キース! キース!」
「はいはい」
「えへへ…んっ」
ミカにキスをしながら考える。
今回、8人全員がステータスカンストしたらこの国のSSSランカーはそのまま8人増えるわけだ。
いやー、すごいねこれは。
人ごとみたいに考えちゃうけど、俺からしたらいくらでも作れるからね。仕方ないよね。
なんならこの町の住人全員をステータスカンストさせてもいいんだし。世界が崩壊しそうだからやらないけど。
「ぎゅーっ」
「はい、ぎゅーっ」
「んふふふ」
それにしてもやっぱり可愛いよなぁ。
時間があったら食べちゃってるところだったよ! もしそれを口に出すとミカは脱ぎ出すから絶対に言わないけどね。
「そういえばさ、今日できた写実、おばさん……ううん、お義母さんに見せないの?」
「母さんに? あー、考えておくよ」
まだ一度も描かれたてほやほやのものは見せたことなかったな。うーん、まあ、見せてもいいか。
コピーしたやつ1枚持って帰れるようにお願いしてみよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます