第784話 親達も帰ってきたよ
ショーやカナタ達四人が帰ってきた次の日。
俺はミカからリルちゃんの両親の肉体の一部が手に入ったと聞き、また、生き返らせられないか掛け合ってくれないかと頼まれたと聞いた。
だから朝から俺はショーの部屋に行き、リルちゃんに提案を二つしてきた。
一つは生き返られるのはこのゴタゴタが終わった後がいいということ。両親が帰ってきてからってことだね。それに関してはリルちゃんもそう考えていたみたい。
もう一つは、一度、アイテムで作った降霊術的アイテムで両親の魂だけ召喚し、復活するかどうかを本人達に決めてもらおうということ。
既に俺がこの世界に来る前に死んでしまっていて、生き返らせた人間はカルアちゃんのお母さん、カルナ王妃だけ。
あの場合は国王様の王妃への思いと、悪魔との戦争中でゴタゴタしてたから生き返らせちゃったの、二つ以上の理由があるけれどね。
本来ならホイホイ人を生き返らせてはダメなんだ。
リルちゃんはその提案を快く受け入れてくれた。もし生き返らせても、その方が本人達にとって都合が悪かったら困るし、と。
いやー、ミカ達がお風呂や寝床でなにを話したかは知らないけど、リルちゃん、すごく嬉しそうでよかったよ。
ショーもなんだか彼氏としてランクが上がった気がするしね!
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「そろそろ帰って来るかな?」
「どうだろう」
お昼頃、俺たちは玄関から一番近い部屋で、六人でトランプしながら遊んでいた。今日中に帰って来ることは確かなんだけど。
「お、にいちゃん。きたみたいだ」
「おおっ!」
「曲木家のおじさんとおばさんだよ」
うちで取り付けてる監視カメラ的なものを見てくれていたカナタが、その二人を確認したようだ。
俺たちは総出で迎えに行くことにした。
「ただいまー」
「はー、いや、大変だったぁ」
「「「おかえりなさーい!」」」
身なりは結構良くなってるけど、一般的な装備。
俺たちみたいにお金がありすぎて困る状態まではいってないのはわかる。
「どんな冒険してきたの?」
「ああ、ゆっくり話そう」
近づいてきた自分の娘二人の頭を撫でながら、おじさんとおばさんは少しずつ自分たちのアナズムでの暮らしを教えてくれる。
ちなみにお部屋は移動して、コーヒーもいれて出してるよ。
それでまとめると、この二人はどうやらかなり一般的な冒険者の生活をしていたらしい。
クエストを受けて、それを討伐して1日の生活を稼ぐということをひたすら繰り返してたんだって。
全国チェーンのカフェと花屋の代表取締役の二人だけあって、お店とかはひたすら見に行ったらしい。 レベルなんかよりもそっちの方が自分たちにはためになったって。
今まで海外のお店などもたくさん見て来たけど、全くの異世界は流石にないらしい。当たり前だね。
「で、お父さんのレベルは?」
「恥ずかしながら、だいたい32だよ、ははは。あいつはこんなものじゃないくらいあげて来るはずだと思う」
おじさんのいうあいつって、俺の父親のことね。うん、まあ俺とカナタの父親なんだから相当レベル上がってるでしょう。多少のことじゃ驚かないよ。
帰って来たばかりの二人には、全員揃ったら話があるとだけ告げ、前に泊まってもらっていた部屋で休んでもらうことにした。
その1時間半後、今度はショーの両親が帰ってくる。
「親父! どうだった?」
「ボウガンで魔物を倒して行くのはハンティングしているみたいだった。依頼をこなしていくのも面白いし、なにより世界がゲームそのものみたいだから雰囲気があって良い」
「この人ったら、途中で素手で魔物を倒し始めたりしたのよ? 投げ飛ばしたりして」
案外、親父さんは楽しんでくれたみたいだ。そんな二人のレベルは105。途中でクエストの最中に魔物を片っ端から倒して行けばレベルも上がりやすいということに気がついたらしい。
数週間しか時間がなかったにしてはかなり上がったんじゃないかな。
「それにしても、二人とも私たちがいない間に何かあったの?」
「あっ……まあ、色々とな」
「わふ、そうだ! 私、パパとママにお話が……」
リルちゃんがしたお話とは、自分の両親に関することだった。また、行っていた2週間の間にあった大きな出来事を話すために、四人は俺から一室を借りて話し合うことにしたそうだ。
最後に残っているのはうちの両親。
……帰ってくるのが非常に遅いよ。だって、三時間してリルちゃんとショーが俺たちの元にもどってきて、さらに二時間しても現れようとしないんだもん。
「……何かあったとか、ないわよね?」
「それはないよ。二人に何かあったら一瞬でわかるさ」
「……にいちゃん、二人とも帰ってきた」
心配もピークに達してきたころ、やっと二人は帰ってきた。………正直、この俺も引くくらいとんでもない魔力を発しながら、とても晴れ晴れとした顔で。
装備はほとんど最初に与えたものと変わらない。
なら強さの源はレベル。これは俺の予想以上になっていそうだ。
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