第782話 お・ふ・ろ (美花)
「ふう……約束通り集まってくれたね」
「わふん」
「うん」
この屋敷の大浴場に、私と妹と一リルちゃんの三人で入っている。浴中のプチ女子会って感じかしらね。
男子たちには話せないようなこととか、たまーに話すためにこうして集まるの。
そういえばいつも私とお風呂はいる時には胸元で腕を組んでる桜が、今日はなにもしてない。
「あれ桜、今日はノーガードなのね」
「どう頑張ったって揉まれるって悟っただけよ」
「そうかそうか、じゃあ遠慮なく……」
「でもね、お姉ちゃんに辞めさせる言葉も思いついたの」
「なるほど」
ふふふ、聞いてあげようじゃない。
「あの……かにゃたにね、揉まれた時の感触大事にした…いから、やめてほしい……な?」
自信たっぷりで言い始めたのに、だんだんと恥ずかしくなって言葉が小さくなってく私の妹は可愛い。
でも、確かにそのお願いは聞き入れなきゃいけないわね。
「むむむ……たしかにそれは一理あるわね。毎回5秒だけで我慢してあげる」
「わふ、結局揉むんだね……」
「だって日に日に大きくなってるし」
「たしかにそうだね、私が桜ちゃんと最初に一緒にお風呂はいった時より大きくなってるよ」
「そ、そうかな……?」
生意気なことに、もうあと数ヶ月もしたら私のに追いつきそうなのよね。私だって小さくない……むしろ一般的に見て大きい方なのに。
おっと……胸の話をするためにこのお風呂に集まったわけじゃないんだった。
この2週間の間に私たちにどんなことがあったかを話し合うために集まったのよ。
「ま、胸の話はここまでにして」
「お姉ちゃんからこの話題振ったんじゃん……」
「まあね。で、この2週間、どうやらそれぞれの関係に大きな進展があったとみえる。そのことを話したいのよ」
「お姉ちゃんもあれ以上なにかあったの?」
「もちろん」
と、言うわけでじゃんけんをして誰が最初にいうかを決めた。そして言い出しっぺである私から言うことになった。
「で、なにがあったの?」
「んーと、私と有夢でね?」
「うんうん」
「お互いに元の性別を逆にしてみたのよ」
「わふ! 男女変換ってやつだね! それでどんなことしたの?」
「決まってるじゃないの……ふふふ」
私は有夢をアリムに変えさせ、私自身も男になってエッチしたことを包み隠さずに話した。
リルちゃんは興味津々、桜はきょとんとした顔をしている。
「お、男の人の感覚ってどうなのかな!?」
「気になっちゃう?」
「うん、ミカちゃんと同じことをしようとまではさすがに考えられないけれど、色々と気になるよ」
「翔にきいたりできないの?」
「は、恥ずかしいよ……」
でもたしかに私とミカミとの感覚がまるで違ったのは確かね。事を終えたあとで気がついたけれど、みている目線や嗅ぎ分ける匂い、興味を持つ事、それぞれ全てが違う。
「じゃあまず……ついつい異性の方に目が向くわよね、ほら、胸とか」
「わふん、もはや本能的なものなんだね、あれは」
「やっぱりそうなんだ……」
「桜、何か心当たりあるの?」
「え、あ、いや……その…あとで話す」
桜の言いたいことは少し気になるけど、私はそのまま感想を話し続けた。
感覚以外には、男の人になって便利なこととか、逆に不便だったこととかね。
「そんなに違うもんなんだね」
「うん。でもこの感想も元々男だった有夢が女の子になって抱いたものとはまた違うと思う」
「なるほど。で、最後にアレはどうだったのかな? 夜の……」
「桜が聞いたら赤面しそうだから、リルちゃんだけに教えるよ。それに聞いてもまだわからないでしょうし」
「むっ……! まあでも、否定できないよ」
私はリルちゃんに耳打ちをした。ピクピクと狼としての部分が動いてる。聞いてるのはそっちの耳じゃないのにね。
「わふん……なるほど」
「そこも全然違うのよね」
「うぅ…気になる」
「桜はほら、もっと早く大人にならなきゃ。あ、私の話はここまでだよ。二人とも、次の順番を決めて!」
リルちゃんと桜はじゃんけんをした。結果、桜が先に起こった出来事を話すことになったの。
「私か……」
「私がとりなんだね。それよりまず、サクラちゃんとカナタ君の間になにがあったのか気になるんだよ」
「温泉地に行ったのよね……? まさか」
「お、お姉ちゃんの言いたいことで合ってると思う。は、裸を見られたの……っ」
自分の妹ながら顔を真っ赤にしてすごく可愛い。
それにしてもサクラの感覚だと、裸を見られたってのはお風呂に浸かってる状況だろうし、そんな大きな出来事じゃない気がする。
まさか真っ裸で無防備なとこ全部見られたとかはないでしょう。
「へぇ……どう見られたの?」
「そろそろお風呂出ようって、立ち上がった時に、Sランクの魔物が現れて男女のお湯の仕切りをしていた壁を壊されて……」
「壊されて……ま、まさか」
「なにもかも全部……見られた」
なんと、お風呂に浸かってて丁度いい具合に隠れてたとかそんなことないの!?
ほほぅ……。
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