二十四章 親孝行

第781話 みんな帰ってきた!

「にいちゃん、ミカねぇ、ただいまー」

「ただいまーっ」



 10日間くらいの旅行に行っていたカナタとサクラちゃんが帰ってきた。これで二人っきりの日々は終わりだね! また騒がしくなりそう。

 というかそもそも、今日と明日でお母さん達六人含めて全員帰ってくる予定のはず。一気だね、一気!



「なにか変わったことあった?」

「な……何にもないよ、お姉ちゃん」

「うん、二人で普通に旅行してきただけだよ」



 カナタがいつもより無表情にそう答え、サクラちゃんは頬がほんのり赤くなっている。これは何かあったな?



「ふーーん、あ、桜。今日は夕方、予定空けといてね」

「え? いいけど」

「お姉ちゃんと二人でお風呂に入りましょう」

「う、うん」



 あ、ミカも気がついてサクラちゃんにあれこれ聞くつもりだな! じゃあ俺も真似しようかしらん。



「カナタも俺と……」

「いや、いい」

「ぷ、ぷくー!」

 

 

 思春期だから仕方ないとか言ったらそこまでだけど、なにさ、お兄ちゃんとお風呂はいってくれたっていいじゃないか! 



「カナタのイケズ!」

「知らないよ。今日はさっさとお風呂はいってさっさと眠るつもりなんだ」

「あ、じゃあ、それならさ桜。寝るのもお姉ちゃんと一緒にしようか?」

「どうしよっかなぁ……叶、良い?」

「別に桜の自由だよ」



 しまった、俺と寝る人がいなくなってしまった!

 お風呂のお誘いを断ったのに、カナタが一緒に寝るのを受け入れるはずないし。つまり叶からサクラちゃんとの間になにがったか聞けないわけだ。

 まあ……あとでミカからサクラちゃんから聞いた話を聞き直せばいいかしらん。

 それにしても一人で寝るのは久しぶり。



「とりあえず二人とも荷物置いたり、休んできたりしたら? あとお夕飯はみんなで食べようね」

「わかったよ。じゃあね!」

「また後で」



 カナタとサクラちゃんは自分たちの部屋に戻っていった。それと同時に玄関が再び開く。



「帰ったぜ!」

「わーふん、ただいま!」

「おお、すごいタイミング。おかえりー!」



 なんとショーとリルちゃんが帰ってきたじゃないか。もう少し時間差があると思ってたけど、カナタ達とこんな入れ替わりで戻ってくるなんて。



「いまさっきカナタ達が帰ってきたばっかりなんだ」

「そうなんだ!」

「で、どうだったの?」

「色々あったぜ、色々と、な」

「わふん」



 本当に色々あったのが二人の様子を見ていたらわかる。なんか、より仲良くなった感じがする。

 そうだなぁ…前はショーが普通に恋人としてリルちゃんのことが好きだとしたら、リルちゃんは目視でわかるくらいその10倍はショーのことを愛してたんだよね。

 でも今はその10倍の差が6倍くらいには縮まったような、そんな感じがする。



「ふむ……本当に色々あったみたいね」

「わふん、わかるかい? でもミカちゃんとあゆちゃんも色々あったみたいだねぇ」

「まあね。どう? サクラともさっき約束したんだけど、一緒にお風呂入らない? 色々話し合あおうよ」

「わふん、いいね。……ところでまた揉んでくるのかい?」

「そりゃもちろん」



 そんな二人の会話を聞いて、ショーは顔をしかめる。



「揉むってなんだ、揉むって」

「あれ、翔興味ある? まあいつも翔もしていることなんだけど」

「あー、あんまりやりすぎんなよ」

「リルちゃんの胸は"俺"のだから?」

「……ま、まあ……そ、そんなところだな」



 お風呂でそんなことしてるんだ。他人の胸を揉むのは俺…アリムのだけじゃなかったのか。ちょっと嫉妬するよ。 

 


「とりあえず二人ともお部屋に行って着替えてくるなり、お昼寝するなりしてきなよ。今日は食堂でみんなでご飯食べようね!」

「わかった」

「じゃあまた後でね!」



 ショーとリルちゃんも自室へと。

 ほんとになんだかそれぞれ進展があったみたいだな。

 俺とミカがしたことといえばなんだ、性別変えてエッチしまくっただけじゃないか! ……うん、それがなんやかんやで一番すごい気がする!



「さて、私たちはどうしようか。これから少しずつこの休みもなくなってくるよ」

「明日はお母さん達が帰ってくるはずだもんね」



 お母さん達もどうなってるかな。あれより仲良くなるなんて考えられないけど。

 いや……違う違う、どれだけステータスが変わったかが問題なんだよ。

 

 俺の予想だと、お父さんとお母さんが、もしかしたら転生の存在にまで気がついているんじゃないかと思う。

 まあ、実際はあの家の中で一番頭が悪いの俺だからね、なんとも言えないけどさ。



「じゃあゆっくりできる時間の最後に、二人でいちゃつこうか」

「ただイチャつきたいだけでしょう? ミカは」

「ダメ?」

「ダメだなんて言ってないよ」



 この世界に来てから教えてあげた、悩殺上目遣いをすっかりミカはものにしている。そしてその対象は俺のみ。

 まあいくら忙しかろうが、俺とミカが何か変わるということはないよ。

 どうせいつも、こんな感じでイチャイチャしているのさ!

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