第742話 美花の男女変換
魔神達のお話を聞くことができた翌日。
……よく考えたら魔神ってどうやって生まれたのだとかそういうのを聞く機会ができたってことだよね?
まあ面倒ごとに巻き込まれることになるのなら聞かないけどさ。
そんなことより今日はミカとの約束の日だ。
なんだかドキドキしてきたぞ。
「おはようっ!」
「おはよう」
いつも通りに朝を迎え、一回のキス。
ミカの性別が変わったらキスの味も変わるんだろうか。……俺の性別が変わってもミカはとくに変わってるだとか言わないから無いとはおもうけど。
朝にこなすべき一連の行動をとったら、二人で一緒にソファに座って顔をジッと見合わせた。
「もうスキルは、ステータスにあるのよね」
「うん、この前に渡したからね!」
「あとはスキルポイントを割り振って、効果を発動させるだけなんだけど……なんだか緊張する」
緊張はしてるけどミカの顔は好奇心に溢れている。
もう、この瞬間、即座にスキルポイントを割り振ってしまったようだ。
「じ、じゃあなるね……」
そう宣言すると、いつも俺が包まれてる光みたいなのに、ミカは包まれた。
なるほど、側から見たらこんな感じになってるのか。
なんとも不思議な感覚になる。
1、2秒も経つか経たないかのうちに変化は終わったようだった。目の前には男となったミカが座っていた。
ちなみに俺達の年齢は今はアナズムに合わせてある。
あとでアナズムの髪や目の色のままアムリタで年齢を17に戻すんだ。
「……どうなった?」
爽やかな少年の声がする。ミカの声をそのまま太くしたような感じだ。髪の毛は長髪から短髪になっている。
おかしいな、俺の時は髪型そのままだったんだけどな。
ショートカットだからかな?
「顔を上げてくんなきゃわかんないよ」
「それもそうだ……な」
髪をかき分けながら、ミカ(男)が顔を上げた。
……もうなんと言うか、今までに見たことのないイケメンが目の前にいる。
アナズムの年齢では14歳のはずなのに、すでに100人の女の子と付き合ってきたみたいな。
美しさを言葉で表すのも難しい。
「ど、どう?」
「いや、すっごいイケメン……」
「マジで? かがみかがみ……」
ミカは用意していた手鏡を見た。
「おお~、なるほどなるほど」
「ね、イケメンでしょ? すごいよ」
「うん、きちんと男の格好をさせた時の有夢みたいだわ」
「へ?」
「まさかちゃんと男の子の格好したら、有夢もイケメンになるの知らなかった? まあでも男装させたの寝てる間だったしなぁ」
「そうなんだ」
そんなこといつの間に。
いやそれより、本当にイケメンだなぁ。アイドル事務所かモデル事務所には所属してそうだ。
「口調も自然と男っぽくなるね」
「うん、そうかもね」
「アリムが難なく一人称を『ボク』にできる理由がわかったわ。私……いや、俺」
はにかみ、照れ臭そうにしながらミカはそう言った。
またこれも例えだけど、少女漫画とかですよくある、逆ハーレム系の爽やか優しい男の人ポジションみたいだ。
「今の有夢って男?」
「今はね」
「へぇ……何回見ても女の子にしか見えなかったけど、男目線ならなおさら男には絶対に見えないよ」
「そ、そう?」
「うん」
だからみんな俺の裸を見ただけで鼻血を出してぶっ倒れるんだね。もはや完璧に男として見られないのがこれで証明されたわけだ! ぷくー。
「ふむ、翔とはまた別のタイプだよね同じイケメンでも。叶君に近いかな?」
「えー、そうかな?」
「そうだよ。あ、そうだ。そろそろこの姿の時の俺の名前を決めなくちゃ。有夢はアリムって名乗ってるわけだし」
「そうだね、それがいいよ」
ミカは必死に考えている。悩んでる顔もカッコいい。
……おっと、俺はそっちの気はないぞ。……ないはずなんだ、確か。ショーとかには危ういかもだけど……違うんだ。
「ミカ…ミ、よし、ミカミにしよう」
「なんか苗字っぽくない?」
「そう? ミカミ・マガリギ……良くないかな?」
「まあミカ…ミがそれでいいって言うなら」
まあアリムだって十分変な名前だと言われればそれまでだし。とやかく言えることじゃないよね。
「……男になったってことは……アレもあるわけだ。さっきからお股がムズムズする」
「あっ……」
そうだよ、男になったってことは、アレがついてるって事だ。ミカにアレがついてるだなんて、普段は想像もしたくないけれど、今の姿だとないと逆に違和感を感じる。
ここら辺は男女変換のスキルの効果だね。
「ちょっとトイレで見てくるね」
「あ、うん」
そんな、あとで一緒に寝るからここで見たっていいのに。……それは流石にダメか。
さーて、どんな反応をして戻ってくるのやら。
……自分の彼女が面白半分で男になってキャーキャーいってる様を見せられる俺ってなかなかすごくない?
ミカってば、アナズムにいる間はずっとこんな気分味わってたのかな。
あ、ミカミが戻ってきた。
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