第737話 魔神同士の会話
「まだ話してても良いのか?」
「うん、あと10分くらいね」
もしかしたら神目線の面白い話が聞けるかもしれないしね。許可を出したらシヴァは二柱の方を向いて、また話をし始める。
「でェ、地球ってのはどうでしたカァ?」
「かなり良いところだった。まず星の大きさ自体がアナズムより大きいのだ」
「アナズムと地球の大きさって違うの?」
「ああ、ありちゃん。ここは大体月ぐらいの大きさだ」
思ってたよりもアナズムって小さかった。
……というより、星って出た時点でアナズムは異世界というより別の惑星なのかもしれない。
「あ、別の星ッてわけじゃねェぜ? 全くの別世界だからよォ」
「しっかりと、ここは地球からみて異世界だ」
「そうなんだ」
言おうとしてたことが読まれてしまった。
でも、そう聞いて少し安心かな。やっぱり宇宙の一つの星であるよりは全く別の世界の方が夢が広がるからね!
そもそも魔法って地球の現実的には無理だし。
「それで? 何百年も封印されてる間、テメェは何をみて来た?」
「我も気になるぞ」
「主に文化と、その成長だな」
「へェ、まあ、それはまた後で訊くとして。オレが気になるのは美人の多さだ。こッちとあッち、どッちが多い?」
「断然こっちだな。アナズムでの『平均的な顔立ち』は、地球では少し良い顔をしている部類に入るだろう」
「ンダよ、ガッカリだな」
「だから、あゆちゃんと美花ちゃんを見つけた時はなぁ……目を奪われたな」
やっぱりアナズムの方が顔立ちがいい人は多いんだね!目測通りだ。
その中で絶世の美女扱いされてる俺とミカって……一体。自分のことだけどちょっと驚きかな。
「やはり向こうの世界でも戦争などはあるのか?」
「あるというか、こっちよりやばい。 どこかで必ず戦争が起こってる上に、核兵器というものがある」
「オッ、なんだその禍々しい名前の兵器は!」
「超大規模の爆発魔法の後、超強力な、普通は解毒できない猛毒が爆発範囲の数倍に渡ってそこら一体に散布されるようなものと思ってくれればいい。あれはえげつなかった」
「テメェが引くぐらいなんだから、相当なもんだろうなァ」
ぶっちゃけ魔神が引くレベルなのね、地球の戦争って。
というか、かなり広範囲見れるんだね、幻転地蔵の中。
「他に訊きたいことはないのか? ……あと4分ほどで、またしばらく話し合いができなくなるが」
「向こうの世界には魔法はないってマジか?」
「うむ、全部科学だ」
なんだかシヴァが、夏休みの海外旅行から帰って来たら、クラスメイトに引っ張りだこになってる小学生みたい。
「科学……?」
「ああ、さっき言った核兵器も科学の産物だ。他にはステータスを使わずに星の裏側まで遠くで会話できたり、映像という絵が動く娯楽があったり、どこでも音楽が聴けたり…」
「それら全部魔法じゃねェのか? 科学の力ってスゲェ!」
魔法の方がすごい気がするのは、やはり感覚の違いというわけだろうか。魔法が使えるこの世界は科学もできる。
地球でできることはアナズムで全部実現可能だからね。
他にも色々話してるみたいだけど、そろそろ時間か。
「はい、10分たったよ! 終わりねー!」
「くッ…な、なァ、アリムちゃん。あと5分……」
「ダメッ! 毎週1日だけ、この時間帯に20分! 決まりねっ」
俺はこけしの頭を押し、映像を無理やり消した。
シヴァのも切らせる。
「ふぅ…。で、どうだった?」
「20分はやはり早いな。30分にしてくれないか?」
「状況次第でね、そのうち考えるよ」
「本当だろうな……」
でも確かに、シヴァのことばかり注目して、俺らのことはチラチラ見るだけで直接訪ねてこなかったし、時間は短すぎたのかもしれない……ま、そのうちね。そのうち。
「とりあえずありがとう。あとは、もう今日は関わらないから、乳繰り合うなり好きにすればいい」
「ああ、うん。どういたしまして」
シヴァはこの部屋から出て行って、自分の部屋(実は用意してあげてる)に戻った。
とりあえず俺はこけし2つを厳重な箱に別々に入れ、お地蔵様の両脇においておいた。
「さて、と」
「これからす、するの?」
「いや、予定通り明日にしましょ。……あ、そうだ! 今日は性別を変える前のおさらいってことで!」
「あー、普通に、ね。わかったよ」
そんなわけで俺とミカも部屋に戻り、お風呂に入ってから事に至った。魔神…いわゆる邪神とはいえ、神に出会ったあとにこれはさすがにやばかったかな? 別にいいか、気にする必要はないね。
……これが明日には俺とミカの立場が逆転するわけでしょ? やっぱり不思議な気分。
そもそもミカが男になったらどんな感じなんだろう。
イケメンであることにはまず間違いがないからね、そこは期待しておこうかな。
ショーみたいなタイプのイケメンになったらそれはそれでいいんだけど、ミカのことだから優男風というか、そんな感じになる気がする。
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