第605話 ぶどう狩り

~お詫びの申し上げ~


 ぶどう狩りは11月下旬ではできません。また調べ不足です(´・ω・`)。

 本当に申し訳ありません。

 しかし物語の都合上、このまま有夢と美花はぶどう狩りデートをさせていただきます。


######




 日曜になった。

 俺と美花はすでに森の中に入っても大丈夫な服装で外に出て、予約しておいたぶどう狩り(食べ放題)の場所へと向かっているんだ。


 それはそうと、翔達が柔道で地区大会を1位通過した。

 ま、これはいつも通りだよ。翔が居る柔道部は必ず全国に行くことになるもん。

 でもどうやら今回の地区大会では翔の見せ場は一切なく、先鋒を任されたチーム内唯一の一年生の子がほとんど全勝と言っていいほど検討して終わったらしい。

 1、2回だけ負けて次鋒の部員に任せることもあったけど、その二人でほぼ無双したんだって。すごいね。

 県大会でもこの調子でしょう、多分。

 約束通りに見に行かなくちゃね。なんなら地方大会も見に行く時間があるかもしれないし。



「ね、ぶどう持って帰ってこれるのよね、確か」

「そうだね! みんなにお土産もって帰ろうね」

「……桜に叶君、お母さんとお父さんに、おじさんおばさん…翔とリルちゃんに、翔のおばさんと親父さん……」

「か、かなりの人数だね」



 総計で最低でも10房は持ち帰らなきゃダメなのか。

 うーん、持って帰れる量は1人6房までだからギリギリかな……。



「…桜は甘いもの好きだからもうひと房、翔にはお祝いでもうひと房あげるとしたら、12房ね。一応カバンは持ってきてるけど、6房ずつ分担して持って帰った方がいいわね」

「そ、そうしようか」



 美花がそう提案してきたなら仕方ない。分担して持って帰ろう。ぶどうは軽いけど、かさばるからね。



「着いたね」

「ねーっ」



 しばらくして予約しておいたぶどう狩り場に辿り着いた。2時間取り放題で1600円。

 巨峰とかデラウェア、マスカットなど全5種類。

 ……こんなんでどうやってぶどう農家さんは儲けてるんだろう。タネがさっぱりわからない。

 昔、1度だけ家族で行ったことがある場所だけど、ぶどう一つ一つの質も悪くなかった。

 まあ、それでもいいって言う以上、俺と美花は楽しむだけだけど。



「よし、取りに行こ!」

「いこいこ!」



 小さなカゴを借りて、俺と美花はぶどうの木が群衆している地帯へ。ここら辺はどうやらデラウェアがなってるみたいだね。

 


「あれ美味しそう! …うー、届かない…」



 美花の身長(160cm前後)でも普通に届きそうなところに結構生えてるのに、美花はわざわざ高めのところのぶどうに手を伸ばし、背伸びをしていた。

 そして、俺のことをチラチラと見てくる。

 期待に応えてあげるとしよう。



「はい、どうぞ。お姫様」

「ありがとうお姫様!」

「……うっ」

「えへへ、半分冗談よ。ありがと。かっこよかった」



 グッジョブと手で表しながらにこりと笑う。

 ああ、可愛すぎる。これぞデートって感じがするよ。


 俺と美花はひと房ずつデラウェアをカゴに入れ、近くの椅子に座り、食べ始めてみた。



「んっんー! あっまぁい!」

「そうだね…美味しいねぇ…」

「はい、あーん」

「あーん」



 食べさせてもらっちゃった。えへへ。

 と言うわけだから俺からも。



「はい、美花。あーん」

「あーーんっ」



 多分わざとなんだろうけれど、美花は指をちょっと舐めながらぶどうを俺の手から食べた。

 なんか今日の美花は攻めてくるな…。



「んふふ、あまい」

「次は巨峰にしようか」

「きょにゅ……やめて、そんな目で見ないで! いくら私か巨……うん、ごめんて」



 なんか言い出した美花を俺はジトッとした目を意識して見つめる。

 というわけで俺と美花は次は巨峰を狩ることにした。



「ここらはちょっとひと多めね」

「そだね」



 そういえば周りを見てみれば、結構家族客も多い。日曜日だからね…そうね、俺たち合わせて10組くらいいるか知らん。 でもどうやら個人だったり、同性と来てる人は見当たらないから、ストーカーの件については今は安心してもいいかもしれない。

 そんな話を考えてる間に取れた巨峰を、また近くの椅子に座って1房ずつ食べてみる。



「あー、美味しい。甘くて本当に美味しい」

「持ち帰るのはこれが良さそうだね」

「うん。桜と翔にはこれにマスカットでも加えとけばいいわね」



 そのあととりあえず全種類をひと房ずつ食べて、それぞれで気に入ったものを猛一巡するという形にした。

 二人でいちゃつきながらぶどう狩りすると案外時間がかかる。食べる時間もあるし。


 家族連れならなおさらキツイんじゃないだろうか。思ったより収穫はできなかった……まさか、これが狙いなのかな、農家さん。



「ふぅ、満足満足!」

「叶が今度、自分たちも行ってみるって言ってたよ」

「その時期にはぶどう狩り終わってるわね」

「まあ、イチゴ狩りにでも行くでしょ」



 案外楽しめた俺たちはホクホクしながら帰りのバスに乗る。



「……帰ったらどうする?」

「一旦、ぶどうを家に置いて来て、外にご飯食べにいこう。それからどこかデパートあたりにでも出かけようね」



 さすがに朝の10時から正午までの2時間でデートが終わるってのはものさみしいからね。

 かと言ってぶどうを持ったたまま出歩くと、ぶどうが潰れたりしちゃうかもだし。



「そうね! で、それから?」

「それから……?」

「わ、私が何言いたいかわからない?」



 何かをほのめかすような口調で……あ、そういうことか。気づけないなんてまだまだだな。



「ご飯食べた後ね。翔曰く、未成年が入るのは本当は良くないらしいからこそこそ入ろうね」

「えへへ、ヤッタァ!」


 



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