第502話 活動

「はーい、ありがとうございましたー!」

「「お疲れ様でしたっ!」」



 新しいポスターのための写生が終わったから、俺とミカはポーズを解いた。

 今回のポーズは椅子に座っている俺に、ミカが後ろから抱きつくもいうものだったよ。

 なんでも大手服屋さんの子供服の宣伝に使われるらしいんだ、このポスター用の写生は。



「いやぁ、今日も二人とも半端なく可愛いねぇ」

「「ありがとうございます!」」



 可愛いと言われたら素直に御礼を言う。

 今、俺は男ではないからムッとしたりしないんだよ、可愛いって言われても。むしろ純粋に嬉しい。



「えっと…次の仕事はいつでしたっけ?」

「3日後にな、こんどは婦人服の宣伝のチラシ用だね」

「わかりました!」

「それじゃあ、また次も頼むよ。アリムちゃんとミカちゃんのおかげでうちは大儲けしてるんだ」

「へへ…はいっ!」



 次の仕事の予定を聞いてから、俺とミカは手をつないでそのアナズムでの撮影スタジアムと言うべきところをあとにした。

 そのスタジアムから家に帰るまで、さっきの子供服を販売している大元であるメディアル商人組会から護衛の人を出されるんだ。

 俺とミカのことを一目見ようと大勢の人が集まってくるからね。

 ま、でも変装すればいいだけだし護衛の人はもちろん俺たちよりも弱いし、全くもって不要なんだけれど、護衛の人も俺たちのことを護衛できて心底嬉しいってこの間口を滑らしてたから、護られてあげてるんだ!

 ……なんかそう言うと偉そうだけどね。


 だいたいこんな感じなのが、俺とミカのアナズムでのアイドル活動の、写生撮影なんだ。

 今やこの街_______この国だけでなく、他国の広告にまでだいたい俺かミカ…あるいはどちらもが必ずと言っていいほど写ってるからすごい。

 いわゆる、世界的トップアイドルというところなのかもしれない。えっへん!


 まあ、アイドルの仕事はこれだけじゃないんだけどね。

 あ、アイドルアイドルって言ってるけど、実際はアイドルじゃなくてただの人気冒険者ってだけだからね。



「「ただいまー」」

 


 護衛の人とファン達に見送られながら、俺とミカは自分の屋敷へと入りそう言う。

 まあ、これで大抵ここの家の住人全員が返事をしてくれるんだ。メッセージで。


 最近、ショーとリルちゃんカップルは部活や筋トレの話を二人でしたりしてるらしいし、我が弟と(将来の)義妹カップルはガリガリベンベンしていたのをやめて、主にデートの計画を練ったりしてるらしい。

 相変わらず、全員ラブラブだよ。


 俺とミカは自室へと戻り、部屋着へと着替え、とりあえずベッドかソファに腰掛けて、体を寄せ合うんだ。

 そして、最近の話題といえば_________



「ウェディングドレスのデザイン、決まったんだっけ?」



 そう、パラスナさんとウルトさんの結婚式の準備の話題。3日前に以来されてから俺はずっと考え続けた。特にウェディングドレス。

 服のデザインを専攻している学校で習うようなものを教材だけで勉強してみたり、地球にあるウェディングドレスのカタログのようなものを作り出してそれを参考にしてみたりして、三日三晩考え続けた結果_________



「ふふふー、決まったよー」

「さっすが有夢! どんなの?」

「はいこれ」



 俺はマジックバックからデザイン用紙を取りだしてミカに見せる。



「わぁ…綺麗っ」

「でしょ。素晴らしいでしょ!」

「うん、絶対これ二人とも喜ぶわよ! いつ報告しに行く?」

「えっと、明日かな。1週間に一回は様子を見せに行こうと思ってたんだけどね。以来されたその週にできちゃうとは思わなかったよ」



 まあこう言う準備って早ければ早いほどいいからね。

 特に、あの二人はこの国中に大々的にやるつもりようだからさ。



「とにかくお疲れ様! この間まで『暇だー』なんて言ってたのが嘘見たいね」

「うん。まだまだ頑張らなくちゃいけないからね。しばらく丸っと暇になる日なんてないよ」



 正直、もうお仕事をする必要なんてないんだけどね。

 楽しいからしているのであって。

 


「でも今日はもうお仕事なにもないわよね?」

「ないよー」

「じゃあ…キスして」



 そしてこうなる。

 合間で暇になったらイチャイチャする、これも恒例行事でありいつものこと。



「ぷ…ギュって…」

「もうしてるよ」

「ほんとら…えへへ」



 思いっきり甘えてくるミカに、俺も甘え返したりする。

 地球じゃなかなかできないから。



「ウェディンドレスの次は……何するの?」

「ウェディングケーキだよ。それから飾り付け、その後にごちそうさ 」



 抱きつきながら、ミカは俺にそう聞いて来た。

 だから簡潔に答える。



「ウェディングケーキももしかして、大まかなこと決まってたりする?」

「ううん。ウェディングドレスに全神経注いでたからそんなことないよ」

「そうなんだ…じゃあ明日報告したらウェディンケーキだね!」



 そっか、そうなるね。

 あー次はウェディンケーキも考えなくちゃね。

 

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