第458話 セインフォースのダンジョンクリア

「ええ、多分これで終わりですね。ほら」



 俺はマギアナドラゴンが倒された跡地、そこにある宝箱と、なんか地面に突き刺さってる剣と、外に出るためのホールを指差してそう言った。



「お、終わっちゃったんだ…本当に」

「2週間前の僕達じゃ、逆にあっという間にやられてたよね」



 そうだね。

 もし仮にDランクだった彼らがマギアナドラゴンに挑んだらまず勝てなかったことだろう。ていうか瞬殺。



「宝箱はやっぱりカルアが開けてよ」

「はいっ!」



 そういえばこの世界に運のステータスって無いよね。

 もしあったなら、カルアちゃんの運はどのくらいなんだろう?



「この剣は…?」

「僕はルインが持つのがいいと思う」

「「異議なし」」

「そ、そうかな。じゃあありがたく…」



 ルインさんもカルアちゃんと同様に、宝箱近くのその剣まで駆ける。

 『なんかいいものが手に入ったらルインさん』という空気が出来上がってるのが面白い。



「鑑定はボクがするからね! 持ってきてください」



 カルアちゃんが宝箱の中身を宝箱ごと、ルインさんが地面から剣を引き抜いて持ってきた。

 それらを鑑定してみる。


 剣の方はかなり当たりかな。

 MPを吸収させると強くなる、なんて俺の剣と同じ効果を持ってるよ。それに装備してる人への補助魔法や補助スキルの効果を2倍にすることができるみたい。

 つまり、今ルインさんが絆の力を使ったら強さが最低でも14倍になるってことだね。すごいね。


 宝箱の方は…これなんて当たりとか大当たりなんかで形容できるレベルじゃなかった。

 まず、まずSSSランクの魔核が2つあるの。

 いや、これだけでもすごいのにそれ以外に伝説級の腕輪が3つも入ってたんだよね。


 一つは元々の攻撃を下げる代わりに、魔力を3倍にし、HPとMPの回復速度を10倍までに速めるってやつ。

 次に、元々の魔力を下げる代わりに攻撃と防御を2倍ずつにして、さらに全部の属性に対する耐性も強くなるってやつ。

 3つ目は攻撃を下げる代わりに魔力を2倍にし、補助魔法の2回がけができるようになる上に、回復魔法と補助魔法の消費MPが半分になるというやつ。


 そんなの。

 こんなすごい効果の腕輪が3つも手に入るとかありえない。ティールさんとカルアちゃんは、その3つがセインフォースのルインさん以外の3人にとても向いてることから、自分たちはその所有を辞退した。


 でもこの二人のために用意したようなものまで入ってるんだ。

 一つはおそらくダンジョン限定のスキルカード。

 その内容は『半径100m以内に居る5人までの人間のステータスを1割減らし、自分のステータスを1.5倍にする』

というもの。これでレベル1の段階。

 その5人というのは範囲内にいるのなら選べるみたいなので、ステータスが視れるティールさんにはうってつけのスキルだ。


 もう一つ、カルアちゃん専用のは『王姫の祈り』とかいうなんともそれらしい名前のSランクスキル。これも多分だけれど、ダンジョン限定。

 『魅了の才』以上の魅惑系の称号を持ってる人に反映される。持ってなくても、これを覚えた時点でその称号を手に入れ得ることができる可能性があるのであれば、すぐさま取得するのだとか。

 そしてこれの効果はまず、自分の周囲に居る人間のステータスを1.5倍にできる。それだけですごいのに、さらにその人達のHPMPの回復速度は10倍になるんだって。


 もうなんなんだろうこれ。

 カルアちゃん、チートとか使ってないよね?

 おかしいんだけど、宝箱の中身。なんでこんなにいいのしか入ってないの?



「ふぅ。宝箱の中身の分配も終わっちゃたね。アリムちゃん、これって当たりなの?」

「え? 当たりすぎてマジヤバイっすよ。おかしいっす、こんなの」

「アリムちゃん……口調が…」



 おっと、いけないけない。

 普段の俺ですら出さないような口調になってしまった。

 いやだって宝箱の中身が幾ら何でも良すぎるんだもん。



「と、とにかく! これでダンジョンクリアです! おめでとうございます!」

「うんっ! でも良かったんですか? これはアリムちゃんがお父様から貰ったダンジョンですよね? 私達がクリアしちゃっても……」

 

 

 それは別にいいんだ。

 最初からそのつもりで大めにもらってたし。

 それにこのダンジョンはとてもいいダンジョンだから、俺のアイテムマスターとしての本気をだして、消えないように細工するから。



「大丈夫! 気にしないでね」

「はい、そう言うのなら」

「……………ありがとう、アリムちゃん。じゃあとりあえず、あの光に飛び込もうか」

 


 ルインさんがそう言ってから、各々がそのダンジョンの光に飛び込んで行く。

 


「有夢、行こっ!」



 そして最後に俺とミカが残った。

 ちなみにマギアナドラゴンの亡骸はルインさんが回収してある。



「うん。でも少し待ってね」



 俺はボスステージの真ん中らへんにボールのようなものを放り込んでから、ミカと手を繋いでその光に飛び込んだ。



【トリアエリアル山の「楽しみ」のダンジョンをクリアしました。

称号「「楽しみ」のダンジョン攻略者-2-」を入手しました。

印「機械の神の竜の山」を入手しました。

ダンジョンエクストラクリア報酬として、STP・SKPを5000入手しました。】

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