第333話 お揃いスキル

「えへへ…おはよっ」

「おはよう」



 俺とミカは起きてすぐにキスをする。



「んふー! 幸せっ」

「俺もだよ」



 そんな事言い合いながら朝ご飯を作って、好きだのと声を掛け合いながらそれを食べる。

 うん…わかってる。自分で言うのもなんだけど、すごくラブラブだよね。でもこれで良いんだよ。



「今日は何か仕事あったっけ?」

「仕事も、特にする事もないよ。強いて言うなら、アレだよ。ほら、スキルの管理しようよ」

「そうね! そうしよっか」



 朝ご飯を食べ終わった俺達は、スキルの管理をどうするかを話し合う。スキルの管理も本当に久し振り。



「スキルの管理って言っても…どうしよっか?」

「とりあえず剣技とか槍技とか、あれ全部、神奥義にしない?」



 なんと、それは盲点だった。

 グットアイデアだね。



「ああ、いいね! じゃあそうしよっか」


 

 俺とミカは、武器の奥義を全て○神奥義にした。

 これで全部の武器がめちゃくちゃうまく扱えるわけだ。



「この調子でスキルを増やそうよ」

「そうだね、暇だしねー。次はなに作る?」



 うーん、と、ミカはしばらく腕を組んで考えた。

 そしてすぐに、何か閃いたようだ。

 ニコニコした顔でその考えを俺に報告してくる。



「あのね! 私もアイテムマスターを覚えるってのはどうかな…? ううん、覚えていい? そうすれば色々便利だし、なにより有夢とお揃いだから」



 ミカがアイテムマスターを覚える…その手があったか。

 すっごく驚いた…。カルチャーショックってこういう事言うのかも、え、違う?

 全然思いつかなかった。確かにこんな便利なスキル、他人にホイホイ教えなくとも、ミカには教えるべきだったね。



「わかった、作り方教えるよ!」

「ありがとっ」

「ミカには足りないスキルが多いから、まずそれらを覚えようね。じゃあ、ちょっと待っててね」

「うんっ!」



 俺は俺のマジックバックから、ローズを倒したところのダンジョンで手に入れたスキルカードの3枚。

 『創作王』『鑑定王』『採取王』を取り出した。

 捨てずに取っておいてよかったよ。

 もう、いらないかと思ってたもん。



「はい、これ。覚えてね」

「これね…。スキルカードあったんだ」

「じゃあ次に、さらに必要な2つスキル、教えるから」

「お願いしますっ!」



 俺はミカに、覚えるのが簡単な方である、美術とエンチャントのスキルを教えた。

 案の定、すぐに覚えて、『真・エンチャント』と『真・美術』にミカは進化させる。



「それで…? この先どうするの?」

「まあ、あとは真料理と合わせて全部合成すれば、アイテムマスターができるはず」

「ん、やってみるわね」



 ミカは合成を始めた。

 …が、しかし、すぐに顔をしかめる。

 何があったんだろ?



「どうしたの?」

「なんか…おかしい。何これ? ちょっと」

「うーん?」



 頭の中で見たことない画面が出てきたんだって。

 ミカはそれを紙に忠実に再現して描いて見せてくれた。



【この合成の結果予測である、『アイテムマスター』は既に所有者が存在しているため、作成できません。マスターと名のつくスキルを所持できるのは同時に一人までとなっております】

【『アイテムマスター』の劣化版である『アイテムマエストロ★★★★★』を作成できます】



 なるほど、これは知らなかった。

 マスター系って、一人しか入手できないんだ…。



「うーん、ということは私はアイテムマスターを手に入れることはできないんだね。いいや。とりあえずこれ、作っちゃっていいよね?」

「そだね」



 ミカはアイテムマエストロとかいうのを作った。

 俺のアイテムマスターがオリジナルだとしたら、これはそれに比べて劣っているらしい。



「むぅ…有夢とおそろ…」



 ミカはちょっとむんずける。

 可愛い。



「そんなに俺とおそろいのスキルが欲しかったの?」

「まあ、そこまでという訳でもないけどね。とりあえずなんかこう1つくらいは…なんて」



 そっか。確かに俺もミカとおそろいはやってみたい。雑誌の上ならペアルックをよく着てるんだけど…。


 ……そうだよ、俺とお揃いがいいんなら、まだ、アレがある。

 


「ミカ、ダークマタークリエイトを覚えない?」

「わぁ…っ! それならおそろいよね! でも、アイテムマエストロで作れるのかな」

「俺に考えがある」



 俺は例のアレを取り出した。

 自分のスキルの一つをスキルカードにできる、アレだ。

 


「これで俺からダークマタークリエイトを抜き出して、ミカに渡せばいい。そんで俺はもう一回作り直す…と」

「いいの?」

「いいよ…っと、はい、どうぞ」



 俺はダークマタークリエイトをスキルカードにし、ミカに渡した。ミカはすぐにそれを自分に読み込む。

 


「おお…私に有夢のダークマターが…」

「ちゃんと取得できたんだね。じゃあ俺ももう一回作り直すかな」



 トズマホに手順をメモしておいて正解だった。

 というか、いつの間にメモしたんだっけ…?


 とにかくそのメモ通りにダークマタークリエイトを作り直すことができ、スキルポイントを割り振り直した。

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