第331話 そういえば
「ぷー」
ミカはちょっと不機嫌目に俺に抱きついた。
さっきまで俺の胸を揉んでたミカは、今度は自分のを、とか言い出したんだよね。
本当はそのまま言う通りにしても良いし、したいんだけど、まあ、まだ昼間だし控えることにしたよ。
「よしよし」
「えへへ」
俺はトズマホを置き、ミカの頭を撫でた。
ミカはとても嬉しそうな顔で微笑む。やっぱり最高に可愛いね。
それにしてもさっきまでボケーッと何か考えてたみたいだけど、なんだったんだろ?
訊いてみよかなー。
「ねえ、ミカ。さっきまで何考えてたの?」
「ああ、それはあなたのたん________」
「たん…?」
誕生日の事かな?
多分そうだろうね。嬉しいなぁ…。
ミカは『しまった』と言いたげな表情をしてから、慌てて言い直した。
「たん…パク質。そう、タンパク質だよ!」
言い訳…? いや、言い直しか。
ミカの態度見ても、どう考えてもさっきまで俺の誕生日のこと考えてくれてたんだよね。
……俺のタンパク質ってなんだろう?
「ボクのタンパク質…?」
「そ…そうよ! アリムは柔らかいから、食べたらタンパク質が多そうだなーって」
それは怖いね。
食べられちゃうのは嫌だなぁ…。ミカなら良いかもとか、ちょっと考えたけど、痛そうだからやっぱりヤダよ。
「むぅ…食べても美味しくないよっ!」
「それはない」
「えっ?」
ミカったら、真顔でそう言われたんだけど……。
え…なにこれ、俺なんか間違った事言った?
なんで俺がツッコまれなきゃいけないんだろう。
「ははは…いや…それは…」
「まあ、この話は置いとこ? ね?」
「あ、うん。そうだね」
流されてしまったけれど、これで良かったのかも。
うん。
そのあと、俺はミカに構いながら本を読んで、ミカは俺のほっぺたを引っ張ったり、また胸を揉んだり、膝を枕にしてきたり、耳を甘噛みしてきたり、頬にキスをしてきたり、普通にキスしてきたりした。
お昼時になったから、俺とミカはお昼ご飯を食べる。
お寿司を除いたら、久しぶりの和食、お蕎麦と天ぷら。
「ふー、美味しかった。……じゃあ」
ミカはご飯を食べ終わってソファに移動してすぐに、抱きついてくる。
俺もそれを返す。
「いいねー。久々にのんびりしてるね」
「ねー」
ミカのその言葉を肯定しながら、頭を撫でる。
「えへ。ここ2ヶ月くらい、ずっと忙しかったもんね」
「ねーっ」
今度はミカが俺の頭を撫でた。
「……そういえばさ、ちょっと前の話になるんだけど」
「んー?」
ミカが何かを思い出したようだ。
ちょっと前に何かあったっけ?
「あのさ、私、魔法で何万体も悪魔と魔物、倒したじゃない」
ちょっと前…?
2ヶ月前じゃないかな、それ。
まあ、いいけど。
「確かに。ミカのおかげで相手は全滅したんだからねー。良くやったよ」
「じゃあ、あとでごほうび頂戴ね? チューでいいから……て、言いたいのはそれだけじゃなくて、経験値ってどのくらい貯まってるのかなぁーって」
「あっ…」
最近、アイドル業やら遊びが忙しすぎて、全くステータスとトズマホの経験値貯め機能を見てなかった。
そうだ…ミカはたしか6~7万は撃退してたはず。
それで、だいたいあの場に居たのはDランクからSSランクまで様々。亜種も大量に居たね。いったいどの位になってんだろ。
「じゃあ…確認してみよっか…」
俺はトズマホを取り出そうとした。
だけど、ミカはそれを制止して、抱きつく力を強めてきた。
「どうしたの?」
「確認したら…ステータスの管理して…その間、構ってくれなくなるかもだから、今のうちに甘えておくの。ほらほら、一旦有夢に戻ってよ」
言われるままに、俺は俺に戻った。
「よしよーし…えへへ。じゃあ御褒美ちょうだいね! キス…その…ディープキスして?」
「ああ、いいよ」
俺とミカはキスをする。
およそ10分くらい経って、ミカは満足したみたい。
ぐでんと力が抜けたように、俺の脚を枕にして横たわり始めた。
「ふへぇ…最高…」
「…うんっ」
「じ…じゃあ、しゅてーたしゅ、確認しようにぇ」
呂律のまわっていないミカは、トズマホを取り出した。
俺も取り出し、久々に経験値を貯める機能があるアプリを開く。
「ああ…やっぱりすごい事になってた」
「うん……」
俺とミカは思わず黙る。
経験値を久しぶりにみて、耐性がなくなってたっていうのもあるかもだけど、かなり驚いてる。
トズマホに表示されている、俺達が手に入れた経験値。
それはもう、何回転生できるんだろう……えっと_________350回……ね。
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