第330話 ちょっと考えてみる

「おはよう、ミカ」

「うにゅ…おはよ、有夢! んっ…えへへ」



 昨日はカルアちゃん達が帰ったの。

 今は私のだーいすきな有夢と二人っきり!

 カルアちゃん達と一緒にいるのも楽しいけど、有夢と二人っきりなのは嬉しい。


 有夢が起こしてくれた。

 起きると一緒に、私は有夢にキスをする。

 こうして朝が始まる。



「朝ごはんできてるよ」

「ありがと」



 私達はあーんってしながら、一緒に朝ごはんを食べる。

 これもいつも通り。 

 朝ごはんを食べて、着替えるなり、有夢は女の子になっちゃった。


 ……女の子のアリムは可愛い。だけど、よく考えたら、有夢がよくアリムになるのって、私のせいかもしれない。

 すごい頻度で女装させてたから…。

 ああ、でも有夢も満更じゃなかったのよ?

 ……いや、そもそもそうなったのも私のせいかな…?


 

「ミカー」

「アリムー」

「「ギューッ」」


 

 朝の準備があらかた終わるなり、私とアリムは抱きつく。

 ……あれ、ほんのちょっと…私じゃなきゃわからないレベルで胸が大きくなってるような…後で揉ませてもらおうっと。


 まるでバカップルみたいだけど、バカップルなんだから仕方ないよね。

 私達は抱き合ったまま、ベッドに横になって会話をする。


 こっ…このまま致しちゃっても良いんだけど…っ…流石に真昼間だし、それはやめとくよ。

 表面では女の子同士って事になってるし。



「アリム良い匂いする」

「ミカも…まあ、シャンプー同じだから」

「そうだねー」



 なんて、たわいもない会話をね、するの。


 しばらくして、ただ抱き合ってキスするだけなのも飽きた私達は、別々に行動する事になる。

 これもいつも通り。


 アリムは、ベッドの端に座ってトズマホで読書、私はベッドの上で考え事。


 考え事って言うのは、アリムの誕生日のことなんだけど…。あの、流星群だっけ? あれがある日と被るのよねー。

 だからかはわからないんだけど、アリムはカルアちゃんに「行けたら行く」って言った。

 それってつまり、私との誕生日のお祝いを優先的に楽しみにしてくれてるのかなぁ…えへへ。


 で、それは大して問題じゃ無いくって、何を有夢にするかが問題。

 そもそも誕生日プレゼントは何が良いのかしらね?

 なんでもしてあげる券なんて、いらないでしょ? だって、有夢が言えば私、券なんて無くったって、なんでもするもの。なーんでも。

 キスしてくれって言えばするし、エッチな事したいって言えばするし……有夢は言わないけど、死んでくれって言ったら_________



 よし、私!


 今まで有夢に渡してた誕プレを思い出そうじゃないの。

 最後の記憶は…5歳そこから4歳飛んで、次は9歳ね。


 3歳は四つ葉のクローバーだった気がする。

 なんで覚えてるかって? 中1と時、エロ本の1つでも無いか、あったらそのネタでしばらく弄り回してやろうと思って、有夢の部屋を捜索してた時に、ベッドのしたの缶箱の中から、押花されてシオリになったクローバーと、『3歳の時のもの』っていうメモが見つかったからね。

 思わず泣いたわ。泣いて自分のやろうとしてた事、ちょっとだけ悔やんだもん。

 ちなみにそれは、今も有夢の部屋にあるはず。

 おばさん達が処分してなければね。


 9歳の頃に渡したのは…なんでもしてあげる券。あの時、今みたいに何も思いつかなかった覚えがある。有夢は一緒にゲームするのに使った。

 そんな事しなくても、一緒にしてあげたのに。

 なんなら、それを高校生ぐらいの時に使って、『俺の彼女になれ』くらいは言っても良かったと思う。えへへ…我ながらロマンチスト。


 次の記憶は…10歳。

 忘れもしない。私、有夢を女装させるのに目覚める。

 確か……私のお古の髪飾りとかリボンとか、手鏡とか…渡して無理やりつけさせた。

 とても可愛かった…そう、クラスの女子なんかよりよっぽど女子だった覚えがあるわ。下手したら1番可愛かったかも……うん、今と変わらないわね。


 11歳と12歳。

 11歳が、お母さんと一緒に作った、有夢のサイズに合わせた女の子ものの服とスカート。そして、12歳が叔母さんからもらった、私にはちょっと大きかった女の子用の赤い靴。

 すでに有夢は、嬉々として受け取ってたような気がする。


 13歳で口紅、14歳で数枚のニーソックス。

 もちろん、これらしか渡さなかったわけじゃ無いよ? でも、この2つが強烈すぎてよく覚えてる。

 有夢は…笑顔でありがとうって言ってた気がする。

 

 15歳は、テレビゲームタイプの人生ゲーム。

 これはもう、過去最高に喜んでた。

 だから私、16歳…前回もゲームソフトを渡した気がする。


 こんな感じね。


 ……有夢は、この世界に来て、自分が女の子っぽくて驚いたって言ってたけど、それ、大分前からなのよね…。

 だとしたら、私が行わせていた女装は…? 嫌だったのか、それとも女装癖が染み付いちゃってたのか…。


 後者かしらね、だって、やけに女の子になろうとするし、有夢。自分では気づいてないのかもだけど、深層心理はきっとそう……。


 って、違う違う。

 私は有夢の誕生日プレゼントを考えてるのよ。私が作っちゃった、有夢の自分でも気づいてない趣味の事なんて、今は良いわ。

 うーん…良い考えが浮かばないぃ…。

 むう…。


 私はヤケクソになって、手で掴んでいたものを思いっきり握りしめた、すると、アリムが涙目でこう、訴えてきた。



「ちょっ…痛いよミカっ! 揉むなら揉むで優しくしてね」

「あっ…ごめんね」



 私はアリムの胸から手をどかして、中の下着を正し、服から手を出して、その手をお腹に回して背中に抱きつきなおした。

 えっ…いつからこうしてかって?

 抱っこ仕合のイチャイチャが終わってからずっとだよ?

 

 

「あの、アリム? なんなら私の…」

「うん、そういうのは夜ね。夜。今はお昼だから、そういうのは控えようね」

「はーい」



 むう…。

 同じ事させてあげようと思ったのに。

 こういう事させてあげるのは有夢だけなんだからねっ!

 

 


 #######


ここから先数話、久々にアリムちゃん達の話が続きますよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る