第329話 魔核提出翌日 (翔)

「き…今日はどうするんだい?」



 SSランクの魔核を提出し、一晩が過ぎた。

 今日やるべきことは、昨日、叶君から貰ったアドバイス通りにすること。

 スキル作ってから鍛冶屋へ行く。これだ。


 その旨を伝えることにした。



「SSランクになるんだからな、折角だし、スキルを増やそうと思う。それと、鍛冶屋に行く用事がある」

「…鍛冶屋? どうしてだい?」

「リルのメインの斧は今んところ、MP消費して召喚だからな。鉄製の斧じゃ威力不足だしよ。金も素材もあるし、ちゃんとした斧を作って貰おうぜ。ついでに俺の剣のスペアも」

「わふん。確かに。ありがとね」



 前までは要らないだの言ってたが、そういう事は言わなくなったな。うむ…これも関係が進んだから…か? それとも金があるからか。



「とりあえずは朝飯食ってから、スキル考えようぜ。なんならリルもあと1つ、考えても良いんじゃねーか?」

「わふぅ…そうだねぇ…。それも良いかも」




 俺とリルは朝飯を食い終わり次第、すぐにスキルの合成を考えた。

 とりあえず、炎系の回復スキルを覚えなきゃなんねーな。


 叶君にアドバイスを貰った通りに、癒術と解異常術と強化術、炎術と光術とを主に合成していった。

 その結果、[神の聖炎の治癒]っつー、SSランクの炎系の回復スキルを手に入れることができた。


 一方リルは、炎と風系のスキルを駆使し、[焔嵐斧神術奥義演舞]を作り出した。


 ついでにSKPもあったから、俺はそろそろMPに5万、素早さに2万5000、攻撃と魔力に1万ずつ割り振り、リルはMPと素早さと魔力に5000、攻撃に4000振った。



「わふ。ステータスはこれで良いのかな?」

「ああ、そうだな。次に、叶君から紹介してもらった加冶屋に行くぞ」

「わふわふ」



 俺とリルはステータスの管理が終わり次第、すぐにその鍛冶屋へと向かった。


 着いて中に入ったが、店は狭かったし、店員もおっさん一人しか居ない。

 まあ、叶君から聞いていた通りだ。



「らっしゃい…」



 おっさんはかなり無愛想にそう言った。

 これでこの街の1番の鍛冶屋らしい。確かに腕が立ちそうな顔立ちをしてる気がしなくもねーな。


 

「えーっと、叶って子、知ってますか?」

「ああ。つい先日、俺のところに来た坊主だ。…あの坊主の紹介で来たのか?」

「そうです」

「ほう……」



 おっさん…いや、おじさんはカウンターから出てきて俺らの方に来た。ちょっとツーンとした汗臭さがある。

 鼻が良いリルは、少し辛そうだ。



「……1つ質問良いか?」

「はい…なんでしょうか?」

「そこの獣人…おそらく奴隷だろうが_________」



 この人は獣人=奴隷だと思ってんのか?

 それは否定させてもらおう。



「奴隷じゃねーっすよ。この娘は俺の大切な…仲間であり彼女です」

「お、おおう」



 俺が少しキレたからか、おっさんは若干驚いたが、すぐに先程までとはうってかわり、にこやかな表情となった。



「はは、そうか。なら良いんだ。いやな。これは俺の自論なんだが…誰であろうと、人を物と思ってるやつに、武器を振るう資格なんぞねーと思ってんだ。……お前は大丈夫なんだな」



 ああ、なるほど。

 そういうタイプの人だったんだな…!

 


「よし! 仕事を引き受けてやる。材料は持ってきたのか? 何を作って欲しいんだ?」

「はい、材料はあります…! 作って頂きたいのは、斧と剣、一本ずつです」

「じゃあ、素材から見せてくれや」



 俺はまず、オリハルコンを取り出した。



「うぉうい!? オリハルコンかぁ…っ! いいねぇ…仕事のしがいがある」



 おっさんは上機嫌になった。

 次に俺はSランクの魔核と、使えそうなエンチャントカードを数枚、取り出した。



「このエンチャントカードは使えるものがあったら使えって事か? あとSランクの魔核か」

「はい。そうです」



 最後に、宝箱から出てきたS~SSランクの魔物の素材、フレスベルクの素材の一部を取り出して渡した。

 

 それらの素材を受け取るなり、おっさんは、店の奥に出たり入ったりしてる。



「……こいつぁ…は最高の物が作れそうだな…!」

「マジすか」

「ああ、マジだ。そうどな…5日ほどかかる。値段も一本400万ベルするが…?」


 

 あとで魔物の素材を売りに行こう。

 そのくらい、すぐにたまるだろう。



「大丈夫です」

「よーし、じゃあ引き受けたぜ!」



 気難しいおっさんだという話だったが、なんとか武器を作ってもらえる事になったな。 

 リルはなんか、上の空だったがな。


 俺とリルは、400万ベルを素材を売ってこしらえ、昼食をとってから戻ってきた。



「さて…と。リル、なんかして欲しいのことかあるか? 今日はもう、多分暇だ____」



 帰ってきてすぐにそう言った。

 リルは俺に、なんの脈略もなく抱きついてきた。



「ショー…大好きだ」

「おいおい、どうした」

「…彼女って改めて言われて嬉しかったんだよ」

「おお、そうか」


 

 とりあえず、リルを抱きしめ返した。


 その後、数時間、普通に過ごし夕食を食べ風呂に入り、寝るだけとなったんだがな……。

 

 リルが…リルがまた、きわどい下着だけをつけて、ベットに来たんだ。

 さらに、あの時と全く同じように、布団をかけず、うずくまって向こうを向いている。



「リル……」


 

 相当、俺のリルに対する彼女であるという発言が嬉しかったのか…? こんな行動に出るっつーことは、そういうことだろう。だけどな……。



「リル、気持ちはわかるが、一昨日に致したばかりだ。……せめてあと1日か2日あけようぜ? 俺が辛くなる」



 リルは獣耳をパタリと折りたたみ、こちらを振り向いた。そして、ボソボソと何かを言い始める。



「2日後…ぜったい…」

「ああ、わかった。それで良いからよ」

「わふふっ!」


 

 リルはベットから飛び降り、寝間着を着けて戻ってきた。そして俺のま隣に来て、寄り添ってきた。

 んでもって、こちらを向いて、俺の頬にキスをすると、そのまま、満足そうに目を閉じた。




 

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