第224話 買い物 (翔)
俺は女の子の拘束具を外し、1000ベル残して4000ベルを持って外に出た。
とりあえず、さっき徘徊した時に服屋と八百屋は見つけていた。あと…御者が持っていたあの便利な袋を買わねーとな。
それは買い物をした店の店員にでも聞けばいいだろう。
しっかし……やはりと言うべきか、奴隷に荷物をもたせたりしている人が結構居る。
中にはちゃんとした格好をさせていた人もいるが、半分近くの人間は、奴隷にはちゃんとした服を着せてなかった。
でも、本当に人によって奴隷の扱いは変わるんだな……。死んだような目の奴隷も居れば、楽しそうにその主人であろう人と話しているのも居た。
街をそんな感じでキョロキョロと観察しながら歩いていたら、服屋に着いた。
しまった、あの子のサイズがわかんねー……。下着とかどうすればいいんだろ?
「何かお求めですか?」
店の前で悩んでいたら、その店の店員であろう女の人が話しかけてきた。
「あ、はい。中を見させてもらっても良いですか?」
「ええ、勿論。どうぞ」
俺は店の中へと入る。
どうやらこの店は、男物も女物も揃えているみたいだ。良かった。
そして割と安めな方だ。男物の服が一着、一番安いので120ベルで……ズボンが125ベルか。
それらを色違いで2つずつ買おう。まだ金に余裕がないしな。
あと…あ、女物も同じ感じで売ってるわ。ワンピース一着が175ベルか。これを2着と服2着でいいな。
それと下着と靴下は……この店は売ってるみたいだな。男物もの女物もどちらの下着や靴下もだいたい1枚40ベル程。
だとすると…俺とあの子の分で…そうだな、4日分くらいで…960ベルか。
これら全部でいくらになるんだ? えーっと、2040ベルか。もう残金が1960ベルしかねーが…しゃーない。
で、問題はサイズなんだがな…よく見たらこの店の下着、全部同じサイズ…。
「すいません店員さん、この下着のサイズって…」
「あ、サイズですか! 心配要りませんよ、すべてエンチャントにより、着る方のサイズに合うようになってますから」
「そうなんですか」
へぇー、すげぇー。まさにファンタジーだな。こりゃ便利だ。
じゃあさっさと会計を済ましちまおう。
……そういえば靴も買わないといけないんだったな。
俺は服を買い1800ベルを支払った。
あと、この店員さんに俺が要するもの場所を聞かねーと。
「お買い上げありがとうございました!」
「あ、すいません。あの…沢山入る袋もか…靴が売ってる店って近くに……」
「ええ、ございますよ! この店を出て、6軒挟んだくらいのところに雑貨兼マジックアイテムの店があります。さらにその店の後ろに靴屋がありますね」
「ありがとうございます!」
よし、じゃあそこに向かうか。
俺は店員に言われた通りに6軒挟んだ店に行き、入った。
「いらっしゃい」
その店の店員はしわくちゃ…つったら失礼だが、老人だった。
いろんなものが置いてあるな。マジックアイテム……きっと、さっきの服屋の店員が言っていたエンチャントとかいうヤツの専門店だろう。
腕輪やらミサンガのようなもの、なにやらカードみたいなもの、魔方陣が書かれた紙…! 見ていて飽きない。
俺はあの、例の袋を見つけた。
マジックバッグというらしいが……1枚、一番安いので1000ベルかよ!?
でも、これがないとこの世界の生活は大変不便なものとなることは確実だ。
仕方ないが……これを買うしかないな。
あと買うものと言ったら……タオル数枚と桶が欲しいな。雑貨屋も兼ねてると言っていたし。
俺はこれらも探し出して買った。
「おじいさん、これ下さい」
「あいよ、1100ベルだよ」
「あと…この袋ってどのくらい入りますか?」
「そうさの…だいたい……ここの売り場の3分の2くらいの大きさかの」
ここの3分の2くらいの大きさ……だとすると、俺が今泊まっている部屋より一畳くらい広い。よしよし。しばらくは十分だろ。
俺は大銀貨1枚と銀貨1枚を支払い、この店をでた。
また、そのうちここには来よう。
次は靴屋だが……靴がないのはあの子だけで、俺は学校指定の黒い革靴を履いてるから別に要らないんだよなー…。
今、無理して俺の分を買うことはないんだ。
あの子の分だけを買おう。
俺はこの雑貨屋の裏の靴屋に入り、女物で一番安いのを買った。それでも400ベルした。
あとは…食物だな。てか、今、おもいだした。
俺は専門家じゃないからマジで詳しいことはわからないが、そういや摂食障害の拒食症の場合、その人の好きなもの、食べやすいものをまず、食べさせるようにして食事をとるような習慣をつけたほうがいいんだったかな。
あの子の好きなもんってなんだ? てか名前すら知らねー。起きたら聞くしかねーな。うん。
俺は宿へと戻った。
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