第191話 国王の勝利宣言後

 き………緊張したぁ………。 

 めっちゃ緊張した、勇者宣言なんかよりもよっぽど緊張した。なんでだろう?


 ミカは…自分の言うべきことを言った後、精気の無くなったような顔をしていた。

 よく頑張ったと思う。


 みんな、俺が一言喋る度に、『ぉぉおおお!』とか言うし、何か挙動をするたびに『神聖少女様だぞ!』とか言うのね、マジで恥ずかしい。

 みんな、俺が生き返らせた事自体は覚えてないはずなんだけど。

 …そして、俺が喋り終わったそのタイミングで、新しい称号を手に入れた。



「魔神殺し」「ハルマゲドンを破りし者」「異世界を紡ぐ者」「悪魔キラー」「生死の超越」「真の勇者」「ビリオネア」「大戦争の勝者」「生きる伝説」



 この9つ。

 さらに、俺の二つ名に『天の魔剣少女』だけでなく、『紅の神聖少女』というのが加わった。

 人を生き返らせまくったからからだな。

 

 とにかく、国王様による勝利宣言は終わった。

 次のイベントは1週間後にある、この王都でパレードだ。


 その1週間の間…どこらか1ヶ月先まで…瓦版からのインタビューの予定も沢山入れられてしまった。

 ……ミカも同じようだ。

 そういえば、俺とミカの写実集作るって出版社も居たっけ。


 これで本当に数ヶ月間は忙しくなりそうだ。

 それを国王様は察したのか、俺とミカを8時以降まで、取材関係などで拘束しないように、勝利宣言の時に言ってくれた。だいぶ助かる。



 今日はこのまま。俺とミカはメフィラド城内に残る。

 お泊りするのだ。カルアちゃんのお部屋に。



「カルアちゃん、今日残り1日ずっと遊べるよ! 明日からは忙しくなるから、滅多にお泊りできなくなると思うけど…」

「ごめんね? カルアちゃん」

「いえ、仕方ありませんわ。それより……私達と特訓するという約束は……」

「もちろん覚えてるよ! ……でもごめんね、ボク達が忙しくなくなった後になりそう」

「ふふ、お暇な時で大丈夫ですわ」



 俺とミカ、そしてカルアちゃんはその後遊び始めた、それに加えてリロさんとミュリさんもしばらくして来た。 

 カルナ様はどうやらお忙しいようで、遊べないみたい。

 俺たち5人はとりあえず夕飯まで、1時間程遊んだ。

 

 リロさん、ミュリさんは俺が勇者になったからといって一切態度を変えてこない。嬉しい。

 実は勝利宣言が終わってから1時間の間にまたいろんな人にもみくちゃにされたけれど、俺を子供扱いする人は、元々の知人以外誰もいなかった。

 正直、子供扱いしてくれた方が気が楽だったりするんだけどね。



 夕飯時。

 俺たち5人で遊んでいる間に、国王様やティールさんがやってきて是非とも俺の料理をカルナ様に食べさせたいと、二人して頼んできたので俺が作る。

 国王様曰く、まだ肉があるのならゴールドローズクィーンドラゴンの肉が良いとの事。

 『ある』と、国王様に答えたら大喜びしていた。

 そういうわけだから、今日は再び、ゴールドローズクィーンドラゴンのステーキだ。



「そんじゃ、作りにいくから…みんな、楽しみにしててね?」

「はいっ! 是非ともお母様にアリムちゃんの極上のお料理を召し上がって欲しいです! 楽しみにしてます」

「ねー、本当。私、アリムちゃん以上に料理が上手な人、知らないわ」

「んふふ、そんなに褒めても伝説級のアイテムしかでないですよ? リロさん」


 

 俺が皆んなで遊ぶのを一旦やめて調理をし始めて10分後(無論ゾーンやアイテムを使ってる)無事にお料理は完成。


 すでに食堂には全員揃っていた。

 全員というのは主に国王様の血族と国の重役の皆さんである。中にはヘレルさん、エルさんも居た。

 机に料理を並べるのはメイドさんがやった。


 国王様の食事前の挨拶の後、みんな一斉にステーキから手をつける。

 一欠片の肉を口に頬張った瞬間に溢れ出る幸せそうな顔。

 誰かが、生きてて良かったと呟いたのが聞こえた。

 また、天にも昇るような心地だという人もいる。


 そんでもって肝心のカルナ様の反応は___?

 


「おっ……おっ……美味しいですっ!! これ、アリム様がつくったのですよね? 私が食べた事のある料理のなかで、1番美味しいです!」



 それに対して、国王様はこう言った。



「はっはっはっ、そうだろう? アリムは勇者である前にメフィラド 一 ……否、アナズム 一 の料理人なのだよ」



 その場にいる全員が、首を揃えて頷いた。

 ヘレルさんとエルさんなんて、涙を流してながら食べている。そんなに良かったのか。

 すると、俺の頭の中にこんなメッセージが流れてきた。



【称号「アナズム一の料理人」を入手しました】



 メッセージが認めた…てことは、本当に俺はアナズムで1番なのか…? なんだか嬉しいぞ。

 ちなみに、デザートはプリン・ア・ラモード。

 これも好評だったね。



 ご飯を食べた後は、お風呂に入る。

 勿論、俺は女湯だ。

 今回、一緒に入った人はミカ、カルアちゃんはいつも通りのこと、リロさん、ミュリさんに加え、さらにカルナ様とエルさんが加わった。

 エルさんは半ば、リロさんとミュリさんが強引に誘った感じだ。同い年らしいしね。


 …ん? 俺たち7人の胸の大きさ……?

 聞きたいの?



リロさん>カルナ様≧エルさん>>>>カルアちゃん>ミカ>>俺=ミュリさん



 と、言ったところだよ。

 まぁ、とりあえずお風呂から出てからは、しばらく遊んで、遊び疲れたら寝た。

 この間と同じように、俺が真ん中で左右にミカとカルアちゃん。

 カルナ様は国王様と一緒に寝る…らしい。

 まぁ、夫婦だし。

 見た目の年の差27歳ぐらいあるけれど。


 とにかく明日は国を挙げてのパレードだ。

 また、明日も忙しいに違いない。


 ……そろそろ腕がしびれてきた。

 どうやらミカは、3人で寝る時は俺の腕に負担をかけるのが癖のようだ。

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