第161話 四銃士の快進撃

 魔法を唱え終わった大臣さんは、バリアの外に杖を向けた。



「ランド・マーチレス、グランド・グラビティ」



 そう言って発動した。

 ランド・マーチレス……大臣さんは形を巨大な岩石型に指定していて、空中にいくつもの岩石を浮かべた。


 そして…グランド・グラビティ…。

 つまり、強力な重力魔法でそれらを悪魔らにめがけ、一気に落下させ始めた。

 それはさながら、隕石の破片のよう。


 そして、それは大臣さんの高度なコントロールのせいか、重力が増大された岩石群はベヘモットや外に飛び出した1人と3匹には一切当たらなかったようだ。


 これにより、多くの悪魔が押しつぶされる。



「んん! アリム殿、この腕輪はやはり素晴らしいですな、魔法を打つのは久方ぶりなのですが…本調子に近い威力を出せましたぞ!」



 そう、大臣さん俺の方を向いてそう言った。

 2倍してやっと本調子なのか…。

 なら、本調子なら一体どんな威力だったのだろうか。


 一方、騎士団長さんと翼竜達は外で悪魔と魔物を斬り刻んでいた。

 どうやら騎士団長さんは、剣技系SK2である『剣◯奥義』を3つ持っているみたい。


 確認した限りでは…獄 と 極 と 轟 かな?

 この3つの剣技、計15の技を、繋ぎ目がほとんどないかのようになめらかに、次々と発動していく。

 それに、剣には土属性と火属性のSランクのオーラ系スキルも纏っているようだ。


 広範囲にわたって敵は切り刻まれていた。


 国王様が呼び出した翼竜達も次々と、各々の属性に合ったブレスや爪・牙・尾の攻撃で敵を葬っていく。



「す、すごいっ…!」



 俺はそう、思わず呟いた。

 何がすごいかと問われれば、主にコンビネーションがすごいと答えるだろう。

 その場にいた若い騎士達も驚いてる者も少なくないようだ。

 もっとも、ある程度歳をとっている騎士は皆、見知っているようではあったが。


 王様はこちらに振り向いた。その顔はとてもにこやかだ。



「はっはっはっ! すごいだろう? これがワシらの力だ。ゴルド、オラフル、クリス……この3人ともも、元SSランカーだしな」



 王様はすごく嬉しそうにそう言った。

 気のせいか、見た目や言動も何歳か若返ったようにも見える。



「そうだ、アリム。何故、遠くにいる村の村長や隣国の王等を呼べたか、昨日訊いてきたな? その理由は見ての通り、ワシの空を飛べる召喚魔を呼び出し、クリスの補助魔法で素早さを強化したからじゃ」



 つまり、ジーゼフさんや隣国の王子様方はあの翼竜だとかに乗ってきたということか。

 確かに、空を飛んだら意外とかなり早くつくもんね。

 なんで馬車があんなに時間がかかるのか、わからないくらいには。

 きっと森が入り組んでるんだ。仕方ない。


 相変わらず大司教さんの援護と、ベヘモット、大臣さん、騎士団長さん、翼竜3匹による猛攻は続いている。


 今や、バリアまでたどり着けている敵は居ない。圧倒している。


 そのはずなんだけれど…。

 ただ気になるのは、どう考えても押されているのにサマイエイルが動こうとしないことと、メフィストファレスの姿がさっきから見当たらないこと。


 未だにサマイエイルは余裕の表情を浮かべているし…。

 もうすでに、敵を、北口側だけで予想だけれども、1万匹は倒したはず……なおさら、その余裕な表情が気になる。

 そもそもいくら、国王様達が強いと言っても一向に出現する敵は減らないんだ。

 無限にいるんじゃないかとも思える。


 考えたくはないけれど……本当に無限に出てくる訳じゃないよね?

 それに、国王様達があまりにもサクサク敵を倒すから気づきにくいけれど、敵の強さや平均的なランクも上がってきてる気がする。


 俺は色々と考えながらも、そんな事は一切考えてないように、縦横無尽に敵を倒していく仲間達を見ていた。



 ………そんな時、俺達を守っていた突然バリアが割れた。なんの前触れも無しに。


 はっ? なんで壊れたんだ…バリア!?

 まさか敵側に俺の作った像によるバリアを壊せるような奴が居たのか?

 ありえない。なぜだ? 伝説級だぞ?

 それも、東西南北中央全てが壊されたみたい。


 騎士達や国王様達も俺と同じように驚いてると見て取れる。

 そりゃそうだ、今まで壊れる気配もなかったバリアが突然消えたんだから。


 思わず、国王様と俺は顔を見合わせてしまった。


 そう、唖然としている間にも、敵らは領内に空から侵入してくる。

 今の一瞬で、少し隙ができたとは言え、この場所の正面は国王様達が対応してるため、ベヘモットが吸うことによって悪魔と魔物の侵入を防げていた。これは幸いと言うべきか。


 俺はすぐさまその場で、各地に配置していた全く同じものを東西南北各々に場所を指定して、直に配置しなおした。

 そうして10秒もしないうちにバリアは再び張ることができた。


 俺がバリアが割れてすぐに対応できたおかげで、魔物と悪魔は数百匹の侵入で済んだんだ。

 


 けれど、____ただ、2つほどの違和感が生じた。



 一つ、現在入り込んだ魔物の中にAランク、下手したらSランクもかなり混じってること。

 つまり、今までは徐々に魔物を強くしてったけれど、相手はバリアが壊れたのをチャンスとみなし、強い魔物を送り込んできたんだね。


 俺達、北方面は正面で元バリア外で空にいる魔物以外はほとんど倒せたから良いけれど、それ以外の方面にはそんな高ランクの魔物が入ってきちゃったみたい。


 まぁ、それはそんなに大きな問題ではない。他の方面でもSSランカーやSランカーは満遍なく居るため、問題はないと思う。俺の腕輪の効果もあるしね。


 もう一つは……他の悪魔・魔物とは明らかに違う大きな力が4つ、バリア内に確認できたこと。

 おそらく、その高ランクの魔物と一緒に敵の幹部であろう悪魔の4体の侵入を許しちゃったみたいなんだ。

 東西南北に1体ずつだね。



 ……俺達のもとには、燃え盛る巨大な戦車に乗った悪魔が一体、現れた。

 その悪魔は身長5メートルほどもあるだろう巨大で、目を鋭く光らせ、こちらを睨んできている。

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