第158話 迫り来る邪悪
俺は起きた。
トズマホを確認すると、午前5時30分。
未だ、悪魔共は来ていない。
結局、4時間半しか眠れなかった。
緊張によって浅い眠りだったからかもしれない。
俺は簡易寝床から出て周りを確認した。
どうやら、現在仮眠を取っている人はこの北口だけでおおよそ4分の1程度の人数だ。
俺は近くに立っていた騎士団長さんに声をかけた。
どうやら騎士団長さんは、俺とミカのお守りをしてくれていたみたい。
「…騎士団長さん、今、起きました。その…ボクとミカの見張り、ありがとうございます」
「あぁ…アリム。おはよう。まだ悪魔の奴らは来ていないぞ」
「はい…そのようですね」
俺はふと、瞑想をしているミカを見た。
なんというか、魔力が渦巻いてるというか、凄いことになっていた。
この世界の人々はMPや魔力を、まるでそれ専用の感覚があるかのように、感知することができる。
無論、俺とミカもできる。
今のミカから感じ取れる魔力量は、半端なものじゃなく、この状態で魔法を放てばすさまじい威力を発揮することぐらい一目でわかる。
良かった、ミカの瞑想はちゃんと成功しているみたいだ。
あと1時間半もあればミカの瞑想も終わるだろうしね。
俺は少し小腹が空いたから、具材が多めのスープをつくることにした。
流石に1万5000人に食べさせることは無理だけど、ミカや俺、国王様達を守るように囲っているメフィラド国直属の騎士団の人達くらいには、差し入れをしよう。
てなわけで、マジックルームの中で瞬く間にスープを作った。
因みに、スープの汁はマスターポーションに味を無くしたやつを使ってる。
肉は…チャイルドラゴンの肉に、チャゲマロの青タン。
野菜はキャベツや玉ねぎメイン。
早速、騎士団の人達に配ってみると、中々に喜ばれた。良かった。
まぁ、流石に騎士団と言うべきか、アリムちゃんを愛でる会 の会員達と比べるのはおこがましいくらい、皆、上品というか…よくファンタジーの小説とかで見かけるような性格通りの人達だ。
日本で言う武士。
まぁ、その騎士団のうち3割は一回は話をしたことがある人達なんだけどね。
無論、スープは国王様、大臣さん、騎士団さん、大司教さんにも配る。
大司教さんに関しては、宗教上の禁食肉とかを懸念したけれど、そんなの無いみたい。
普通に受け取って食べてくれた。
最近、季節は秋に入ったばかりで少し肌寒くなってきたところ。
スープの差し入れは中々に公表だった。
さて、ある程度の暇つぶしもし終わった。
実はまだ起きてから20分しか経ってない。
まだ…来そうな気配はないなぁ…どうしよう?
俺はあまりにも暇だったため、"所有者が死んだら一回だけ自動的に生き返る"という効果のある足にはめる装飾品を作って装備した。
これは便利かもしれない。
因みに、足にはめる装飾品のことをアンクレットって言うらしい。
知らなかった。
そんなことしているうちに、6時になった。
トズマホで確認した時は6時2分だったんだけれど、俺は一つ、考えた。
もしかして、6時6分6秒になったら来るとかじゃないよね?
まさかね……地球のギリシャ神話……黙示録をこの世界の悪魔が模してくるわけないじゃん…。
いや、確かにさ、幹部達の名前はどっかで聞いたことあるような名前ばかりだよ?
まさかねぇ…。
そう考えつつも、俺はトズマホを見た。
トズマホは6時5分48秒を指している。
そして、6時6分6秒になったその時、突然、空一面が黒色の雲に覆われはじめた。
俺は思考を張り巡らせている最中に、何かの力を察知した。そして武器を構える。
それは皆も同じのようだ。
ミカとバッカスさんが戦ってた悪魔や、メフィストファレスとはまた違う……大きな力。
その力を感じる方を見てみると、何やら、背中から黒虹色に輝く羽が出ている女の人……いや、地球での俺やミカと同い年くらいの少女が、メフィストファレスであろう者、その他に3匹の悪魔と一緒に近づいてくる。
その少女の片手にはドロップロットが握られている。
「ま……カルナっ……」
国王様が、そう呟いたのが聞こえた。
ということは、あの少女は、国王様の妃様。
現、サマイエイル……か。
メフィストファレスは広角を上げて喋りだした。
「はーーーい! 皆さんお待ちかね! 悪魔と人間の戦争の始まりでぇーーす!」
その声とと共に、メフィストファレスを除く3体の悪魔は方々に散る。
さらに天空からは巨大な戦車に乗っている大悪魔も出現した。
それと同時に……この場……いや、この空間って言っほうがいいかな?
四方八方、何も無いはずの場所から悪魔や魔物が忽然と姿を現した。
まさか、出現時間が予想通りになるとは思わなかった。
……相手方に元地球人とか居る訳じゃないよね? ここまでくると、そうとしか考えられないんだけどなぁ。
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