第130話 救出作戦

 俺はフルスピードでヘルの森へとやって来た。

 道中にダークマーターで『アイテム探索機』なる、伝説級異常の道具の在り処がわかる装置を作り、カルアちゃんに渡した道具の効果の詳細を指定し、その在り処を示させているところだ。

 その場所はやはりヘルの森を指している。

 確かに指してはいるのだが、詳しい場所まではわからないみたいだ。


 ヘルの森の入り付近口にて、俺はトズマホであの悪魔から引き出した情報通りの木を探す。


 俺の道具は優秀だ。

 アイテムを駆使することにより、すぐに該当する場所が見つかった。


 その何かの入り口のように入り組んだ数本よ木の目の前まで行き、そこでミカとバッカスさんをマジックルームからだした。



「ミカ、バッカスさん、ここです」

「うん…そのようだね。流石はアリムちゃんだ」

「アリム、はやく突撃しようよ」



 だが、いきなり突入して返り討ちに……なることはないとは思うが、念のためだ。

 きちんと、準備をしておかなければ。



「うん、その前にミカ、バッカスさんにポーションを渡しておくね」



 そう言って俺はレジェンドポーション3本、アムリタ2本をそれぞれに渡した。



「アリムちゃん? これって…ポーション?」

「そうです。初めて見るかもしれませんが、グレートポーションより2~3段階上のポーション達です」

「こんなに使わないとは思うけど…まぁ、受け取っておくわね」



 そして、さらに俺は影に潜れる国宝級のアイテムの腕輪を3つ作り、それぞれ装備させる。

 ステータス上昇効果、敵の攻撃を和らげる効果、影に潜り込めるようになる効果を持っている。



「じゃあ、行こうか」

「うん……姫様を救わなきゃ」

「カルアちゃん……待っててね」



 俺らは、木の影に向かって一歩ずつ踏みしめて進んだ。




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 中に入ってみて驚かされた。確かに何者かが住んでいた形跡がある。

 しかし、俺が思っていたのと違って狭すぎる。幹部8人が暮らせてやっとといったところか?

 

 だとしたらあの悪魔の言っていた通り、幹部8体だけが普段はここで寝泊まりして、俺が捉えたような悪魔は別の場所にいるか、捨て駒として簡単に生み出せるか…だな。


 この拠地全体を見て回ったが……悪魔が一体も居ないってどういうことだ?

 8体しか居なかったとしても、普通はもう少しだな…。


 …いや、まさか。あの悪魔が上司の悪魔にココが本拠地だと教育されていて、自白した際に本当の場所を吐かないようにするとか……ありえるな。

 俺はそのことを二人に伝えてみることにした。



「もしかしたら、あの自白、間違ってたかもしれないです」

「ん? どういうことだい? アリムちゃん」

「ボクの自白剤は絶対に自白させるんですが……仮にその自白した悪魔自体が、間違った場所を"本拠地"として認識してたら…?」

「あ……確かにあり得るかも…」



 ミカとバッカスさんは、納得をした表情をした。

 だとしたらどうしたらいい? 希望が途絶えて……ないな。まだだ。

 

 ダークマターで作ったあのアイテム探索機は即興で作ったから、実は宝級なんだ。


 仮に国宝級以上の物や結界、バリアー等で本当の場所をカモフラージュしてたらと考えると、なるほど、詳しい場所が見つからないわけだ。


 そうであるならば、神具級のアイテム探索機を作ればいい。



「二人とも、いまからアイテム駆使して色々するから、少し待っててね」

「うん……わかった」

「まかせるよ」



 俺はダークマターで大量のSを上げる装飾品を作り装備する。制作スピードを上げるためだ。


 そして俺はダークマターのオリハルコンとAランクの魔核20個を使い、『アイテム探索機・超改』を作り上げた。これで良いはずだ。



「できました、この道具を使って再度、カルアちゃんを探します」

「早いね……早速使ってみてよ」



 俺は探索機のスイッチをオンにする。

 すると、画面に赤い点が表示された。場所は……ここの真下だ。




「ここの……真下です……」

「え、でも下は床だし…」

「おそらく、隠し部屋的なものが……」



 俺はそう言って、ここいらの床を調べたが、何もない。なにか必要な道具があるのだろうか?


 俺は、床を鑑定してみだが、特に特別なことはなかった。

 ただ、この床も全て影でできているということがわかっただけだ。

 いや、ということは、もう一回、この床に向かって入り込めばいいことになる。

 壊す手間が省けた。



「ミカ、バッカスさん、この下に行く方法がわかりました。もう一度、この床を"影として"、ボクの腕輪の効果で入り込めばいいんです」

「……わかった。やってみよう。まずはぼくから行くよ」



 そう言って、まずはバッカスさんが、床の中にズブズブと入り込んでいく。

 俺とミカは念のために手をつないで、床の中にバッカスさんを追って入った。



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 影の床から出た途端、目の前に広がる、かなり広めの空間……この床の上より圧倒的に広い。

 ここが、本当に隠したかった場所で間違いないだろうね。


 東京ドームの中ぐらいの広さはあるんじゃないだろうか。東京ドームなんてテレビでしか見たことないけど。


 ふと、邪悪な気配がしたから、その気配がした方を見てみる。

 そこには、二匹、何かが居た。


 一方がの三つの首を持つ男が何かを殴りつけていて、もう一体の、女か男かよくわからない者が蛇と戯れていた。

 どうみたって悪魔だ。


 場所的に、殴られているのはカルアちゃんのようだ。どうやら大守護がうまく働いてるみたいで、三頭の男は悔しそうにしている。


 

 ____あ、蛇と戯れてる者と目が合った。



「…………………っ………だ……」



 だめだ、口になんか巻いていてさっぱり声が聞こえない。

 だが、三頭の男は聴こえていたのか、殴るのをやめこちらを振り返る。



「なに? ここに人間が侵入してきただとぉぉ!? そりゃあすげぇ……って、あれ、目的の一人の、"赤髪の少女"ってやつじゃねえか?」



 なにやら向こうは俺のことを知っているし、狙ってもいるみたいだ。そして次にこう言った。



「まぁ、いい。とりあえず、女が……2人か。おい、アスタロード。お前はあの憎たらしい顔のいけ好かない男を殺れ。俺はあの可愛らしいガキども"で"遊んでくる」

「…………な………ど」



 向こうがヤル気ならこちらも応戦しなければ。

 そう考えた時、二人がこう言った。



「あの怪物は私とアリムと戦いたがってるみたいだから、私が相手するわ。アリムはカルアちゃんを救出して」

「うん…ボクはあの、蛇の人を相手するよ」



 なるほど、2人があの2体を引きつけてる間に、俺がカルアちゃんを救出するということか。



「わかった。くれぐれも無理をしないでね」

「「大丈夫」」



 俺は二人に悪魔をまかせ、カルアちゃんの元に向かった。

 

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