第116話 動き出す闇
ここは闇にまみれた場所。そこには人間でも魔物でもない者がいた。
彼らは悪魔。悪魔神サマイエルの復活を夢見て策謀する者達。
道化のような悪魔…メフィストファレスはほくそ笑んでいた。
彼は策士だ。自分の作戦がうまくいくことが喜びである。
メフィストファレスは思う。
欲多き人間を使い、生贄に使うメフィラド王国の姫カルア、そして魔神復活の道具を作成できる、赤髪の少女アリムを攫ってくる作戦は失敗してしまった。
その時はつい、その人間を苦痛を与えた末に殺してしまったが別に問題は無い。
人間達の間でも大問題となる程の騒ぎにはならなかったようだ。
作戦がうまくいかなかった事以外では、彼は然程慌てていない。
なぜなら、サマイエルが勇者に封印されてから300年も待ったのだ。アリムという少女が出現するのを……。
悪魔にとっては然程長い年でもないが。
その間にいくつも策は立ててある。次の作戦はうまくいきそうなのだ。
自然と笑みが出るのも仕方がないとも言える。
「アモンさん、作戦の日のメフィラド城内の兵量を予測してくださいねぇ」
彼は半フクロウ半人のような見た目の魔物、アモンにそう言った。
彼は強くはないが、悪魔間の要職に着いている。なにしろ彼がアリムの登上を予測したのだ。
彼の能力、サマイエルの復活には必要不可欠だと言っても過言ではない。
「ふむ、わかりましたぞ」
そう言って彼は目を閉じ静かに呼吸をした。
しばらくして、一枚の紙が渡された。そこには兵の配置が完璧にかいてあった。
「ありがとうございます、アモンさん」
この紙をみて、作戦が成功することを確信した。余裕だとすら考えた。
あの時は、送り込んだサンダーバードと戦闘中だったアリムがファウストに気づいたから失敗した。
一度に攫うのは無理だった。
……ならば別々に攫えばいいのだ。
行動を起こすのは一週間後。4日後に姫を攫う。そのさらに2日後、今度はアリム・ナリウェイをさらう。
国から、少女が二人も消えた時、王はどのような表情をするのだろうか?
目の前で友達のカルア姫が無残に生贄にされる時、赤髪の少女はどのような反応をするのだろうか?
人間共どのようにおどってくれるのだろうか……?
「ほんとぉーに、楽しみですねぇ……くひひひうはははひひひひひゃーっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!……………………………ハァ」
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