第115話 デート



 おはよう。

 今日はデートの日。


 ミカは俺より少し先に起きたみたいで、朝食を作ってくれていた。

 ご飯と味噌汁と焼き魚、それと焼き海苔だ。


 ミカはこっちを振り向いた。俺が起きたことに気がついたみたいだ。



「おはよう! アリム、朝御飯できたよ!」

「おはよう。今日は一日、有夢のままでいるよ」

「そうなの。で………デートでしょ? 今日…どこ行く?」



 少しモジモジしてるのが可愛い。二人で出かけるなんて何十回としてきたことなんだけど、改めてデートだと考えると……なんか照れる。



「そうだね…劇でも観に行こうか?」

「うーんと……でも、私、お散歩する気分かなぁ~…」

「じゃあ、[トズマホ]でお花がたっくさん咲いてるところでも検索して、そこ歩こっか」

「うん! そうするっ。あ、お弁当もってこう?」

「そうだね。おにぎりと卵焼きと…唐揚げと…」



 俺らはそんな話をしながら朝食を食べる。こんな幸せな時間がいつまでも続けばいいのに。

 まぁ、俺らこの世界ではかなり強いし、ちょっとやそっとじゃ引き離させるような事はないんだけどね。


 俺はダークマターで男らしい服を、ミカは俺が作ってあげた服のなかで一番お気に入りのモノを着た。

 


「ミカ、可愛いよ」

「バッ……そんなこと言っても、なにもでないわよ」



 照れてる。可愛い。今日一日は俺も完全に男だ。

 ミカが楽しめるようにエスコートしなきゃね。


 俺らは見た目12歳だし、周りからは子供が戯れてるようにしか見えないんだろうけど、中身は17だから、そこんところちゃんとしないと。


 二人でお弁当を作った。大体0.6秒くらいで作り終わったし、果物も沢山入れた。



「じゃあミカ、そろそろ行こうか。どうする? 歩いて行く?」

「そこのお花畑、歩いて行ける距離なの?」

「王都の西口から休まず馬車で6日」

「私達では?」

「本気の半分も出さなくても、10分はかかんないくらい」

「じゃあ歩いて行こうよ。30分くらいかけて」



 俺らは、誰かに見つかるのを避けるため、透明になって西口まで行き、そこからトズマホの言う通りにに歩いた。


 周りからみたら俺らは目に見えないような速さで動いてるけどね。


 俺の隣にはミカが居て、手を握りあっている。手を握るなんて、幼馴染だったころでも何百回としてるけど、彼氏と彼女となった今では特別な感じがする。

 特に中学に上がってから今まで、小学生の時ほど手は握らなかったから。


 30分してお花畑についた。確かにすごい。誰もいない、いい場所だ。

 魔物が居なければ。


 俺はミカにこう頼んだ。



「ねぇ、ミカ、ここら辺一帯に『太陽と月の弓帝咆』できる?」



『まかせて!』とミカは言い、ここら辺一帯は魔法陣で包まれた。

 次の瞬間、凄まじい大爆発が起こる。


 爆発が晴れた頃には花も俺らも無傷で残り、虫や植物の魔物は消え去っていた。

 お俺はミカに言う。



「すごい! これがミカの力か…」

「有夢が合成してくれたんじゃん!」

「あ、そうだったね」



 俺らはお昼まで楽しく過ごした。近くの木にブランコを作ってぶら下げて遊んだり、沢山お喋りしたり、これ以上は恥ずかしい……まぁ、とにかく色々した。うん。



 そうこうしてお昼ご飯の時間になる。

 俺らはシートを地面に広げ、そこにお弁当を並べて二人で一緒に食べた。



「あ……有夢…あ、アーーン」

「あーん………うん! 美味しい! はい、ミカも、あーん」

「あ、アーン……美味し」



 とまぁ、こんな感じで。夕方まではここで遊んだかな。


 午後5時くらい。夕飯をどうするか決めてなかった。

 俺はミカに、『少し奮発して一番高いレストランに行こうか』と言った。

 するとミカはこういった。



「あれ…有夢って無駄使いしないんじゃなかったの? 私たちで作ったほうが美味しいし、安上がりじゃない?」



 俺はこう返す。



「無駄じゃないと考えたからだよ。ミカ…俺にとってミカが……その……一番大切だから。少しでも雰囲気があるお店の方がいいかなぁ…って」



 ミカは少し泣いている。笑いながら泣いている。



「どこか痛かったの?」

「ううん……違うの……とっても嬉しくって……その…だからっ!」



 俺の唇にミカの唇が合わさった。


____

__

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「えへへへ。昨日は有夢からだったし…今日は私から……ね?……えっと、それに昨日は"アリムだった"しね…」

「う、うん」


 

 俺、明日死ぬんじゃないかしらん? 

 俺らはその後もしばらく見つめあったが、もう少しで暗くなることもあり、手を繋いで、10分程で王都に帰った。


 そして超高級レストランの戸を叩く。中から、地球と同じようなレストランの制服を着た男の人が1人でて来た。


 こいつ、最初は『ここは子供のくる場所では……』なんて言ってたけど、俺の顔を良く見たからか、態度が急変した。



「も、申し訳御座いません…アリム・ナリウェイ様。な、何名様でしょうか?」

「2人で…えっと、一番景色がいい席がいいな」

「かしこまりました」



 俺とミカはこの世界でトップレベルの大ガラス窓席に座らせてもらった。

 まぁ、トップレベルっていっても、地球のガラスには劣るんだけどね。


 ミカはすごく嬉しそうにしている。俺も嬉しい。

 この世界にきて、こんな幸せを得られるなんて思ってもみなかったから。


 しばらくして、俺らが頼んだ料理が運ばれてくる。どれも、美味しかったけど、俺には劣る味だった。

 ミカはその綺麗な瞳を輝かせながらこう言った。



「今日はありがと、有夢。私、とっても楽しかった……」

「俺もだよ。ミカ」

「ねぇ、覚えてる? 私達が再開した日、私の夢を」

「お、覚えてるって。俺の嫁になるんだろ…?」「うん。ねぇ、この世界の結婚できる年齢って17からじゃない。成人は18から。18になったらさ……私たち……」

「うん、そうしよっか。その時は俺からプロポーズさせてよ」

「わかった。最高のプロポーズにしてよね!」



 食事を食べ終わった俺らは、料金を支払って店を出た。

 高かったよ、確かに。1人4500ベルしたもの。でも得られたものの方が多かったから。



 宿に帰った俺らは、別々に風呂に入り、俺がチョコレートパフェをダークマターで作り、食べた後に一緒に寝た。

 今日一日は有夢のままで。

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