あいうえお作文

榊原side



今、部室にいます。

でも、みんなの会話がありません……

なぜなら、ムードメーカーの戸田さんと、積極的に話してくれる副部長が委員会でいないからです。

すごく話しかけにくいです。

すると、流石に気まずかったのか、部長が言う。


「なあ……あいうえお作文でもやるか?」

「いいですけど」


そして、お題を言う。


「あ・う・しで作ってくれ」


十分後。

全員作り終わった。


「じゃあ、榊原から」


あ:赤

う:薄紅

し:朱色


「赤の種類か。でも、なんか普通だな」

「次、レイラ」


スルーされた……


あ:鮎

う:ウナギ

し:シシャモ


「今度は、魚の名前か」

「ウナギ、食べたい……」

「阿久津さんのおごりで出前を取ればいいんじゃないですか?」

「それだけはやめてくれ」

「次は、俺ですね」

「和泉、面白いのを頼む」


あ:あなたも

う:うれしい

し:就職決定


「現実的すぎる!」

「確かにうれしいけど……」

「いや……何故か、これが思い浮かんできて……」

「次、誰だ?」

「俺です」


霧島君だった。

なんか、嫌な予感がする……


あ:阿久津

う:ウザい

し:死ね


やっぱり!


「洋!あいうえお作文まで俺の悪口か!」


すごい偶然ですね……

霧島君は、部長の心が読めるのかな?

部長、本気でショックを受けています。


「次、私がやりたいです!」

「ユイラ、明るいのを頼む!」


あ:明日は

う:ウキウキ

し:シュウマイパーティー


「なんでシュウマイなんだ?」

「明日、本当にあるからです!」

「どこだ?」

「マコちゃんの家です!」

「戸田が作るのか?」

「はい!でも、私とレイラも一緒に作ります!」

「作ります……」

「絶対に行きたくない……」

「命の危険を感じます」

「最後はリョウだな」

「あれ、阿久津先輩は、作らなかったんですか?」

「ああ、俺は、審査員だからな!」

「ただ面倒だったからですね」


霧島君が部長に吐き捨てるように言う。

部長は、ギクッとした。

本当だったようだ……

風間君が発表する。


あ:あなたの

う:後ろに

し:死神がいる


部長を指さして言った……


「リョウ、怖い!」

「生々しいですね」

「風間君が言うと本気に聞こえる」

「本当ですよ……」


部長が後ろを見た。

すると、死神の鎌を持った人がいた。


「うわーっ!」

「なんで驚くんですか。俺ですよ」


霧島君だった。


「洋が死神か。いつの間に着替えたんだ?」

「今、持ってきました」

「瞬間移動みたいだな……」


すると、戸田さんと副部長が戻ってきた。


「ただいまー!」

「何してたの?」

「あいうえお作文だ」

「どんな感じだった?」

「酷かった……」


そして、作文を見せると、二人とも笑った。

それを見て、いつもの雰囲気に戻った。

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