風間side



どうしよう……今、ピンチです。

学校の中に何故か落とし穴があって、落ちてしまいました。

というか、深い……

何メートルあるんだろう……?

ジャンプしても、とても届きそうにない。

誰かの、助けを待たないと……

僕は、穴の中で考えていた。

そもそも誰がこんな落とし穴を作ったのか?

この深さまで掘ったということは、のぼるためにはしごを使ったんだと思う。

小さい子がそこまで手の込んだことをするはずがない。

じゃあ、学校内の人かな?

すると、誰かの声が聞こえた。

戸田さんだ。


「戸田さん、助けてください」

「え?リョウ君、どうしたの」

「落とし穴に落ちました」

「待っててね!すぐに助けるから!」


戸田さんは、どこかに行ってしまった。

しばらくして、戸田さんと一緒に日常生活部の全員が来た。

代永先生は、いなかった。


「リョウ、大丈夫か?」

「何とか」

「けがは、ないか?」

「大丈夫です」

「戸田、ロープは持ってきたな」

「はい!」


そのロープを見て、全員の顔色が変わった。


「戸田……?それ、ただの靴紐じゃないか?」

「はい。これしかなかったので」

「こんな短いのでどうやってリョウを引き上げるんだ!」

「流石にきついですね……」

「どうしよう……」

「こういう時は、素直に先生を呼んだほうがいいんじゃない?」

「それもそうだな」


そして、部長が先生を呼びに行く。

しばらくすると、代永先生が来た。


「風間君、ちゃんとロープ持ってきたから」


そして、ロープの先を僕のほうに落とした。

僕は、ロープを掴んだ。


「いくよ!」


代永先生がロープを引いた。

すると……


「うわあっ!」


代永先生が転んで、穴の中に落ちてしまった。


「おい、地味教師!本当に馬鹿だな!」


洋が代永先生に言う。


「だって……僕、運動神経悪いんだもん!」

「もんじゃないですよ!どうやって助けるんですか!ロープも、もうないですし」


和泉さんが突っ込む。

すると、洋が何かを見つけて、持ってきた。


「はしごが倉庫の裏にありました」

「なんでわかったんだ?」

「持ち方が悪かったんだと思います。引きずった跡が少しありました」


そして、僕と代永先生は、無事に穴から出られた。


「本当に、穴を掘った犯人は誰だ?」

「まさか……リョウ君をピンポイントに狙ったんじゃないですか?」

「確かに……この道は、人通りが少なくて、リョウしか通らない。今思うと、戸田が発見したのは奇跡だな」

「このはしご、園芸部と文字が書いてあります」

「園芸部の道具は、倉庫にしまって鍵をかけているんだよな?ということは、園芸部か」

「この間の水鉄砲大会で、妨害みたいなことをしましたからね」


すると、代永先生が言った。


「乗り込みましょう!」

「流石にやりすぎだろ」

「でも、このままだと、また同じことが繰り返されます!」

「それもそうだな……」

「俺がやります」

「洋……!」

「だって、阿久津さんに貸しを作っておけば、後で何か脅す時に使えるので」

「やっぱり、洋はある意味すごい……」

「リョウ、感心するな。あれは、真似してはいけない姿だ」

「なんで……?仲間を大切にするのは、いいことでしょ?」

「リョウ、よく言った」


そして、園芸部の部室で、乱闘騒ぎがあったらしい。

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