やっと登場

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僕は、代永春樹(よながはるき)です。

日常生活部の顧問をやっています。

はっきり言って、ほとんど部活を見ていません。

そこで、今日は、見学してみます。

さっそく、部室に向かう。

あれは、阿久津君……だよね?


「阿久津君、僕のこと誰かわかる?」

「ただの地味な先生にしか見えません」

「そうか……実は、僕が日常生活部の顧問なんだよ」

「おーい。怪しいやつが来た!」


阿久津君は、仲間を呼んだ。

部室から、全員出てきた。

すると、和泉君が言う。


「代永先生ですよ。ほら、この間の水鉄砲大会で司会をやっていた……」

「そうです!わかりましたか!うれしいです。いつも、地味だと言われてばかりだったので……」


僕は、泣き出す。


「すみません、気が付いてあげられなくて」


和泉君、優しい!


「とにかく、部室でお茶でも飲みます?」


東野さんが手招きをする。

遠慮なく部室に入った。

部室の中は、意外と綺麗だった。

しかし、よくわからないものがいくつも置いてあった。

何故か、アルバムがある。

あれは、阿久津君の写真かな?

ものすごく気になる……!

少しだけ開けてみた。

しかし、すぐに閉じた。

これ、本人に言ってもいいのかな?

全部の写真がピンボケしている。

しかも、なにが映っていたのか判別できないくらいだ。

でも、使えそう……


「阿久津君、その写真のデータもらっていい?」

「別に、好きにどうぞ」


写真のデータをもらった。

このデータは、趣味に使う。

東野さんが、テーブルに、アールグレイティーを置く。

僕は、一口飲む。


「これ、高そうな味ですね……」

「いえ、普通のスーパーで買ってきました」


うわ……

僕、そこまで子ども舌だったなんて……

なんだか恥ずかしくなった。

とりあえず、話題を変えようとする。


「戸田さんは、ピアノが上手なんだよね?今度演奏してくれないかな?」

「いいですけど。どんなのがいいですか?」

「じゃあ、クラシックで」

「了解です!」

「和泉君は、家事が得意なんだよね?こんど、ミシンの使い方、教えてください!」

「ええ、もちろんいいですよ」

「ありがとう」

「ユイラちゃんとレイラちゃんは、何の料理を作っているの?」

「よくわからないものかな」


その料理を見た。


「うん……これは、確かによくわからないね……」


その料理は、とにかくまずそうだった。


「食べてみます?」

「試食……」

「遠慮せずにどうぞ」


ユイラちゃんが僕の口に料理を突っ込む。


「…………!」


僕は、苦しくなり、トイレに直行した。

しばらくして、みんなの所に戻ってみた。

すると、部員でゲームをして遊んでいた。


「なんで、僕がキャラクターなの!」

「新作です。地味人間シューティングです」

「これ、誰かに似ているね。誰だろう?」

「でも、すごく面白いよ!」


僕のような地味な人がやられてうれしいでしょうね……

この部活は、危険。

そう思った。

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