バンジージャンプ

ユイラside



私は、天音ユイラ。

双子の姉です。

元気なことが取り柄です。

でも、妹のレイラはちょっと冷たいです……

それより、今、ピンチです!

私は、日常生活部のみんなと遊園地に行きました。

とても楽しかったです。

ジェットコースターに乗ったり、お化け屋敷に入ったり、いろいろやりました。

でも、楽しかったのは、そこまででした……

きっかけは、阿久津先輩の一言。


「バンジーやるか?」


すると、洋君が賛成した。


「いいですね。阿久津さんのくせに、いいこと言いますね」

「今、俺を馬鹿にしたのか!」

「はい。いつものことですよ」

「くそーっ!」


阿久津先輩は、悔しそうな顔をする。

すると、マコちゃんが言う。


「じゃあ、全員でバンジーをやって、一番リアクションが良かった人は、悪かった人にアイスをおごってもらうとか」

「いいな。そうするか」


私以外の全員は納得した。

アイスのことしか考えていないのだろう。

確かに、今日は暑いです。

アイスが食べたくなるのは、わかります。

でも、私は嫌です。

なぜなら……

高い所から落ちるのが苦手だからです!

ジェットコースターなど、しっかり体が固定されているものは、平気ですがバンジーだけは違います。

ロープで、しかも、足しか固定されないのですごく怖いです。

十歳の時、初めてバンジーをやった時は、散々でした。

そんな、大嫌いなバンジーをたかがアイス一つのために!

冗談じゃないです!


「あの……私、アイスはいらないのでやりません……」

「どうした、ユイラ?具合でも悪いのか?いつもの元気がないな」


自分のせいだと気付いてください!

阿久津先輩、肝心な所で鈍いので。

そして、バンジー大会が始まった。

最初は、一君だった。

一君は、意外と平気そうにしていた。

そして、台から落ちる。

一君のリアクションは、平均的なものだった。

次に、阿久津先輩、東野先輩、リョウ君、洋君、レイラと続いた。

しかし、みんな普通に怖がるだけだった。

なんでみんな平気なの!

そして、アイデアをだしたマコちゃんの番になった。

すると、突然怖がり始めた。

言い始めたのはマコちゃんなのに……

そして、落ちる。


「いやーっ!」


ものすごいリアクションだった。

バンジー一つで、ここまでできるかと言いたくなるものだった。

天才的だった。

その次は和泉君だった。

落ちる時、何かを取り出した。

そして、落ちている時何かをしていた。


「和泉は、なにをしているんだ?」

「せっせと手を動かしていますね」


阿久津先輩は、どこからか双眼鏡を取り出す。

そして、和泉君を見る。


「和泉、バンジーしながら裁縫している……!」

「危なくないですか?」

「あ、係員に注意された」

「作っているのは……エプロンですね」

「わざとやったのか?」


そして、阿久津先輩は大声で和泉君に言う。


「おーい!和泉!無理しなくていいぞ!」

「え?なんですか?」


と和泉君が口を動かしていた。

確かに、阿久津先輩、叫んでいる割に、あまり声出ていませんね……

そして、とうとう私の番だ……!

わたしは、ガタガタと震えている。

すると、東野先輩が私の様子に気付いたようだった。


「ねえ、阿久津君。やっぱりユイラちゃん具合悪いんじゃない?」

「まあ、確かに……レイラは、心当たりあるか?」

「そういえば……ユイラは、バンジーで気絶したことがありました」

「それを早く言え!ユイラ、どうして我慢していたんだ?」

「なんか、言いにくくて……」

「大丈夫よ。そこまでして、ユイラちゃんに無理させたくない。だって、私たち、友達でしょ?」

「ありがとう……!東野先輩!」


そして、私はバンジーをやらなかった。


「これから、一位とビリを決める。まず一位は誰だ?」

「やっぱり、和泉君か真実ちゃんだと思う」

「確かに。あの二人、いい勝負でしたね」

「そうか……じゃあ、投票で決める」


そして、阿久津先輩お手製の投票箱で決めた。


「結果は……一票差で和泉が一位だ」

「流石に、あそこまでやるとね……」

「そんなにアイスが欲しかったのか?」

「はい。今日、水を忘れてしまって……買う暇がなかったので」

「そうか……じゃあ、ビリは誰にする?」

「そうですね。阿久津さんとか」

「なんでだ?東野とか、普通だっただろ」

「最低ですね。女性に押し付けるなんて。東野さんのリアクションは、見ていて飽きないですよ。綺麗ですし。美しさの点で一位だと思います」

「洋……東野のことは褒めるんだな……」

「もちろんです。阿久津のようなやつのリアクション、見ていてもまったく面白くないので」

「やっぱり、呼び捨てなんだな!」


そして、阿久津先輩は、和泉君に、バニラバーをおごっていた。

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