第87話 海戦 12


    ◆





 カズマを乗せたジャスティスの動きは俊敏だった。

 まず海辺に入ると、近くのジャスティスを切り捨てる。

 あまりにも早い動作だったのか、そのジャスティスはなすすべもなく崩れ去る。

 そこでようやく相手も本気になったのだろう、カズマが乗っているジャスティスのことを敵とみなして攻撃を仕掛けてくる。

 しかし、ジャスティス相手に普通の銃弾は効かない。


「はあああああぁぁぁっ!」


 カズマの乗ったジャスティスは近くのジャスティスに飛び乗ると、素早くその足元を一閃する。

 そして崩壊する前に今度は違うジャスティスに乗る。

 それを繰り返し、途中の艦上のジャスティスの群れも蹴散らし、どんどんと中心部へと快進撃を進めていく。

 初めて乗ったにも関わらず、まるで自分の手足のような――むしろ生身の自分よりも軽快に動くことが出来る。

 これがジャスティスの力か。

 ――などと感慨深く思っている暇などなく。


「邪魔だあああああああああああぁぁぁぁっ!」


 カズマは叫びながらも、冷静に処理していく。

 目指す場所はもう検討を付けている。

 斬り進めていくうちに見えてきた。

 中央部に、一際大きな戦艦があった。

 その艦上に立つ、一つだけ他のジャスティスとは大きく異なった立派なジャスティス。

 どう見てもあれは、敵大将のモノだろう。

 ――見つけた。

 カズマの視界の先には、そのジャスティスしか見えていなかった。

 彼は一直線に、最短コースでそのジャスティスに向かっていく。

 絶対、そこにいるのは――


「ブラッドォォォォォォッ!」


 咆哮しながら、カズマは阻んでくる敵を薙ぎ倒す。

 その勢いは留まることなく、みるみる間にその距離を詰めていく。

 一対多数。

 押しているのはカズマの方に見えた。

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