海戦

第76話 海戦 01

    ◆





『正義の破壊者』


 クロードをリーダーに据えた、反ルード軍組織。

 正確に言うと――『反ジャスティス組織』。

 各国を回り、ジャスティスを破壊しつくしている。

 結果は、全勝。

 各国のジャスティスを根絶やしにしている。

 その名声は他の国にも届いている。


 魔王 クロード。

 サムライ ライトウ。


 この二人の名はどの国でも知らない人間がいない程に有名になった。

 クロードは元々あったが、その参謀のライトウもじわじわと噂を伸ばしていき、この二人がジャスティスを破壊する映像は今や動画サイトで再生数を稼いでいた。

 当然、それを意図的に広めたのはミューズなのだが。

 そして『正義の破壊者』は支持層を増やしていった。

 彼らの目的は『ジャスティスの殲滅』。

 邪魔する人間も排除しているが、邪魔さえしなければ一般市民に攻撃はしない。

 その姿勢が全くブレていないことから、反抗勢力は勿論、ルード国内の人々にすら反ジャスティス派を増やしていた。

 彼らの思想は瞬く間に賛同者を増やし、次第にジャスティスに恨みを持つ者をどんどん吸収して行った。

『正義の破壊者』に属するには簡単なこと。

 ジャスティスに関してのみ恨みを持つ者。

 それ以外について、恨みを持たないモノ。

 それさえ守ることを誓って、五人と同じ様に赤い液体を飲み干せば、戦闘力があろうがなかろうが関係なく『正義の破壊者』に属することが出来た。

 その簡単な色々な思惑の者が『正義の破壊者』に属しようとした。


 ルード国を潰すためだけに属そうとした者。

『正義の破壊者』の名の下で犯罪行為をしようとした者。

 政治的に属そうとした者。

 覚悟もなく属そうとした者。

 ルード国のスパイ。


 全ては一度、赤い液体を口にする所まで進んだ。

 だが飲んだ瞬間、黒い思惑や犯罪的な思いがあった者は一同に自白をし、血を吐いて倒れ、その場で命を落とした。

 やがて勝手に『正義の破壊者』に属していると名乗る集団も現れたが、前述の厳しい所属条件があることが広まったことと、同じ国にいた無法集団を「邪魔になる」という理由で排除したことから、既に勝手に『正義の破壊者』を名乗る人は自然といなくなった。

 また所属した後、犯罪行為に手を染めた奴もいる。

 その人物はその瞬間、もしくはする直前に、これもまた血を吐いて命を落とした。

 以上の状況から、真の善意なる人間しか『正義の破壊者』には所属していない、ということが世間の常識となり、逆に所属する人間が増えたという結果になった。

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