第70話 同志 12

    ◆




 入室し、数時間が経過した後。

 外ではすっかりと月が姿を見せていた頃。


「……甘いなあ」


 コテージ内のベッドに横たわりながら、クロードは自分に駄目だしをする。


「……流石にコテージを用意するとか、何を考えているのだろうか」


 コテージは敵に見つかりやすいというデメリットがある。

 しかしかといって女性陣を野宿させるわけにはいかない、という気持ちも働いた。


(……なんだかんだで、仲間を求めていたのだろうか?)


 だが、すぐに首を横に振る。

 ライトウ。

 アレイン。

 カズマ。

 ミューズ。

 コズエ。

 五人はとても真っ直ぐだ。

 復讐に対して真っ直ぐだ。

 それはクロードの能力で知ることが出来た。


「……心地よくなっている? ……馬鹿だね、俺は」


 自分を嘲る。嘲笑は出来ないけれど。

 例え心地よい空間になりつつあっても、クロードの復讐心は揺るがない。

揺るいじゃいけない。

 一番大切なモノを置いてきたのだから。


「……だからこれは利用しているだけだ。自覚しろ」


 自分の甘さを叱咤する。


「……少し頭を冷やすか」


 身体を起こし、コテージの外へと足を運ぶことにした。

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