第69話 同志 11
そして三〇分後。
「ここを根城としろ」
そこにあったのは、立派なコテージだった。
すっかりと日が落ちて暗くなった地域に、明るすぎない光が満ちていた。
「おいおい、こんなのどうやったんだ……?」
「三〇分前には何もなかったわよね……?」
「まあ、企業秘密としておこう」
クロードはぼかす。
「しかも電気水道ガスネット全てそろっているぞ。ぞれぞれの部屋に大広間まである。土地は広大にあったからな」
「どうやって回線引っ張ったッすか!?」
「すごい……やはり凄いですよ、クロードは」
「……」
コクコクと頷きを繰り返すコズエ。
「しかし、だ」
クロードは人差し指を立てる。
「防御面ではいささか弱い。夜襲とかされると簡単に崩れてしまう。だからこの場所を隠し通す必要はある」
「任せておいてっす」
ミューズが胸を叩く。
「ここにこんなものがあるとは知られない様に情報は隠しておくっす。ついでに都市伝説でも流布しておくっす」
いつの間にやら持っているノートパソコンを手に、「うひょー! WIFIも入っているっすね」と彼女は意気揚々と打鍵をしていく。
(そういえばこういう機器は苦手だったからな。きちんと設定できるようになって良かった。というかこの国のネット事情に詳しくないし……能力、便利だな)
そう感慨深く思いながら、クロードは話を続ける。
「まあ、これは移動できるから」
「どうやって? ……って訊くのも野暮なんでしょうね」
「そうだな」
「そうします」
諦めたように肩を竦めるカズマ。
「とりあえず今日は休もうか。各自、部屋に戻ってミューズの情報の裏どりを待つように。食事も各自で。以上」
そう言ってクロードは自らで作ったコテージの中へと入って行った。
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