第63話 同志 05
◆
クロード・ディエル。
黒髪黒眼の至って普通の少年は、現在は魔王と恐れられている。
黒色の高校の制服を身に着けているのは変化ないが、防寒かつ雨露をしのぐためとして新たに黒のマントを着用していた。その容姿がまた魔王というイメージを助長させていた。
彼の名は有名だ。
故に街に降りることは出来ない。
彼の宿はもっぱら野宿であった。
しかしやろうと思えば彼は一軒家を一瞬で建築し、一瞬で消すことすらできるのだが、目立つからという理由で行っていなかった。
この能力を身に着けたとはいえ、睡眠と食事については必要としている。食事についてはそこらへんにある石でも何でも変化させることで飢えをしのぐことは出来たが、軍に狙われているのでオチオチ睡眠もとれない――というわけではなく、太い神経で野宿であっても安眠している。外で寝ることについては能力を手に入れる以前から習慣的に行っていたので問題もなかった。
もっとも、地面をベッド状にしたり、周囲の岩にカモフラージュさせたりと色々と工夫はした結果ではあるが。
しかし自分の存在を薄くしたり他人に見えないようにしたり、睡眠と食事を取らない身体にしたりすることは出来なかった。能力はどうやらクロード自身へ適用することは出来ないようだった。
故に、襲撃の際には必ずその姿を現し、ジャスティスを破壊して行った。
幾つの国を渡ったか。
幾つジャスティスを壊したか。
もはや覚えきれない程の数となっている。
その少年の行動はルード国民に恐怖を与えたが、それと同時に、ルード国に侵略されていた国々から、英雄としてあがめられることもあった。
その関係だろう。
「俺達を仲間にしてくれないか?」
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