同志

第59話 同志 01


    ◆




「――全く、情けないことだとは思わないかね?」


 とある小部屋。

 脂と共に金もしこたま溜めていそうな腹を揺らしながら、一人の男性が問う。


 彼の名はブラッド・プール。

 ルード国、海軍元帥である。


「クロード・ディエルという一人の存在にここまで怯えきるとはね。全く、マスコミどもにはうんざりする。粛清した方が良いと思うがね」

「すぐに粛清するんだね、あんたは」


 髪を逆立てた緑髪の男性。年は若いとはいかないまでも、それほど齢がいっているようにも見えない。だが、年不相応なゲヒャヒャヒャと笑い声を上げる。


 彼の名はヨモツ・サラヒカ。

 ルード国、空軍元帥である


「そうやってあんたの気に入らない人物だけ粛清していったらこの世から全員お陀仏さぁねぇ」

「……ふん冗談に決まっておろう」


 ブラッドは鼻であざ笑い、軽蔑を込めた目でとある人物に言葉を投げる。


「真っ先に処刑すべきは、この魔女に決まっているがな」


 ジャラ、と。


 その部屋に最初からいた人物は音を鳴らす。

 暗い部屋の奥で彼女は両手首を微妙に座ることが出来ない長さの鎖に繋がれ、ボロボロの服のまま二人を睨み付ける。



「なあ? アリエッタ元帥」

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