第379話 希望 08
◆???
「……けほっ! けほっ!」
「ああ、良かった。前に同じようなことをして成功したとはいえ、今回はブラッドにお守りとして持たせたから、効果がきちんとこちらだけに適用されるかが微妙だったからね」
「……けほっ……けほっ……」
「いやいやしかし、今回は少し焦った。事前にジャアハン国に行こうと思ったんだけど、一度本国に報告に行かなくちゃいけなくてね。記憶では弔いの時間を結構取っていたから大丈夫と思っていたんだけど、案外ギリギリになっちゃった。……火葬される前にカズマから受け取れて良かった」
「……」
「ああ、そっか。本当は話せることを誰にも言ってなかったんだっけ」
「……っ!?」
「何でそんなことを――って口にしてもいいんだぞ。まあ、顔とか変えたから誰なのかが分から……というか、今の状態で元の顔に戻したとしても、君が感じている疑問の答えにはならないだろうね」
「……あなたは一体……?」
「そうだ。君の場合はこうした方がすぐに理解出来るだろう」
「何を――」
『こんな風に会話をするのも、こちらにとっては久しぶりだな』
「っ!? 頭の中に……!? しかも私が意図していないのに……それが出来るってことは、まさか……」
「察しが良くて助かるよ」
「え……? どうして……でも、何で……?」
「混乱している所悪いけれど、とりあえずこれを着て」
「これは……?」
「単純な見隠しだよ。この黒衣を頭から被って顔を隠してくれ。これから誰にも知られずにとある場所に移動するから、離れないように付いてきて。移動している間に君には全て情報を伝えるから」
「は、はい」
「よし。いい子だ」
「……え?」
「あ、ごめん。つい頭を撫でてしまった。嫌だった?」
「……いえ、そうではないです。むしろ……逆ですよ」
「?」
「前にも言いましたけれど、私――あなたに撫でられるの、好きなんですよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます