第375話 希望 04

    ◆



 ルード本国。

 とあるホテルの一室。


(……やはり、か)


 携帯型のテレビを見ていたコンテニューは、眼を瞑った。


(見た者は気がついたのだろうか? あれは魔王に操られている訳ではなく、アリエッタが自分の意思でジェラス大佐を殺したってことに……いや、そもそも魔王に操られているということすら気が付いていないかもな)


 ここまで上手くいっていたものだと、客観的に見て思った。

 完全にアリエッタが裏切ったようにしか見えない。

 ただ、ジェラス大佐は撃たれていた。


「あーあ。どうだろうね、これって。でも、あれだよなあ」


 記憶の通り。

 そのままだ。

 少年は真正面を睨み付けるようにして呟く。



「……変わらないな」



 客観的には、事柄は変わっていなかった。

 ジェラスがアリエッタに撃たれ、アリエッタはクロードの配下で裏切ったかのように全世界に放送された。

 それはクロードの記憶と同じ状態。

 だが、重要なのはそこだけではない。

 過去と同じ状態。

 しかし、確認しなくてはいけないのだ。

 そう。


 ――、を。

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