第295話 決戦 06
勝てるなんて思っていない。
相手から出てきた言葉に、『正義の破壊者』の面々は面食らった。
問いを掛けたクロードすら、ある意味脱力感に襲われた。
「……お前、何を言っているのか分かっているのか?」
『ええ。当たり前のことを口にしただけですよ』
飄々と。
先と同じような余裕を感じさせる態度で、敗北を口にしている。
『魔王である貴方だけでも手こずったのに、そこに「サムライ」ライトウと……かつてない程の操作力でヨモツ元帥を撃破したジャスティスのエースパイロット、それにウルジス国が隠し持っていたジャスティスまで用意されてしまえば、僕一人で対抗できるわけがないじゃないですか』
それはその通り――と思わず口にしそうになる。
圧倒的な優位に立っているのは間違いなく『正義の破壊者』である。それは覆しのない事実であり、ここから打ち破る手段なんてないはずである。
しかしながら、目の前の相手はそれでもこの場に残り続けている。
それは陸軍元帥としての意地なのだろうか?
(――いや、そんな訳がない)
クロードは内心で首を横に振る。
そこまでコンテニューのことを知っているわけではないが、一度対峙した経験では、彼は自分の身を犠牲にして仲間を守るタイプではなく、何かしらを利用してこの場に自分が来ないように図る人物に見えた。
だからこそ、この行動には意味がある。
「……勝てないと分かっていながら、ここで俺達と戦うというのか?」
『そんなわけないじゃないですか。勝ち目のない戦いを行って命を落とすようなことはしませんよ』
「だったら降伏してこちらに付くとでもいうのか?」
『それも行いません』
戦わない。
降伏もしなければ裏切りもしない。
であれば破壊されるだけだ。
「……だったら何をするんだ?」
思わず訊ねてしまったその問いに、
『僕は貴方に提案をします』
彼は先と変わらない口調でこう提案してきた。
『「正義の破壊者」の皆さん全員、この正門を通らせましょう。勿論、攻撃など仕掛けませんし、門をくぐった先に何も罠が無いことを保証します。味方はしませんが敵対もしません。
但し――クロード・ディエル。貴方を除きます』
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